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「砲撃の練習もしておくべきだな、動いている相手に当てるってのは思ってるよりずっと難しいぞ」 アスタのガンイージの赤く塗装されたメインカメラが妖しく輝く、その輝きに危機感を覚えた直後、トウゴの操るヴィクトリーガンダムの右腕が切り飛ばされる。 ヴィクトリーの眼前で低く屈み込んだガンイージがビームサーベルを抜き、それを一閃させたのだ、ライフルを構えたままの右腕が宙に舞う。 「まだっ……」 「いや、ここまでだな」 接近戦のセンスは遥にアスタの方に分がある事をトウゴは意識していた、あらゆるマニューバにおいて、トウゴはアスタに比べて明らかに練習不足ではあるのだが、接近戦に限ってはアスタはトウゴに比べて天性のものが違った。 ガンプラバトルといえど、機動兵器の接近戦でモノをいうのは空間認識能力と経験則……すなわち、“間合い”だ。 アスタは圧倒的に間合いの取り方が上手い、ヴィクトリーが迎撃に放ったバルカン砲をきっちりビームシールドで防いで、相手の後退に合わせて距離を詰める、自分の持つ得物の間合いから逃さない為に。 「両手を塞いだのは間違いだったな、距離を詰められるとそのバズーカは役に立つまいよ」 ヴィクトリーの残された左腕に構えられたままのバズーカをちらりと見ての呟きと共に、ガンイージのサーベルが鋭く突きを放つ、それはアスタの宣言通り、戦いをここまでにした、ヴィクトリーのコックピットを貫いたのだ。 〜特訓!、トウゴ対アスタより〜 【ガンプラ】 名称:ヴィクトリーガンダム ベースキット:1/144ヴィクトリーガンダム 制作者:ミヤハラ・トウゴ 解説: アスタとの特訓用にトウゴが用意したガンプラ。 スミイレが施されているくらいで、ほぼそのまま組み立てられたモデル。 チョイスの理由は特訓の為のベーシックな性能と武装を持つ機体という条件に合致した為。 他の1/144Vガンダムシリーズの武装を流用したりなど、アスタとの特訓で様々な戦い方をトウゴはこの機体で模索した。 ……もう何戦目になるか、トウゴのヴィクトリーガンダムを相手にしながら、アスタは頭の片隅で考える。 何度倒しても、新しい戦術で挑んできて、未熟そのものだった操縦技術も、次第に洗練されていっている、ばびろに屋の常連であるトウゴとは何度も話した事があるが、こんなにも情熱的な面を持っていたとはアスタは知らなかった。 「よほど、あの女の子に負けたのが悔しかったみたいだな」 接近戦に持ち込もうとするアスタのガンイージを近づけまいと、トウゴのヴィクトリーがバルカンで牽制する、それを防ぎながら、アスタの口から思わずそんな言葉が出た。 別に答えを望んだ訳ではない独り言だったのだが、トウゴは律儀にアスタのその呟きに応えた。 「えっ、いや、たしかに悔しかったけど、違いますよ」 「そうかい、じゃあなんだ、惚れたのか?」 トウゴの戸惑いが感じられる声色に、アスタはからかうつもりで言った、が。 「はい」 「へっ?」 「その通りなんです、やっぱり判ります?」 たしかに、たしかに可愛い女の子ではあったと思う、だがアスタはトウゴのそんな答えを予想していなかったので、少し目を丸くした。 慌てて否定でもするかと思っていたのだが、返って来た答えは実にあっさりとした肯定だった。 「もう一度あの子に会って、今度は俺の本気を見てほしいんです、だからっ!」 ガンイージをいつまでも牽制できないと悟ったトウゴのヴィクトリーが決意して両手でビームサーベルを抜いた、二刀流だ。 敢えて相手に分がある接近戦を挑むからには覚悟あっての事だ、話をしながらでもトウゴの闘志をアスタは感じた、初めてみるその情熱の正体に面を食らいながらではあるが。 「上等だ……!」 互いに右手に握ったビームサーベルが鍔迫り合う、瞬時にヴィクトリーの左手に握られたサーベルが振り上げられるが、当然アスタにはその機動が読めている。 鍔迫り合いを放棄し、半歩ほど後退したガンイージがビームシールドを展開しながら半身を反らす、ヴィクトリーの右手のビームサーベルは展開し始めたビームシールドにいなされ、左手のサーベルは鍔迫り合いから解放されたビームサーベルでヴィクトリーの手首ごと斬り落とした。 「まだまだぁっ!」 手首を斬りおとされたヴィクトリーの左手のビームシールドユニットが前面を向き、光のシールドを形成する―――――。 〜特訓!、トウゴ対アスタより〜 [No.574] 2013/12/14(Sat) 12:53:58 |