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暗い暗い場所にあって、その部屋よりも尚暗く淀んだ空気の若者が不機嫌そうにそこにいた。 「ふ、ん。空涯の若造がよもや小聖杯を用意してくるとは」 若者でありながら、何処か老人染みたその男が忌々しげに呟く。 閉じられたその左目に、彼の湖庭市に張り巡らされた網に掛かった、遠い地の映像が映っている。 「ワシの用意した聖杯ではなく、若造の聖杯に注がれるとは……まぁ、いい。どの道大聖杯は此方で確保してある」 彼、加賀宗造の左目に一人の女性の姿が映る。 加賀円、今の宗造の戸籍上の妹であり予備の胎盤。そして、宗造が試作品の小聖杯にした贄。 「生きた令呪も、この小聖杯も…予想より下回るな。予定通り、次回以降が本命と言いたいところだが……少々イレギュラーが多すぎる、次を開けるかどうか」 黒化英霊にクラスカードの散逸。黒化英霊に関しては最強の駒を手に入れたので良しとする、カードの散逸も最終的にすべて自分の手に収まればよし。 だが。 「局外騎か、よもやあのようなモノを……下手すればこの地の地脈が駄目になる、そうなれば次を開けん」 次回以降を本命としてきたが、此処に至って次回以降を出来るかどうかが怪しくなってきた。 「ふん、ならば……此度の聖杯戦争に本腰を入れねばならんか」 既に回収したクラスカードはアーチャーとライダーの2枚。だがその代償にヘラクレスは7度死んでいる。 第五次聖杯戦争のバーサーカーよりも劣化しているとはいえ、それでもそこまで簡単に死ぬはずはないと思っていた。が、生きた令呪で縛った所為で能力が幾らか落ちていた、その所為で本来は喰らわずに済んだ宝具の直撃を受けて既に半分以上の命のストックが失われている。 現状、生きた令呪の弓と黒化バーサーカーのヘラクレスは鬼札というにはいささか足りない。 「ランサーは混血の餓鬼、セイバーは志摩の小童、キャスターは英国の小娘……残りはアサシンだけか」 こうなると既に黒化英霊がサーヴァントを減らすのは期待できないだろう。 すっとアーチャーのカードを取り出す。 「小娘の従えるアーチャー、あれが破れれば……ワシ自らマスターとなるのも吝かではない、が」 クラスカードと小聖杯に収まった英霊の魂、そして空いたクラスの枠。 この3つがあれば宗造ならばサーヴァントを1体追加して従えるのは不可能ではない。そもそもこの地のサーヴァントシステムを構築したのは彼なのだから。 「やはり問題は若造の持つ小聖杯か」 何処までも忌々しい。 加賀の小聖杯にアーチャーの魂が収まればそれでいいが、その可能性は低いだろう。 しかし、今の手札で空涯とそのサーヴァント2体を斃すのは不可能に近い。 「その前に、ワシの小聖杯に躾をせねばらんか」 くつりと、宗造は左目に移る加賀円を見て嗜虐的な笑みを浮かべた。 ● 加賀円は、七貴マリナの家…つまりは七貴の工房に急いでいた。 円はマリナと仲がいい訳ではない。それどころか、お互いに距離を取っているような間柄だ。 だが、舞子という共通の親友がいる。 円が急ぐのは、その舞子の為だった。 マリナが死ねば、舞子が悲しむ。ただそれだけの理由で今円は命を賭けていた。 加賀宗造の犯したルール違反。 黒化英霊という定数外を、彼女の姉を生きた令呪として縛り従えた事。 その黒化英霊のクラスはバーサーカーで、真名はヘラクレスであること。 ヘラクレスの宝具である十二の試練のこと、すでに7度死んでいる事。 これら、円が知りえた事を知らせる為に走っていた。 円は知らない。 この己の行動に対して既に宗造が動き出したことを。 そして、自分の身体が加賀の小聖杯として弄られていることを。 [No.379] 2011/05/24(Tue) 22:20:36 |