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型落ちのセキュリティを甘んじて使うほど迂闊で、そのくせ自身も警戒心に乏しく、サイバーウェアもロクに入れていないくせに生身の身体を鍛えてもいないとくれば、いっそ今日まで生き残っていたのが不思議なくらいだ。 『命と運を無駄遣いしたな、小僧』 蹴って転がしたストリート・ギャングの年は、せいぜい16、7。 ストリートで野垂れ死ぬ手合いとしては、聊か年嵩な部類だ。 それでこの迂闊ぶりということは、よほど豪運に恵まれたか、あるいは最近になってホームを飛び出したホワイトエリアのどら息子か。 『弾が勿体無かったかもしれんな』 絡んできたので適当に食い散らかしたが、懐を改めてみても出てくるのは残高の少ないクレッドスティックに、安いポートコム(携帯端末)、密造拳銃が一丁だけ。 これではコイツらの脳天に撃ち込んだ9mm弾7発で足が出てしまう。 『後は――コイツか』 「ひっ……!?」 ギャングのアジト……だろう、恐ろしくスケールが小さいが、たぶん……の奥で震えていた女が、自分に意識が向いたことを悟り、引きつった声をあげる。 『お楽しみ』の真っ最中だったのだろう。衣服は泥に汚れている上に引き裂かれて半裸だが、どうも病院着らしい。 病院着。ここらの闇医者ではまずお目にかかれないシロモノだ。ざっと値踏みするなら鉄格子つきのお上品な病院から逃げ出してきたグリーン(中産階級)以上のお嬢さん、と言ったところか。 差し当たり、ヤツらの遺品の中では一番カネになる。 『オーライ、お嬢さん。怯えなくていい』 見たところ生身だし、暴れられたところでどうということはないが、これ以上カネにならない面倒はノーサンキューだ。 俺は両手を開き、極力鷹揚な態度で宥めすかして見せた。 『俺は味方だ。 生憎、身分証明なんて大層なものは持ち合わせてないが、仲間は深選(フカエリ)と呼ぶ。 どうか、安心してくれ。手荒な真似はしない。君の両親なり保護者に、送り届けた時の充分な謝礼の用意さえあれば』 慣れない営業スマイルさえ浮かべてやったのに、このアマときたらあたりにあるものを手当たり次第に投げつけてきやがった。 「なんなのよっ!人殺しっ!来るな、近寄るなぁっ!」 ……いかん。返り血浴びたままだったか。 [No.82] 2011/04/30(Sat) 22:39:17 |