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結論から言って、ロングイヤーは何とか“例の場所”に辿り着く事が出来た。 適度に人が出歩いていて、適度に人目に付き、適度に個人が目立たない場所というのが、アームズストリートの内にある“夜でも営業している”巨大玩具屋だった。 「つまり」 「貴方は情報を」 「手放したのですね?」 その玩具屋の“ピンク色の照明”の下で、同じ顔をした3人の男が、右腕を……消失した右腕の先を布で巻いて隠したロングイヤーである所の少女型の義体を囲んでいた。 「し、仕方なかったんだよぉ!?、判るだろ!?、俺もヤバ――」 「シッ!」 「むぐっ!!」 騒ぎ立てるロングイヤーの口を同じ顔をした男の一人が手で聊か乱暴に塞いだ。 続けざまに言葉をぶつけようとしていたロングイヤーは、その言葉の行き先を失って、言葉を少女の形をした容器に戻した。 「Mr.ロングイヤー」 「我々は」 「貴方を咎めているのでは無い」 口を塞いだ手をそのままに、3人の同じ顔の男は一言ずつ分けるようにして、ロングイヤーに言い聞かせる。 彼等の名前はそれぞれ、イー、アル、サン、当然偽名だ。 彼等はロングイヤーが連絡を取っていた相手の配下であり、ロングイヤーの要求に応じてこうしてこの場にやって来ていた。 「良いですかMr.ロングイヤー」 「貴方は既に“連中”に嗅ぎ付けられている」 「我々はそれでもなお、貴方に接触した、わかりますね?」 ロングイヤーはコクコクと頷く、正直な所いい加減口を塞いでいる手を退かして欲しかったのだが、これ以上の要求をして相手の機嫌を損ねる事を恐れたのだ。 「貴方が提供すべき情報を失った以上」 「今の貴方の擬態から、取り出せるだけの情報を得るしかありません」 「わかりますね?」 情報を取り出す、義体に補助記憶装置が付いている場合はこれのデータの洗い出しを指すのだが、そうでない場合は“本体”の脳に進入される事を意味する。 ロングイヤーの場合、前者なので差し迫って危機を感じるような要求では無い。 だが、補助装置とはいえ自らの専用の義体の一部を他人に預ける事は酷く生理的な嫌悪感を覚えた。 「わかりますね?」 「わかりますね?」 「わかりますね?」 そのロングイヤーの反応を見てか、イー・アル・サンは同じ台詞をそれぞれ一度ずつ三度も繰り返した。 量産型義体である為、同じ外見である事はロングイヤーも当然理解していたが、それでも申し合わせていたようなやり取りに気味の悪さを感じた。 口を塞いでいたアルの手がパッと退く、ロングイヤーの返答を聞こうというのだ。 「お、俺の高飛びの用意は?」 「一応用意はしてあります」 「ですが止めた方が良い」 「えぇ、止めた方が良い」 「何……?」 困惑の顔を浮かべるロングイヤーに、イー・アル・サンは困ったような顔を作った、内心ではほくそ笑んでいたのかもしれない。 「上海からの脱出は保障します」 「ですがそれからは保障出来ない」 「上海から出た途端に……」 3人揃って「「「ボンッ」」」と呟いた。 [No.87] 2011/04/30(Sat) 22:42:24 |