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血の臭い、を嗅ぐ事は初めてじゃない気がした。 自分でげろっと吐いた事があるのだ。 あの暗い部屋から目が冷めて、記憶が殆ど戻らないうちに漠然と「人を呼ばないと」なんて思って外に出たのがほんの少し前……だったような気がする、まだ自分の体感時間が不鮮明だ、頭も体も本調子では無い。 それはともかく、ともかくだ、私は今――凄くピンチだ。 「なんなのよっ!人殺しっ!来るな、近寄るなぁっ!」 正直に言うと、私は自分がもう少し穏かで“おしとやか”な方だと思っていた。 けれど今の私はそう――これがキレる、という事なのだろうか、頭の中で何かぷつんとスイッチが入ったように、思考を差し挟む余地が無く反射的に言葉と行動が出てきてしまう。 「来るなっ!、来ないでっ!、来る――っ!!」 ――っ!?。 何だ、苦しい!?、声が出ない、どうしたというんだろう。 「ぜっ!?、ぜぇ…!?、ぜっ!!」 「……どうした?」 「はひっ!?」 血に濡れた男が近づいてくる、私は後退りをする……が、声は出ない、それに体が固まったような私と違い、深選と名乗った男の足は速い。 「過呼吸はよくやるのか?」 「ひっ……ひっ……」 返事は出来ない、ただ首を横に振る。 「落ち着け、呼吸に異常が起きているようだ」 「ひっ……?」 確かに、喉が痛い。 どうしたんだろう、考える事も出来ない、喉が痛い、頭も痛い。 「……医者は、金が掛かる、そこまでしてやる義理は無い」 深選は、困ったように呟いた。 「無いんだがな……弾を使った事が全くの無駄になってしまうのも、癪な話だ」 [No.83] 2011/04/30(Sat) 22:40:03 |