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早い。 予想以上に敵の動きが早い。 まさか委員会の施設にまで直接仕掛けてくるとは…… いや、予測はできた。そもそもが内部に内通者がいる可能性は考慮されていたのだし、ならば委員会の施設だからと言って絶対安全というわけではない。 だが、だからこそ警備には万全を期していたはず。 それなのに易々と侵入を許すとは…… 「そこか」 通路の角の先に一人。 それ以外に敵がいない事を確認すると、立ち止まること無く角を曲がり、そのまま体を捻って回し蹴りを叩き込む。 そのままの勢いでもう一回転。普段はペンダントに偽装してある陽炎を本来の形に戻しつつ首筋に突き立てる。 「これで5人」 選手を保護している施設に入ってから仕留めた数である。 最初は無力化するに留めて情報を聞き出そうとしたが、先のPGパイロットと同じく服毒自殺をしてしまった。 ならば最初から殺害した方が話が早い。 それよりも気になるのは、警備の数が明らかに少ない事。 道中でいくらか倒れている元同僚を発見はしたが、それにしても厳戒態勢とは思えない程度の人数だ。 それに敵も大した腕ではない。そうそう遅れを取るようなはずはないのだが…… 「……またか」 またも角の先に動体反応が一つ。 ランカーが脱出できているとは考え辛い。彼らはAWを操作する体力や技能はあっても、生身での戦闘技術にたけているとは言えない者がほとんどだ。 敵か味方の警備かの二択。ならば―― 「……ッ!」 左手で握った切羽を、角の先に居た人物に突き立て――ようとして寸前のところで逸らす。 壁面を軽く穿った刃の横で曖昧な笑みを浮かべているのは、同僚でもあり、ここの警備の任にあたっていたはずの人物であった。 「……何だ、ミドか……脅かさないでくれ」 「それはこっちの台詞。まさか生きてるとは思わなかったから」 「……酷い言い草だなオイ」 目を合わせて真顔で言う私に同僚は冷や汗をかきつつも笑いながら返した。 ここまで生きている警備の者は一人も見なかった。だから、警備の任にあたっている者は全滅したのかとも思っていたが…… 「現場指揮のあなたが無事で良かった。これで少しは情報も手に入る」 情報源は確保した。生き残りがいるとなればそこから得られる情報も少なからずあるだろう。指令を受けてから急行した甲斐があったというものだ。別ルートで回った同僚の方でも収穫があるといいが…… 後はランカー達の身柄だが…… 「敵を見たのなら、行き先に心当たりとか……」 言いかけた私の背部に冷たい感触が走ったかと思うと次の瞬間には激痛に変わる。 よろめきながらも振り向くと、先ほどとはうって変わって酷薄な笑みを浮かべる元同僚が一人。 「あなた……」 私が次の言葉を紡ぐ間も無くその元同僚は私にとどめを刺すべく刃を振り上げた。 ●● 「やっぱりそうなのね」 眼前で刃をあらぬ方向に振り上げる元同僚の首元を右腕で掴みそのまま壁に叩きつけつつ紫電を起動し直接電流を流す。 更に左手の切羽で肩部を貫きそのまま壁に縫い付ける。 どうせサイボーグだ。そう簡単には死なない。彼は重要な情報源だから自殺されては困る。 厳戒態勢の警備の中侵入するにはどうすれば容易いか。簡単である。警備の人員……それも現場での決定権を持っている人間を味方につければ早い話である。 その考えに至ったのは彼の顔を見てからではあるが、目を合わせた時に咄嗟に術をかけておいたのは正解だった。 そうでもなければ今頃は逆の立場だった可能性すらある。正面きってサムライと戦って勝てる自信はあまり無い。 「Dブロックで敵を一人確保。応援回して」 手短にそれだけを伝えると通信を切る。傍受されないとも限らないし、長時間の通信は位置を特定されかねない。 次に目指すは目指すはランカーの確保。ひとまずは部屋の確認か。この場は後は後続に任せれば大丈夫だろうと判断して切羽を抜き取り、代りに敵の刃を突き立ててから私はその場を後にした。 [No.251] 2011/05/03(Tue) 21:06:33 |