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「宝具の不具合、ですって?」 「あぁ、俺もランサーも、昨日実際使ってみて知った事だ」 「そう、……参ったわね、問題山積みね」 康一の作った朝食を平らげた後(ランサーは3杯おかわりした)、マリナと康一はランサー、ライダーを交えて今日の行動の相談をしていた。 まず最初に康一が切り出したのがランサーから告げられた宝具の不具合についてだった。 マリナのライダーも令呪を用いて補ったとはいえ、記憶障害という不具合を抱えていたのだから、その心配には覚えがあった。 どちらがマシ、とは言わないが……。 「判っていると思うけど、私達はお互い令呪を一回切ってしまってるわ」 「あぁ、これ以上おいそれと令呪を使う事は出来ない、使う時は本当に……いざとなったらだ」 「そうね、宝具の運用以上に重視される状況っていうのはゾッとするけど、賛成するわ」 二人は互いに刻まれた令呪を見た。 昨晩の戦闘で3度の使用回数のうち1度を使ってしまい、その刻印の一角が失われている。 「ランサーも、それでいいか?」 「はい、そもそも宝具はそう頻繁に撃てるというものではありませんし……」 「あれって対城宝具よね、1度の使用に対しての魔力消費量はばかに出来ない筈だもの――そういえばライダー」 「ん?」 「貴方はどうなの?、貴方だって使ったんでしょ、宝具」 マリナは昨晩の戦いで垣間見た風車風景を思い出した。 康一も、ランサーもまたライダーを見た。 ライダーの宝具の恩恵があれば、ランサーの宝具もまた本来の威力で発揮できる筈だ、おのずと期待も沸いてくるが……。 「すまないが、此方もランサーと同じだ、そう頻繁に宝具を使う事は出来ない」 「まぁ、そうよね……」 「しょうがないさ、この問題はこっちで何とかする」 そう言って、康一は朝食に使ったテーブルにそのまま湖庭市の地図を広げた。 湖庭市に来た日に市民館で手に入れたもので、湖庭市都市部の情報が書かれている。 その隣に住宅街の地図も広げて、台所に転がっていた(本当に転がっていた)ペットボトル飲料のキャップを二つ、地図の上の七貴邸の上に置いた。 キャップの上には黒いマジックペンでそれぞれ“ランサー”、“ライダー”と書いてある。 「これが、俺とお前だ」 「えぇ」 「そしてこれが志摩空涯、セイバー陣営だ」 志摩空涯、と口にした康一の表情に感情の揺らぎは見られなかった。 セイバー陣営を示したボトルキャップを、康一は先日彼等と遭遇した場所――地図上に置く。 「昨日の黒いの、あれは?」 「順当に考えればセイバーだ、だがあれは……」 「えぇ、“違う”わね」 「残るはアーチャー、キャスター、バーサーカー、アサシンだが……」 「あの狐耳のサーヴントね」 康一は“?”と書いたボトルキャップを、地図の上の、黒い英霊と闘った場所においた。 「見たままの判断だけど……」 「いいさ、聞くよ」 「キャスターかアサシン、と私は思ってるわ」 「そうだな……」 バーサーカーでは、まず無いだろう。 アーチャーだとすれば、あの間合いで戦闘をしていたのは疑問が残る、だからキャスターかアサシンだ。 「あの狐耳、飾りでなければ狐に関わる英霊なんだろうが……」 「……安倍晴明、は違うかなー、どう見たって女だったし」 狐にまつわる英霊を考えて、マリナは“母が狐である”という伝説を持つ陰陽師の名を思い出した。 だがあの時対峙した狐耳のサーヴァントは、どう見ても女だった。 「母親の葛葉姫という線もあるが……」 口には出したものの、康一自身その線は薄そうだと思っている。 マリナも同じだ、仮にランサーと同じように安倍晴明が実は女だった、という考えも浮かんだが、やはりランサーのケースが特殊なだけだと直ぐに考えを改める。 「やっぱり街に出るしか無いんじゃない?」 現状遭遇したサーヴァントやそれ以外の何かの考察も大事だが、新しい情報を手に入れる必要性が増すばかりだった。 使い魔を飛ばす事も考えたが、日中の内はあえて自ら外に出る事をマリナは提案した。 なぜならば――。 「食料も買い足さないといけないし……」 「……申し訳ない」 七貴邸の冷蔵庫は凄惨な有様だったが、それに決定的にトドメを刺したのがランサーだった。 もう米も無い。 もう、味噌も無い。 ――ランサーは3度、おかわりをした――。 [No.357] 2011/05/24(Tue) 22:00:00 |