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ZECTのイリーガルなんていう副業をしていると、必然的に波乱の多い生活になる。もっとも、クエイク・ワン以降は多かれ少なかれ、平和維持にかかわる人間は激増したので俺だけに限った話ではないけれど。 何が言いたいのかというと、この日を始まりとした一連の事件。これも間違いなく俺の人生における、大きな分岐点になったということだ。 もっともこの時の俺は、そんな事は露ほども考えていなかったが。 ●城南学園近辺● その日も大空尽介は、城南学園に向かい愛車を走らせていた。研究室で合同開発しているシステムのモニターに選ばれて以来、大学生とエージェントの二束のわらじの生活が、更に慌しくなった。 しかし、それももう少しの辛抱。今日の起動テストが成功すれば、後は数回の微調整で完成する予定である。 「上手くいけばいいけどな……ん?」 鬱蒼と木々が茂り、くねくねと曲がりくねる道の先、誰かが横たわっている。 バイクを止めて近づくと、髪の長い少女である。年齢は10代半ばから後半といったところか。着ているワンピースはぼろぼろで、恐らくは軽装のまま山中を駆け回ったと思われる。ざっと調べたが、脈拍も呼吸も安定している。疲労か何かで気絶しただけで、命に別状はなさそうだ。 辺りを見回してみたが、少女の荷物らしきものは確認できなかった。 「遭難者か……? こっからだと、山を降りるよりも一旦学園に運んだほうが早そうだな」 少女を担ぎ上げようとしたところで何者かの気配を感じる。何処から湧いて出たのか(そう、まさに湧いて出た、という表現がぴったりなほどの唐突さだ)、大勢の人影が尽介と少女を取り囲む。 およそ人間とはかけ離れた異形の軍団。嫌悪感を覚える唸り声を上げてじわじわと迫ってくる。 「ワーム! それに幽魔獣やマクーの獣聖人……他にもぞろぞろと。とうとう仲良く同盟でもくんだのか!?」 距離をとろうと後ずさるものの、すぐに林にぶつかってしまう。怪人達は尽介の言葉に答えることも無くどんどん包囲を狭める。――少女を担いだままではとても逃げ切れはしないだろう。 選択肢1.少女を見捨てて逃げる 選択肢2.SPIRITSに助けを求める 「1は論外。2は到着を待ってる間にゆっくり殺される。となると……」 少女をバイクの陰に置くと、怪人達を威嚇するように立ちふさがる。 すると、何処からか蝶の形をしたロボットのようなものがひらひらと飛んできて尽介の手に収まった。 手馴れた動作でそれをベルトのバックルに装着する。 「選択肢3.自力で何とかする ――変身!」 ――Henshin ベルトを中心に装甲が構築され尽介の全身を覆う。やがて現れたのは蛹の様な重厚の鎧。 その大きな複眼が発光すると、弾かれた様に怪人との距離を詰める。 「とはいえ、ちょっと敵が多すぎるかな。――はぁ!!」 重い一撃に数体が吹き飛ばされるが、未だその数は多い。 ●???● 「……やっと『あれ』が見つかったか」 何処とも知れぬ闇の中。重苦しい声が響く。 すると、別の場所からまた声。 「は。尖兵達に追わせております。……しかし、奴らに任せて大丈夫でしょうか? いつ裏切るやも」 「構わん、手は打ってある。それにどうせあれらに扱える代物ではない」 「は、差し出がましい真似を。引き続き捜索を続けさせます」 そういうと、一人の気配が消える。 残されたもう一人の声の主は、『あれ』と呼んだものにに思いを馳せる。 「10年待った……。『あれ』が手に入れば、彼岸を達成できる。く、くくく……待っていろよ、地球人共! くくく、はーっはっはっは!!」 その笑い声はどこまでも木霊し、やがて闇に消えた。 [No.213] 2011/05/01(Sun) 21:06:56 |