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上海の夜は、今日も暗かった。 首尾よくゴミ……もとい、骨董品を盗み出した泥棒達が、首尾よく警察に御用となった、そんな一日の一コマがあったのだ。 そんな一コマのどさくさの内に、骨董品の一つに“たまたま”流れ弾が当って、 それが原因で故障した骨董品が、“中の物”を蘇生させたとしても、それは警察には何の落ち度も無い事だ。 唯一つ落ち度があるとすれば、それを警察がゴミと間違えて回収しなかった事だ。 それは何分、あまりに古い機械だったから、今の目でみればゴミにしか見えなかったのだ、骨董品なのだから、その価値がわからない事を責める事はできない。 まぁともかく、その“中身”は上海の地で目覚めたのだ。 「う〜ん……」 寒い、と感じて“中身”はぶるっと身震いした。 しかし寒い筈だ、夜中である事は勿論、機械の中に入る都合で、“中身”は薄着でいなければならなかったのだ。 「ふっ…はぁ……へっくしっ!!」 “中身”は盛大にクシャミをして、目を覚ました。 祖母から脈々と受け継いでいる青い瞳が周りを見回し、艶やかな黒い髪が肩でゆらゆらと揺れる。 「……?」 寝ぼけている事はこの際関係ないが、“中身”は状況がさっぱり判っていなかった。 自分が何故泥棒達のオンボロアジトに居るのかなんて、判る筈もあるまい、ましてや日本に居た筈の自分が上海に居るなんて、想像出来る筈が無い。 「此処……何処?」 それでも、“中身”は目覚めてしまったのだ。 コールドスリープにより、永く眠りについていた中身の名前は、雉鳴舞子という、遠い過去からの異邦人だった。 [No.80] 2011/04/30(Sat) 22:37:53 |