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景色が流れる。 電脳化された高層ビルが立ち並ぶ中央区を抜け、環境保護の名の下にありとあらゆる植物が集められた自然区を抜け、時代遅れの愛すべき燃料車は上海郊外へと向かっていた。 ――結局。集まってしまった。 探偵は時間丁度に現れた。比喩ではなく、一秒の狂いもなく。 契約は出来高払いだから、逃げたところで何の問題も無いのだが来てしまった。 この場に居る人間は、要は私が巻き込んだのだ。自惚れているわけではない。 コウイチは私が話を振った。探偵は私を探したが為に巻き込まれた。 私というファクターが介在したが為に知らずに済んだ事件に関わり、ここまで来てしまった。 探偵にも先に謝った。 契約したとはいえ、まさかあんな場所に乗り込むほどになるとは思っていなかったから。想定外の事態が発生した場合の謝罪は道理だ。 そう言うと探偵は「報酬ははずんでくれよ」とだけ言った。常態を崩さないその余裕は改めて凄いと思う。 コウイチは、ああ、彼らしい、と思うような事を言っていた。 誼だとか友情だとか。 それ自体は理解できない話じゃない。私だって感情の一つや二つはあるし、それが不要だとは思わない。 ただし。それは物事のものさしに使っていいものじゃない。不確定すぎる拠所だからだ。 ……昔からそうだった。計量できない感情論を振り回し、理屈にならない理屈で行動する。およそ年上だとは思えない。 必要が無いからもう覚えてはいないが、初めて会った時もきっとそうだったのだろう。 それを微笑ましいだとかそういうのも良いかもなどとは思っていない。道理を知れ、とは常々感じている。 ただ、どう生きるかは本人の自由意思だ。だから強制するようなことはしない。それだけだ。 今回は黙って連れて行けと言われたから連れていく。 どんな理由であれ行きたいのであれば止める由は無い。 しかし、巻き込んだのは私の責任だ。だから。いざという時にその責任は果たさなければならない。 コウイチの「もうすぐ着くぜ」という言葉と共に顔を上げる。 私は懐の試験管の存在を確認しつつ、迫りくる施設群を前にして決意を固める。 何があろうとも生きて、返すと。 [No.153] 2011/04/30(Sat) 23:49:41 |