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――終焉の位階計画―― ロングイヤーが入手したそれは、その計画の一端に過ぎなかったがそれでも尚計画のイカレ具合がよくわかるものだった。 カルト教団「終焉の位階」が何者かの仲介で接触したナノ工学者が教団の依頼で作り出したナノ兵器「ベヘモス」。 有機物・無機物問わず分解し、それを原材料に自身をコピー生産するという無差別破壊兵器である。 もっとも開発者が精々二流の上といったナノ工学者である為にコピー時に劣化が生じて最悪の場合でも上海全てが呑み込まれるだけで済むだろうことは不幸中の幸いと言えるかもしれない。 また現在は制御プログラムが未完成な為に一度動き出せばすべて焼き尽くしでもしない限りは止まることはない。 終焉の位階計画は制御プログラムが完成した「ベヘモス」を使用してのテロによるデモンストレーションと、「ベヘモス」によるメガコーポの脅迫と要求であるらしい。 脅迫時の請求内容こそは不明であったが、それでもカルト教団にしてテロ組織らしいイカレた計画であることは確かである。 「仲介者は不明、ナノ工学者も特定はできなかったが普段はブシドー租界で闇医者してるそーだ」 ぐったりして精魂尽き果てたと言わんばかりに気だるげにロングイヤーが語り終えた。 「なるほど」 「嘘はなさそうですね」 「他には?」 尚も情報を引き出そうとするイー・アル・サンにうんざりとした表情を向けるが、なに言っても無駄だと判断して諦めて再び口を開く。 「ベヘモスは起動前はカプセル一錠分で起動コードを送られれば動き出すそーだ。あぁ、さすがにコードは分らんかったぞ」 むしろ、此処まで情報を得られただけでも俺すごくね? しかも、今回はまだ義体稼働してるしよ。 それなのに俺、すっげぇー扱い悪くねぇか? などと思っても口には出さない。 仲介者もナノ工学者も更にはコードも知らないと言って、現在進行形で役立たず的な視線を受けているのだから。 「頼むよぉ、口封じもなしにちゃんと俺の安全確保して上海から逃がしてくれよぉぉ、もうこれ以上この件に関する情報なんて持ってないからよぉぉぉ」 それよりもロングイヤーを襲ったのは教団でまず間違いないだろう。 つまりは制御プログラム未完成でもベヘモスを確保してメガコーポ脅迫、最悪ベヘモス使用に動くのは想像に難しくない。 ハッキリ言って、ロングイヤーはもう今すぐ泣き出したいぐらいにこの上海から逃げ出したかった。 恥も外見もなく、情けない声を出して懇願するぐらいには。 [No.89] 2011/04/30(Sat) 22:43:51 |