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湖庭市にあるファミリーレストラン「ルーナリア」。 教会から住宅街へ向かう道の逆側の都市部へ向かう先にある為、住民に親しまれているチェーン店である。 人気料理は「ハンバーグランチ」熱々のハンバーグをナイフで切ると、じゅわっと溢れる肉汁に注力した自慢の一品である。 逆に人気の無いメニューが「バナナ・バースト」である、これはその名の通りバナナを使ったメニューなのだが、それはもはや調理では無い闇の儀式の産物だと言われている、当然注文される事は滅多に無いのだが、一部熱烈な愛好家がおり、今もルーナリアのメニューとして親しまれている――。 ○ 「それで、マリナとか言ったか……何でファミレスなんだ」 あれから、頭に血が上ったマリナをどうにか赤眼のランサー……今となってはランサーなのかは定かでは無いが、赤眼の英霊がなだめる事で事なきを得ていた。 康一としてもマリナに聞きたい事があったし、マリナにしても康一に聞きたい事があったので、ひとまずは一時休戦して情報交換を行う事にしたのだ。 二人の英霊はそれに異を挟まなかった、赤眼の英霊としては、連続した戦闘は避けたかった事もあるし、康一のランサーは主の意向に、ただ従っただけの事だ。 「だってお腹空いたんだもん、奢るから良いでしょ別に!」 「いや、別に奢ってもらわなくて良いよ」 店自慢のハンバーグランチではなく、エビグラタンを食べながら、マリナは康一の言葉に応えた。 情報交換の場として提示したのは、お互いにとって損得の無い場所が求められた。 なおかつ戦闘が極力避けられる場所を、という事で都市部に向かったのは確かだが……康一はまさかマリナがここで豪快に食事を始めるとは思わなかった。 まぁ、一応マリナの勧めもあったので、彼も珈琲を注文してはいるのだが。 「頼んだ訳じゃないけど、アンタには借りがあるからね、一応」 「……借りだとは思うんだな、一応」 英霊2名は霊体化してボックス席に座るそれぞれの主の傍らに控えている。 康一がマリナに聞きたい事はあの「血管」の事だった。 マリナがあれに詳しい様子は見られなかったが、一応「血管」と直接やりあった相手なのだから、話を聞いても損は無い、それにあの「血管」に対するこれからの考えも聞いておきたかった。 「で、本題なんだけど」 「――あぁ」 先に切り出したのはマリナだ、あの血管、今回の聖杯戦争の影響で出現したモノと見るのが当然だ、今は少しでも情報が欲しいと康一は思う。 「アンタのサーヴァント、ランサーなの?」 「……あぁ?」 「ウチのサーヴァントもランサーなんだけど、どういう事よ?」 ジロリ、と康一を見てマリナは言う。 正確にはマリナの英霊はランサーだろう、という予測に過ぎないのだが……少なくとも、槍を武器にしていた以上、見た目がランサーに見えるのはマリナの英霊だ。 「……同じクラスが二人もいるなんて事があるの?」 「前例は無くも無いが……」 注文した珈琲を一口啜り、康一は言葉を続ける。 冬木市で行われた第五次聖杯戦争の折、前回、つまり第四次聖杯戦争の頃から“生き残っていた”アーチャーが居たらしいのだ。 その場合、第五次聖杯戦争で新たに召還されたアーチャーを含めて二名のアーチャーが存在した事になるのだが……今回の場合は話が違う。 なにせ、湖庭市の聖杯は偽者なのだから、“前回”が存在しない以上同じ理由で二名存在するとは考えられない。 「今回の聖杯戦争が特例尽くめなのは知ってるよな」 「えぇ」 「もしかしたらその影響かもしれない、断定は出来ないが……」 マリナは頷き、ちらりと傍らに居る筈の赤い瞳の英霊を見た。 彼の記憶に辿り着く道は、まだ遠く、霧の向こうにあるらしい――。 [No.321] 2011/05/23(Mon) 21:23:18 |