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「部長……?!」 顔を出して視認した私の目が捉えたのは、常と変らぬ穏やかな笑顔を浮かべた、最近健康が気になると言っている上司その人であった。 ◆ 部長の話によると、施設は粗方制圧できたそうである。 というよりも、元々あまり多くの戦力は配備されていなかったようで、内通者の危険を除けばさほどの障害は無かったようである。 「……部長、今回の敵の主目的はやはり……」 撃たれた右腕に応急処置を施しつつ問う。任務に支障が出る程ではないが、怪我は怪我である。 「ランカーの拉致、だろうねえ。施設を制圧して見せたのは、さしずめ拉致部隊が逃げるまでの囮といったところかな」 「そうですか……」 そうなると私は二度までも敵の陽動に引っ掛かった事となる。 仕方のない面もあるが、これまでもそれなりに場数を踏んできてはいるだけに不甲斐無い、悔しいという思いが強い。 「まあそう落ち込まずに。何にしても翠君が無事で良かったよ。 施設はともかく、人の代えはなかなかきかないからねえ。まして内部にも問題があったとなれば……」 「……」 同僚の裏切りは私もそれなりにショックではある。 それが、実直さをもって知られるサムライであったとなれば尚更である。 何故彼らはそのような事をしたのか。金か、地位か……あるいは単純に刺激がほしかったのか…… 「裏切り者は」 「君が確保したのは既に搬送したよ。彼には色々と吐いてもらうとして……後は……どれくらい出てくるか、だねえ。あんまり大勢いても仕事が増えて大変なんだけどねえ」 部長はのんびりとしたような口調で言うが、実際にはのんびりとしていられる状況ではないのだろう。 単純に考えてまず人手が減る上に、組織としての信用問題にも関わる。 末端の私はあれこれと考える必要はないが、部長としては大きな心労だろう。 「まあそれはそれとして、だね」 「はい」 「ちょっと気になる事がね」 「と、言いますと?」 部長が語ったのは、今回の敵の目的である。 ランカーを拉致するだけにしては、規模が大きすぎるというのである。 確かに、本部としてもいつまでもランカーを保護下に置いているわけにもいかないから、拉致するだけであればしばらく期間を置いてほとぼりが冷めた頃を狙ッた方が良いに決まっている。 にも関わらず今回敵が仕掛けてきたのは、何か試したいモノでもあったのではないか、というのである。 「……試したいモノ、とは」 「それが判れば話は早いんだけどねえ。ただね、今回敵の襲撃してきた敵のAWの動きがね、拉致されたランカーのものと似ていた、というような話を観測班から聞いてね」 「……ランカーが、敵に協力していると?」 「自らの意志でかどうかは判らないけれどね。何らかの関係はあるんじゃないかな。」 「しかし仮にランカーを味方につけたとして、一体何を……」 「そこまでは判らない。ただまあ……さっき、あの軽量級のランカー君が敵のAWを首尾よく倒したみたいだし、調べればもしかしたら何か出てくるかもねえ。処分されなければ、だけど」 「そうですか、彼が……」 敵を倒した、という事は刺し違えていない限りは無事だろう。数少ない朗報ではあった。 送り出しておいて、やられましたでは流石の私も後味が悪くはなる。 「後は、例のテロリストも動いてたみたいだねえ」 「……彼らですか」 正直に言って、治安維持活動は私の管轄外であるから普段はテロリストの事はどうでもいいと言えばどうでもよかった。 しかし、この場にいたとなると、調べないわけにもいかないだろう。 「まあ、施設を完全に取り返し次第、状況と情報を整理していこう。怪我は辛いだろうが、色々と働いてもらうよ」 「お任せください」 言うと同時に、味方の一人が部屋に入ってくる。 彼の報告が施設制圧の完了を示すと、私は柄にもなく安堵の息を漏らした。 [No.260] 2011/05/03(Tue) 21:17:18 |