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● ――――いずれ全ては解き明かされる。 世界の仕組みを知らぬ、若き道術師の戯言と思った。 橋口凜土は、ただの魔術使いだ。それでも、世界の成り立ちは知っている。 全ては「」から生まれ、流れ出し、後はただの支流に過ぎない。 橋口圭司の言った「解き明かす」とは、支流の元をたどり太い流れを改めて支流に分割する行為に過ぎない。 それではだめだ。その方法では「」に至れない。それは世界の仕組みではない。 だが、凜土はたまに思う。 やはり、神秘の秘匿など意味がないのではないか。人の知力の果てにこそ、「」への道があるのではないか。 そもそも、知識として蔓延することに依る「支流化」と、「根源から遠ざかる」こととは、イコールではないのではないか。 寧ろ、知識の蔓延、即ち支流化を推し進める人の営みこそ、緩慢なれども確実に「」へと歩む王道なのではないか。 魔術の才に乏しい凜土は、たまにそう思う。 ● ならば、暴きたてられた神秘こそ。 無為に成り果てた過去の魔術にこそ。 愛する価値がある。 『かつて魔術と呼ばれた何か』に貶めてしまってこそ、価値は生まれるのだ。 「そうか。」 凜土は、甥の正しさを知った。 人の知恵は尊い。 たとえそれが「」へ到達するのに及ばなくても、神秘を神秘だったものに変えてしまうのは存分に価値のあること。価値を「生む」こと。 「」など、至れなくとも構わん。何もかも暴きたてられ荒野に変わってしまえ。 荒らされつくした廃墟にこそ、理想郷は夢想されるのだから。 「キャスター。」 凜土が呼ぶ。 「うむ。」 英霊が応える。 「聖杯、分解しようか。」 [No.433] 2011/06/02(Thu) 20:42:07 |