![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
「……えげつね。」 内部から炸裂する血管獣の姿に、あれがキャスターとして召喚されていなくて良かったと、心の底から思った橋口である。 ―――― 「怪我人を抱えてる。早く戻りたい。」 「分かってる。」 言葉とは裏腹に、康一は『糸』の用意をしていた。 回答次第では、今殺す。 否、今『殺せる』。 その選択肢は、七貴マリナに対してさえ、常に準備しているものだ。 「何故わざわざ、アレの前に現れた。」 「偶然だよ。偵察に来ていたら、戦闘の気配があった。」 「理由にならないな。」 「んー……。 『拘り』、では、納得しないか?」 顎をさすりながら言う橋口に、嘘を言う様子は見られなかった。 「何を。」 「正々堂々と……とまでは言わないが。 漁夫の利で勝ちたいとは思わん。 それに、『あんなもの』を無視して逃げたとなったら、俺は寝ざめが悪い。」 「早死にするぞ。」 「違いない。 だが、お前らの倍は多分生きてる。だから許せ。」 バンの中から、七貴マリナが天川希の治療をしつつ会話に耳を傾けていた。 敵ではない。いや、敵ではあるが、今は敵対していない。 本来利益を奪い合う存在であるマスター同士が共闘関係に至るには、それなりの利と理が必要だ。 バーサーカーのマスターの、今回の行動は、評価に値する。 だが、魔術師の人格というのは往々にして、余人の理解を超えるものだ。 『いい人そう』と、『悪い人そう』という感覚は、魔術師を見る上で最も役に立たない評価基準である。 「何故、英霊と一緒に来なかった。」 「ん……。」 当然の疑問に、橋口は唸った。その様子を見て、志摩康一は隠すべき何かがある、と確信する。 「負傷していて動けない」 「既に敗北しこの世にいない」 「たまたまはぐれているだけで近くには居て、同じく偵察行動をとっている」 言い訳は、いくらでもある。 そのどれも、選ばなかった。 「まあ、いいか。そちらの英霊も見せて貰ったことだし。」 橋口は嘆息し、渋く笑った。 「……白状すると、うちのバーサーカーは『運が強くて』ね。 原理はわからんが、一緒に行動してると『不利な相手と出会えない』。情報不足で困窮してたところなんだ。」 「そうか。」 「そうだ。」 「その運が強いバーサーカーと離れたところで、個別に殺されるとは思わなかったのか?」 「それ以上に、敵の顔もわかんないってのが不利だと判断した。 必要なリスクだ。こっちも戦術ってものがある、知らないうちに知らない奴に分析されるのはごめんだ。」 間。 「帰っても、いいかな?」 「ああ。こちらも負傷者の手当てがある。」 「俺も疲れた。」 だいぶ、分かった。 『戦術を必要とするバーサーカー』。――――同盟を組んでいる自分が言えた義理ではないが――――それなりに癖の強い英霊なのだろう。 最近郊外に集まった多数の人の気配は、まあ、三分の一ぐらいの確率でこいつ。 「じゃあ、次は万全の状態で出会おう。」 「――――逃がすと、思ってるのか?」 背を向けた橋口に、康一が言葉を投げた。 「思ってるさ。」 橋口は振り返って笑った。 「お前も、『あの時俺の背を狙わない程度には』、拘りがあるようだからな。」 「……俺も早死にしないようにするよ。」 「是非そうしてくれ。」 そして、パジェロは行った。 [No.376] 2011/05/24(Tue) 22:18:51 |