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トンネルを抜ければ、そこは血の雪国だった。 そんな訳の分からないことを考えてしまうぐらい、橋口圭司は切迫していた。 「俺のパジェロに触るんじゃねえ!」 棒の先から出た水流が血管を押し流し、車から遠ざけられる。そのまま水流はグンと収束して勢いを増し、レーザービームさながらに血管の塊を打ち砕いた。 ――きりが無い。 銃声を聞いて駆けつけはしたものの、遠すぎた。そして、遅すぎた。 マスターとサーヴァント達がもたらす濃密な霊の匂いに惹かれた、のかは知らないが、聖杯戦争の開始と同時期に発生し始めた「血管」達が、そこらじゅうにいたのだ。 ビクリビクリと脈動し人に群がるそれは、餓えた単細胞生物のようにも思えた。 いや、事実そうなのだろう。 飢えを満たそうとする群体。それ以上でもそれ以下でもない。そしてこれは。 ――聖杯戦争に「無くてはならないモノ」 副産物などという甘いものなら、寧ろ討伐指令が魔術師たちに下っていたっておかしくは無い。 『聖杯戦争には関わらない形で』、何者かが関わってきてもおかしくないはずだ。 だが、そういう気配は無い。 ならばこれは、聖杯戦争を為すパーツ、即ち、「聖杯そのもの」なのだろう。 血飛沫を、得物に『巻き取りながら』橋口は考える。 そして、血を水流の刃に変え、血管に向かって打ち下ろす。 激烈な重さと速さを伴った水分が、血管たちを豆腐のように粉砕する。 だが、まるで状況は打開できない。 数が多すぎる。 根があれば断つところだが、その気配は見えない。無意識の悪意の如く、どこともなく現れ、いくらでも涌く。 橋口は覚悟を決め、パジェロに乗り込んだ。 どの道、動かなければ活路は無い。そして、どうせなら偵察もしてしまいたい。 ―――お前らが、悪意なら。 開けた窓から棒を突きだし、水流の刃で前方を刈る。 ―――俺がそれを呑みこむ。 4WDが、災禍の中心へと走り込んでいった。 [No.371] 2011/05/24(Tue) 22:15:10 |