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「おうええええ……!!」 壁に寄りかかりながら、内臓をひっくり返すような嘔吐をする橋口圭司。 『血管』達のいない方へと逃げた後、彼はパジェロのフロントガラス越しに、『その巨体』を見た。 車を降り、地に三尖刀を突き、地脈を見た。 ――――持って行かれた! 龍脈と意識を接続した瞬間、生命を剥奪せんとする意思が彼の中に流れ込んだ。 呪詛。 死ね、苦しめ、命をくれ。 血を抜かれ、代わりに泥を注入されたような感覚が彼を支配した。 吐瀉物には、黒い『何か』が混じっている。仙人たる彼の力が、辛うじてその『毒』を物理的に弾きだせたのだろう。 橋口は吐き気をこらえながら、手のひらいっぱいの松の実を一気に口に押し込み、嚥下した。 ――――あれは、ヤバい。 橋口の中の「魔性」が告げている。 逃げたい。帰りたい。足が震える。 けれど。 ――――ここで帰って、意味などあるのか? あれは間違いなく、今回の聖杯戦争に関わるものだ。 知らずにいる、ということは許されない。いつかは必ず対峙する。 ならば、今逃げてしまったら、それは『自分ではあれに勝てないと宣言するようなものではないか』。 そんなことは認められない。 あれが『呪詛』なら尚の事、如何なる手を持ってしても叩き潰さなければならない。そのために聖杯戦争に参加したのだから。 パジェロに乗り、アクセルを踏む。 ――――冷静になれ。 橋口は自分にいい聞かせた。 銃声が聞こえた。 ということは、マスター同士の対決があったのだ。 そして、そのマスターたちは、あの、『悪意を煮しめたような巨大な血管』を『使役していた』のか? 恐らくはノーだ。余波だけで人を殺戮せしめるような呪詛の塊など、まともな英霊(というのも変だが)な訳もない。 狂化した英霊、というならまだわからないでもないが、自分がバーサーカーのマスターである以上、それもない。 ならばあれは、純然たる魔物なのだ。 そしておそらく、マスター連中はアレの退治、あるいはアレから逃走を図っている。 回り道をしつつ、『血管獣』の目線の先へ向かうべくハンドルを切っていく。 ―――― 「うおっ!?」 左の角から現れたパジェロが、反射的に左へと切れていく。 パジェロが停車し、降りて来たのは、長い棒を手にした背広姿の男だった。 『こんなところに』いる。 ただそれだけで、彼らはお互いの立場を最低限理解した。 「……御覧の通りだ。」 「ああ。 自己紹介は、後の方がよさそうだな。」 康一が肩をすくめると、背広の男が腰を低く落とし、棒を血管獣に向けた。 その先端に、水が回転し渦を巻き始める。 「よせっ!」 「何?」 康一が叫ぶ。 「『あれ』には無駄だ。」 「……自動呪詛返し(オートカウンター)か。」 ――――余計なことをするな、被害がこちらに及ぶ。 康一の切迫した声に、背広の男は言外の意味を読み取り、『あれ』の特性を改めて理解した。 「あの娘っ子は?」 「お前に言う理由は?」 背広の男が血管獣に対峙するアサシンについて問うも、康一は警戒を緩めない。 「……。 あれを倒そうとしているなら、協力する。 俺は、橋口圭司。バーサーカーのマスターだ。」 信じてくれと言う代わりに、橋口は、棒から放った水流の刃でアサシンに向かう触手を一つ切り裂いた。 [No.373] 2011/05/24(Tue) 22:16:32 |