![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
なるほどあれが教祖か。とそう思った。 いかにもな狂人。見たまま、いやそこから放たれる気配が既に常軌を逸している。 この場に跳ばせたのは三人。コウイチと私はともかくとして、もう一人の……マイコと言ったか、彼女がどれだけの戦力になるかは未知数である……が、戦闘慣れしているようには見えない。 それにも関らず、あの手練らしき男がこの女を下に来させたのには何かしら理由があるのだろう。 「お話はそこまでよ」 いずれにせよ様子見をしたところで無駄であると判断し、マイコと教祖の間に立つように降り立つ。 狂人と話す言葉など持ってはいない。問答無用で消し飛ばすのが道理である。 「宿敵との邂逅をぉ、邪魔するんじゃあなぁぁぁいッ!」 私の姿を確認するや否や真直ぐに突っ込んでくる狂人に対して杖を構える。 符は使いきった。ローブもここに来るまでに破損が激しくもはやただの上着としてしか機能していない。 残った術具はこの杖だけ。短期決戦で決めなければ身体がもたない……いや。 「吹き飛べ」 「ぬぅぅぅ?!」 私の言葉と共に、教祖の腕の一部分が、まるで別の物体であるかのように剥離し始める。 教祖は人間ではないかもしれないというような話は聞いていた。予感もあった。人間ではなく、一つ一つ異なるパーツで構成されている物体ならば、引き剥がせない道理は無い。 「……っ?!」 だが。これはあまりにも『多い』 個々の結びつきは人の細胞には及ばないものの、数が多い。干渉する対象が多ければ多いほどそれだけの能力が必要だ。普段ならまだしも、消耗した上に術具も少なく、おまけにこんな魔所で相手取るには厳しい。 「そぉの程度かぁぁぁ!!」 術の干渉を受けていないもう片方の腕を、チェーンソーのようなものに変形させつつ狂人が雄叫びを上げたかと思うと、そのまま勢いに任せて突っ込んでくる。 ――マズイな。 術の集中を解いて跳ぼうにも間合いが近すぎる。仮にかわせたとしても今度は後ろのマイコが危ない―― となればどうにか受け止めるしか…… 「ぐぅぅ?!」 私が逡巡している一瞬の間に、狂人は『腹に強烈な打撃を受けた』ような格好で後方へと飛んだ。 「ナノマシンってやつらしいな」 「コウイチ」 後ろを振り向けば、手を合わせた姿勢でいつものシャーマンが立っていた。 忘れていたわけではない、が。可能ならば手を煩わせずに終わらせたいとも思って、敢えて思考の外に置いていた。 今更ではあるが、今更だからこそである。一番危険なのはボス戦だと相場は決まっている。 「水臭い事言うなって言っただろ」 「……ゴメン」 結局、こうなるのか。それが私とコウイチの間での道理なのかもしれない。 「おのれぇぇぇ!!」 狂人が唸るのを聞いて思考を戻す。 今のコウイチの術が聞いている節はある。時間をかければ倒す事も出来るかもしれない。 ただ、確実なのは…… 「マイコ!って言ったっけ?」 狂人に目を合わせながら後ろにいるはずの少女に叫ぶ。 先の男は誰かから指示を受けろと彼女に言っていた。つまり何かしら策があってここに来たはずだ。それに期待しても良いのではないだろうか。 「時間は稼いであげるから、何か出来る事があるんならさっさとしなさい!協力してほしい事があったら言いなさい!いつまでもつかは判んないわよ!」 言いつつ私はローブのポケットに手を突っ込み、中の試験管を取りだし、中身を一気に飲み干す。 液体が体内に入ると同時に、少し頭がふらつく感じがしたが、大丈夫。戦うに支障は無い。後は身体がもってくれるよう祈るだけだ。 「さあ仕切り直しよ。魔女の本気、見せてあげるわ!」 [No.157] 2011/04/30(Sat) 23:52:50 |