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目の前で血管がヒトの形をとった異形が抵抗すら出来ずに次々と斬り伏せられている。 黒いバイザーで顔を隠し、黒い鎧と黒い西洋剣で武装した剣の英霊。 血管が襲いかかり、それを意にも解せず返り討ちにする黒化セイバー。 その光景は英霊の現象である黒化英霊はともかく、血管の方も黒化英霊を敵と見なしている事実を示すがこの状況では救いにならない。 「リカバー終了。傷は回復しましたよ!」 黒化セイバー。信じがたいほど高密度の黒い魔力の霧を身に纏い、その異常な高魔力の領域は希の魔力砲を弾き飛ばし、その魔力と剣圧による複合攻撃の飛ぶ斬撃はルビーが常時展開する障壁を容易く超えてきた。 黒化ランサー撃破後に遭遇したこれは、黒化ランサーを遥かに超える強敵だった。 逃げ出そうとしても飛ぶ斬撃による遠距離攻撃もある所為で、撤退もさせて貰えず。 ずるずると泥沼の後退戦に持ち込まれた、正直血管が乱入しなければ希の治癒促進(リジェネレーション)も間に合わなかっただろう。 「アサシン、そっちはどうだ?」 「気を失ってるだけです、異常はないですよ」 アサシンの腕に抱かれた、おそらくは血管に襲われていただろう学生と思われる若い女性。 あの血管に何かされる前に、黒化セイバーの方を血管が優先したようで意識がないだけで異常はないだろうと言うアサシンの言葉に勇治は安堵の溜息をつくが、正直安心はできない。 否、もしくは黒化セイバーなどとという凶悪の災害を自分達が引きつれてきてしまった所為で、少女への危険度は跳ね上がってしまったかもしれない。 「っ、ルビー! クラスカード『ランサー』限定展開(インクルード)!!」 最後の血管を斬り伏せる、まさにその瞬間に希が飛びだし、今さっきルビーに聞いたばかりこの状況を打開出来るかもしれない手段をとる。 手に入れたばかりのクラスカードをカレイドステッキに重ねる。すると、ステッキが嚇き魔槍にその姿を変える。 「刺し穿つ(ゲイ)――」 最後の血管を斬り伏せた黒化セイバーが希の方に反応するが、遅いっ! 「―――死棘の槍(ボルク)!!」 真名を解放した魔槍が、黒化セイバーの胸を貫き、紅い花を咲かせる。 「やっ―――ッッ!?」 「物理保護全開!」 喜びに顔を緩める希に、黒化セイバーの横薙ぎが胴を打ちすえ、ごろごろと無様に吹き飛ばされて転がる。 ルビーのフォローが間に合わなければ、今頃は真っ二つになっていただろう。 「カッ…あっぅ……な、んで?」 「すんでのところで、心臓を外した?」 ゲイボルク。放てば必ず心臓を貫く魔槍、勇治と希の二人も知るその宝具の一撃を受けてまだ生きているということは大きな衝撃を与えていた。 胸に大きな傷を残した黒化セイバーは希達に向き直り、その剣を両手に構え……その剣が黒い光に変わる。 「約束された(エクス)――」 「宝具っ!?」 「っっ、アサシンッ!!!」 「―――勝利の剣(カリバー)」 黒い黒い極光の暴力は、その至高の聖剣の名に相応しくない色で、その最強の聖剣の名に相応しい威力で希達のいた場所を一瞬で呑み込み、雲を切り裂くように空へと昇る。 「っ、くっ…ぁ……間に合った、か?」 聖剣の極光が通過した、その場所からそれ程離れていない場所に満身創痍で希達が倒れる。 勇治の令呪の、3回の命令権を司るその一角が消える。 「ぅ、く…ギリギリでした、ご主人様」 転移。アサシンがキャスターで召喚されていて条件さえ整っていれば行使できただろうそれを令呪によってアサシンに使わせた。 とはいえ、幾ら令呪を使ったといっても4人纏めての転移は完全といえず、エクスカリバーの余波で一般人故に庇われた少女を除けば大きなダメージを受けた。 「あ、ぅ……エクス、カリバー…騎士王、アーサー王なの?」 傷をおさえて立ち上がる勇治が横目で希を見るが、心が折れ怯えていた。 無理もないと勇治は思う。幾ら天川一族に生まれたといっても今だ10歳の希にそもそも実戦で戦えというのが酷なのだ、ましてや相手は伝説の騎士王だ。 「くっ、ルビー…希でもサーヴァント1騎は支えられるな?」 本来、勇治よりも希のが魔力量などの問題でマスターとして優れているが、ルビーによって魔力を全力で使い戦うので勇治がアサシンのマスターとなった経緯があった。 それなのにこの問い。 「まー、不可能じゃないですけどね」 ルビーのその答えに、勇治はふっと淡い笑みを浮かべて、なんとか無事だった刀を抜いて鞘を捨てて両手で構える。 「ぁ…ご主人様、まさかっ!」 「令呪において命ずる! アサシン、二人を連れて全力で逃げ――」 己の主を悲壮な顔で止めとするアサシンに、勇治が令呪を使おうとしたその時。 「これは一体何事だ?」 「まさか、あれは…王?」 予期せぬ乱入者が、その場に現れた。 [No.342] 2011/05/23(Mon) 22:00:44 |