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勇治とタマモの目が点になる。 何を言っているんだ、こいつは。 顔がそう語っている。 「知ってるかどうかはともかく、僕は君が倒したバーサーカーとコンビを組んでいた。 が、御覧の通りの敗北だ。」 「味方が、欲しいと。」 「そういうこと。」 勇治の声から警戒の色は消えない。 「都合のいいことを。」 「今更だね、『プレイヤー』。自分の都合のいいようにしていくのは、ゲームの鉄則だよ。」 「……。」 「守れとも言わないし、守るとも言わない。 お互いの目的を理解した上で利益になるように働き合おう、なんていうつもりもない。 ただ、戦いたくないだけ。」 「そんなことが!」 約束できる訳ないだろう。 「理由はどうあれ、君は僕の大事な親戚を殺した。」 「それは、」 「戦争だから仕方ないだろう、と言いきるのであれば、もう話すことはないよ。素直に消えよう。 ……そうでないなら、もう数分だけこちらの話を聞いてくれないかい?」 「……。」 警戒は解かないが、沈黙で応答する。 「キャスターも僕も、戦闘に関しては素人だ。 先日のモールでの戦いでも、僕らはほうほうの体で逃げ帰ったのが現状。」 「アーチャーは、生きているのか。」 「ピンピンしてるらしいよ、残念ながら。」 「……。 バーサーカーは、一般人を巻き込んだ。」 数百に及ぶ人間を洗脳し、武器として防具として扱った。勇治にとって、それはとても許せることではない。 それを、どう思っているのか。 「そうだね。」 勇治の問いを凜土は軽くあしらった。 自分には関係ないとでも言いたげに。 「何故一般人を巻き込んだ。」 「それは君があいつに訊くべきことだ。僕が応えることじゃない。」 「……お前は。」 容認していたのか。 言外の意味を捉えつつも、凜土は言葉を返さない。 「僕は聖杯戦争の終わりが見たいんだ。 だから死にたくない。 君たちは、『僕らの良く知る』バーサーカーを倒した。とてもとても怖い相手だ。 敵に回したくはない。」 見上げるように見つめる凜土の眼が、勇治を試している。 にやついた唇に、虚偽にまみれた真実を感じ取っている。 「……キャスター。」 凜土の発する声に勇治は体をこわばらせる。 だが、呼ばれた当のキャスターは、杖をその場に放っただけだった。 武器を手放したサーヴァントに、勇治の手元の力が揺らぐのが見えた。 ――――思った通り、素敵なお坊ちゃんだ。 人質を取る戦術に嫌悪感を感じていた彼は「真っ当な正義感を持っている」と、凜土は見抜いた。 たとえそれが敵であろうと、武器を捨てた相手には多少の情を感じる。そういう、普通の、しかし、「魔術使いとしては異常な」、人間だ。 「敵対の意図があれば、初めから拠点ごと焼き払っている。」 「……。」 凜土の言葉に、勇治は薄く反応する。 「詳細は明かせないが、うちのキャスターはそういう術を得意とする。 反面、君のアサシンのような 小回りは不得手でね。対人戦闘には頗る向かない。 アーチャーほどの精密な射撃も残念ながらできない。」 凜土の横で、キャスターが心なしか不機嫌そうな顔をしたようだ。 「はっきり言って、僕ではキャスターを扱いきれないことが分かってしまったんだ。 だから、お願いをしにきた。」 「目的は何だ。」 「先ほど言った通り。不可侵を要求する。協力しろとは言わない。できるとも言わん。 ……そうだな、信頼の証と言っては何だけど、一応条件を同じくしておこう、勇治君、タマモ君。」 そう言って、凜土は仰々しくキャスターに手を差し出した。 「彼の名は、アメンホテプ4世。」 [No.439] 2011/06/02(Thu) 20:50:09 |