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その日、マクハリコロッセオに部隊を展開はしたものの、鷹目は様子見だけの腹づもりであった。 この一件、背後関係が読めないのだ。 バトリングランカーを狙った拉致事件の動きは以前から捕捉していたものの、それがどの企業の思惑なのかも判然としない。 (企業では、あるはずだ) たかが遊戯の運営係とはいえ、闘戯運営委員会はボンクラではない。そのまま企業軍の特殊部隊で通用する腕っこき揃いだ。 その目を掻い潜って選手を拉致するとなれば、外部犯の可能性は低い。運営に関わるいずれかの企業の犯行でなければならない。 (だが、何の意味がある?) バトリングランカーは、優秀なAWパイロットだが、優秀な兵士ではない。その操縦資質において(そして多くの場合精神的資質においても)集団を構成する一部品として不適格だ。 そんな人材を危険を冒して集める意味は、なんだ? 『悩ましい御方』 アルカディアからの通信に、鷹目は思考を中断する。 「動いたか」 『はい』 網膜投影式モニターに次々と情報が表示される。 ハッキングした旧市街監視モニター。コロッセオの裏側20km先に、熱源が5つ。 『運営の通信を傍受しました。 既に一機、ランカーをAWごと拉致したようです』 「鮮やかだな」 『どうします、雄々しいお方』 「……トレーサー起動。増幅角30」 鷹目の音声を認識し、黒椿が鷹目の四肢と同調する。 三度両手を握り、具合を確かめると鷹目は機体を立ち上げた。 「聞くまでもあるまい。 ……出るぞ!」 ● 空を切り裂き飛来する弾丸を、身を屈めてやり過ごす。 「おォッ!」 裂帛の気合と共に逆袈裟に切り上げた太刀は、しかし赤黒いAWの胸を浅く切り裂くに留まった。 AWの右手が振り下ろされる。装備されているのは白兵戦用のレーザーカッター! 「ちッ!」 刃で受けようものなら太刀ごと両断されてしまう。飛び退かざるを得ない。 間合いを取ってビルの陰に機体を潜ませる。 (強いな……) 遼機と思しき軍用PGも、現役企業軍並には手強かったが、目の前の一機とランカーを連れ去った一機……見覚えのないAWは飛びぬけて手強い。 鷹目をして4合打ち合って勝負を決することが出来ずにいる。 もはや『プロフェッショナル』ではない、『達人』だ。 「アルカディア」 『撤退は完了しましたわ、鈍間なお方。あなたもお早く』 「……致し方あるまいな」 コロッセオからは離れているが、運営もいい加減この騒ぎに気づいただろう。もたもたしていればこちらがお縄だ。 後方に跳躍し、高架に飛び乗る。 最後に視線を一つやると、赤黒いAWは最早黒椿を見ることなく、都市の闇に消えた。 ● 「1人のゴーストからは10機が限度。 ……まだ少し、プレミアが過ぎますかねぇ」 モニターの明かりに照らされながら、男は不満げに呟いた。 [No.248] 2011/05/03(Tue) 21:04:06 |