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今度困った顔を見せたのは、意外な事に三男である所のサンだけであった。 その事にロングイヤーは気付かなかったが、イーとアルはサンの心の動きに気付き、やれやれと内心ため息を吐いた。 この弟は、聊か人が良すぎると思っているのだ。 「しかしMr.ロングイヤー、貴方の言い分も判りますが、イエロー……」 「サン、Mr.ロングイヤーは高飛びをお望みだ」 「我等はそれを拒む事は無い」 「しかし……」 これにはロングイヤーも気付いた、コイツ等は何か意見を違えているのだ。 しかしロングイヤーにとっては逃げる事が最優先事項、この際コイツ等の仲違い等関係無い。 「そうだよ!、俺は逃げたいんだ!、逃がしてくれるんだろ!?」 「…………」 「えぇ」 「勿論」 やはりサンだけが黙った。 彼等が利用している情報屋は何もロングイヤーだけでは無い、他の情報屋から「DOGS」と呼ばれるテロ屋が雇われているという情報を手に入れて居たのだ。 この情報の“真偽は定かでは無い”のだが、彼等の潜入工作や爆発テロの腕前は超一流だ、油断する事は出来ない。 確かに上海を脱出させる事は出来る、彼等の主であるArの影響力が強く行き届いている上海ならば、あるいは「DOGS」を牽制する事も出来るかもしれないが、その上海を脱出してから……ロングイヤーの安全を、サンは保障できない。 当然、サンにとっても彼は護衛を配置する程の存在では無い、護る理由は無いのだが、少なくともこの上海に居る内は主であるArの意向により彼の生命を保護する事も出来るのだ、だが、彼はそれを望んで居ない。 「それでは、空港は利用出来ないので、此方の用意した高速機をご利用下さい」 「我々の組織が所有する機体です、安全に、快適に、貴方を逃がす事を約束します」 やはりイーとアルだけが言葉を続け、ロングイヤーはその言葉に安心したように頷いた。 「お、俺を口封じしようとは……」 「Ar様はそのような無粋は致しません」 「快適な空の旅をお楽しみ戴けますよ、Mr.ロングイヤー」 「さぁ、行きましょう」と、ロングイヤーを連れて行くイーとアルに少し遅れて、サンも彼等と同じ判断を下した。 当人であるロングイヤーが望む以上仕方ない、後は「DOGS」が雇われているという情報がガセである事、ロングイヤーがせめて無事に逃げられる事を祈るしかない。 「貴方の旅の無事を祈ります、Mr.ロングイヤー」 誰に聞かれる事も無く、小さな声でサンは呟いた。 [No.93] 2011/04/30(Sat) 22:46:47 |