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地図を手に入れるだけならば、今すぐにでも真下の家からちょっと拝借すればいいのだが、昨今の地図は猫も杓子も電脳電脳で全くよくわからない。見方どころか起動の仕方すらわからない。 そういうわけで、地図を見るにもちゃんとここがこうだと案内してくれる人がいなければならないのであるが、真下のアパートメントはどこを見ても留守留守留守で途方に暮れていたところだったのだ。 家に帰れば毎日更新される地図情報を『如月』の構成員に手写しさせている私専用の紙の地図が何枚も転がっているのだけれど、今日に限って持ってくるのを忘れたのは不覚と言ってよかった。 地図が無いと瞬間移動も使い辛い。知らない場所に飛ぶというのはリスクも伴うのだ。気が付いたら、かべのなかにいる!では格好が付かない。 ともあれ、今しがた見かけた人物がまたどこかにでかけてしまわないうちにお邪魔して、このあたりの行政特区一帯の情報を手に入れない事には身動きが取り辛い。何せ、さっき捲いたサムライに仲間がいないとも限らない。出来る事なら瞬間移動でぱっぱと逃げ出したかった。 そうと決まれば善は急げと行きたいところだが、男女が――しかも片方は半裸で――連れだって住居と思しき建物に入っていったのだから、する事は決まっている。 流石の私もその辺りの分別は持っているつもりである。有史以来続く男女の営みを妨害するつもりはさらさらない。 ひとまず対象の二人組が入ったと思しき部屋の前に陣取って出てくるのを待つこととした私は、内部から痴話喧嘩のようなやり取りの断片が漏れ聞こえるのを聞かなかった事にしつつ、出てきた相手にどのように接するのが良いか考えることとした。 ここは功刀行政特区である。であれば、今しがたの二人も例のサムライとかニンジャの類であるかもしれない。 そうなれば、高圧的に出るなどした結果、下手に相手の神経を逆撫でして不味い事になるのは避けた方がいいだろう。強者と戦っていい事なんて一つもない。やはりここは、無害な少女が迷ったということで助けを求めるのが一番か。なにもウソついてないし。 そう決めた私は、第一声は「地図……見せていただけませんか」でいいだろうかなどと考えつつ、壁に寄り掛かって大事な日誌を抱きながら蹲る。どうせする事してからじゃないと出てこないだろうし、それならば相応に時間がかかるだろうと思って少し微睡む事にした。 [No.91] 2011/04/30(Sat) 22:45:17 |