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川西光矢は童貞ではない。 かつて、時計塔に師と仰ぐ女性がいて、“そういう手解き”も受けたからだ。 体液には多量の魔力が含まれるため、魔術と性交渉には浅からぬ関係がある。金欠の魔術師は精液を売りに出して金策を行うほどだ。 いざという時にヤり負けないように――というのが、手解きをした時の師の言葉だったが……ついぞ、それがどういう時なのかは教えてはくれなかった。 「こういう時……って、予想してたわけでもないよな? 師匠」 心なしか少し黄色がかって見える電灯と天井を見上げて、光矢は独りごちた。 と同時に、脇腹を小さな拳が小突く。 「ぐえ」 軽く、しかし鳩尾を的確に貫く嫌らしい小突きかただった。思わず呻く。 傍らにいる拳の主に非難の視線を送る。 傍らに寝ているのは、少女だ。少なくとも一見すればそう見える。 肩で揃えた黒髪に褐色の肌、翡翠を思わせる深い碧の瞳。人間であれば――15、6歳か。もっとも、髪の隙間から覗く耳は猫科を思わせる獣のそれで、まず以って外見の時点で人間ではない。 サーヴァントだ。 「今、他の女のことを考えましたね」 拳ばかりか指摘までもが嫌らしく、かつ鋭い。 「……驚いたな。サーヴァントってのは心が読めるのか」 「そのぐらい仮にも魔術師(キャスター)クラスなら造作もないことですが。マスターの後学の為にご教授すると、世の女性の9割9分はそのぐらい読みますよ。勘で」 「知りたくない事実だったよ」 嘯いて肩を竦める。 本当は知っていた。つまるところ、それも師匠の手解きだ。 ごす、ごす、と続けて拳の追撃が鳩尾に来る。 「一度寝ただけで嫉妬するのはちょいと情が深すぎやしないか、キャスター? 抱けって言ったのはそっちだぜ」 「マスターの魔術回路の空前の腐りっぷりなのが悪いのです。キャスタークラスのマスターのクセに最低限の魔力供給も侭ならないなんて正気ですか。アホですか」 サーヴァントは死者が蘇っているわけではなく、エーテルで構成される仮初の身体に英霊の複写を降ろしている、一種の降霊だ。 その維持にかかる膨大な魔力の大体は聖杯(今回は上海の霊脈)が補填するのだが、マスターもイグニションキー程度の魔力は消費しなければならない。 が、キャスターによれば光矢は魔術回路の編成に聊か問題がある(これ自体は光矢も既知のことだった。それゆえに時計塔を放校となったわけだ)ため、これが上手く機能していないらしかった。 結果として、サーヴァントを召喚した光矢の最初の仕事はキャスターを抱くことと相成った。 先述の通り、体液は魔力を含む。性交を通じて魔力の流れる経路(パス)を構築する程度、キャスターには造作もないことだった。 「へいへい、へっぽこなマスターでどうも悪うござんした」 「事後の話題選択も最悪です。閨に仕事を持ち込む男とかサイテーです。何が『わかってくれないかな?』ですか。『最高の夜だったよハニー』ぐらい言えないんですか」 「ハニーって呼んだほうがいいのか?」 「やめてください怖気がします」 「理不尽だ……」 げんなりとしてベッドを降りる。ここはダメだ、自分の勝てる戦場ではない、 いそいそと服を着ながら、問う。 「……そんでサイテーついでに聞くけど、問題は解決したのか?」 「まぁ、宝具を開帳しなければってとこです。“神殿”を構築すれば自力で魔力を調達できますけど、この空の上ではなんとも」 「第一目標は橋頭堡作り、か」 キャスタークラスはその名の通り、魔術師の英霊だ。 魔術師は往々にして自分の研究室たる“工房”という魔術陣地を構築して拠点とするが、キャスターはその数倍〜数十倍も強力なものを構築するスキルを備える。 そうした魔術陣地――光矢のキャスターならば“神殿”クラスが構築可能だ――は地脈から吸い上げた魔力を術者に供給する機能も備えるため、上海に神殿を築けば現在の魔力不足程度は容易く解消されるだろう。 「よし――そろそろ時間だ、行こうぜ。敵陣に踏み込む前に他の連中と顔合わせとかないとな」 キャスターは、掛け布団を引き寄せたまま光矢に視線を送った、 どんな言葉を求めているのかはわからない。女の心全てを悟るには、師手解きは全く不足だった。 なので、光矢の打てる手は一つだけ。 悪足掻き(チェンジ)はなし。そのまま勝負(コール)だ。 「……頼りにしてるぜ、“スフィンクス”」 真名で呼ばれて、キャスターの猫っぽい耳がぴくぴくと動く。 一先ずは合格だったのか。キャスターはベッドをひらりと降りると、キトンを纏った姿となって床に降りる。 「えぇ! 存分に頼りにしてくださいまし、マスター」 ふん、と鼻を鳴らして誇るように言うキャスターに、光矢は苦笑した、 ● 【名前】川西光矢 【契約CLASS】キャスター 【魔術回路】数:15 編成:異常 【魔術系統】元素魔術(フォーマルクラフト) 【解説】 日本の既に枯れた魔術師の家系の末裔。 古い知己の魔術師に見出され、時計塔へと留学するが才能は低く知己の魔術師が時計塔を去ったのに合わせ放校となる。 以来、国内で魔術を利用し奇術師や探偵紛いの稼業で生計を立てていたところを黒木遼少尉に捕捉され、今回の呼集に応じた。 少尉曰く、魔術師としては三流だが魔術使いとしてはなかなかのもの。 Caster MatrixLevel:1 【CLASS】キャスター 【マスター】川西光矢 【真名】スフィンクス 【性別】女性 【身長・体重】154cm 48kg 【属性】秩序・善 【ステータス】筋力C 耐久D 敏捷E 魔力A+ 幸運E 宝具A 【クラス別スキル】 ・陣地作成:A+ 魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。 “神殿”を上回る”大神殿”を形成する事が可能。 ・道具作成 D 魔力を帯びた器具を作成できる。 【保有スキル】 ・高速神言:A 呪文・魔術回路との接続をせずとも魔術を発動させられる。 大魔術であろうとも一工程(シングルアクション)で起動させられる。 智慧の神ムーサの手解きを受けた神代の魔術。 ・怪力:D 一時的に筋力を増幅させる。魔物、魔獣のみが持つ攻撃特性。 使用する事で筋力をワンランク向上させる。持続時間は“怪力”のランクによる。 ・気配察知:B ピキオン山の守護者としての権能。 一定範囲内への侵入者の位置を捕捉可能。 このランクならば数百mの範囲を容易にカバーする。 気配遮断で存在を隠匿していても判定次第で見破る事が出来る。 ・神託:C 神のお告げにより、その状況での適切な判断ができるようになる。 ランクCの場合、キャスターにとって回避の難しい悪い情報でしか効果を発揮しない。 【宝具】 ― Unkown ― 【解説】 ギリシャ神話に語られるピキオン山の怪物。 旅人を捕らえては謎かけをし、答えられなかった者、間違った者を餌食にしていた。 そのため往来が途絶え、テーバイの住民は大いに苦しんだという。 英雄オイディプスによって謎を解かれ、海に身を投げて死んだとされる。 [No.631] 2015/11/24(Tue) 22:23:10 |