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「…………あ」 言葉面だけでかなり驚いたが湖面から足が突き出ている事自体は、シンクロナイズドスイミングを思えばそう不思議でもないことに文絵が気付いたのは、和彦の発言からまるまる1分が経とうとしたぐらいだった。 何故湖で?1人で?と思わないでもないのは仕方がない。 安曇は小説家だけに犬神家の一族をすぐに思い出したが、光景の異様さ自体は閉口するには十分である。 ちなみに、雫は未だ応対に悩んでいた。 「と言うことは、マリーアさん泳いでたの?」 実際は泳ぐとは違うのだろうが、そこに適した言葉が文絵には出てこなかったようだ。 語彙が大事だと思われる瞬間である。 「まあ、そんな感じ……ですね」 文絵の質問にマリーアが多少詰まりつつ答える。泳ぐ、と言う言葉で返していいのか迷った感じだった。 「それにしても、湖から逆さに突き出たマリーアさん……の姿を見て惚れちゃうかぁ……」 とりあえず、文絵には理解出来なさそう状態だった。多分、その辺りは安曇と雫もそうだろう。 「湖面から逆さに突き立っているにもかかわらず、均整の取れた体に、素晴らしい脚線美。 何より、完成された絵画か何かのような………そんな、光景でした」 話を聞いていると何か恍惚としている気がしないでもないのだが、当の本人はまったく気にも留めてない。 その時の事を暴露されているマリーアはと言うと………何か安堵している雰囲気がある。 「なるほど、衝撃的な出会いだったわけだ」 「はい!今思い出しても身震いするぐらい、衝撃的でした!!」 落ち着かせようとやんわりと言ったつもりだったが、和彦のテンションは上がりっぱなしのようだ。 これは時間を置くしかない、と安曇はあきらめて運転に集中する。 「多分……か。何事も起こらなければ良いのだけど」 ぼそっと、雫がつぶやいていた。安曇にだけ聞こえるようにわざとだろう。 「何か心配事か?」 「多分、と言う所が引っかかる。本人の意図し得ない所で、厄介なことが動いてそう」 多分と言うのは、恐らくさっきのマリーアの返事のことだろう。 固まってるのかと思いきや、そのことを考えていたらしい。 「分からないことは危惧してもしょうがないさ。今は社会見学を優先しよう」 その時、歩道の方にミレニーとジョジョがいたのだが、幸か不幸か、お互いに気付くことはなかった。 [No.489] 2011/08/05(Fri) 01:24:05 |