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私の安らかな睡眠は、暴力的な爆音によって妨げられた。 咄嗟に発した自身の言葉で、そういえば私は地図を探していたのだと思い出すが、どう考えても地図が手に入りそうな展開ではない。 何せ、眼前では電化製品を寄せ集めた即席のガラクタメカのようなものが暴れているのだ。 それに対峙するは見知らぬ少女が二人。何やら掛け声と思しき一声と共に無暗に派手派手しいドレスのような衣装を身にまとったかと思うと、およそ少女らしからぬ跳躍力と加速力でもって謎のガラクタに挑みかかっていく。 「ええと……」 二度目の爆音と共に私の呟きはかき消される。最初の爆発はあのガラクタの攻撃によるもののようだったが、今度はガラクタの腕が破壊されたことによる爆発のようであった。 片腕をもがれたガラクタは、もともと悪かったバランスを更に崩してそれでも尚暴れ続けている。 ただどうも眼前のガラクタは無差別に暴れているようで、私が狙われているわけではないらしい。さしあたっては目の前で抵抗してくるあの二人組の少女が邪魔なのだろう。狙いはそちらのようだ。 「そんじゃあまあ……ちょっと失礼して」 正直関わりあいになるとまた面倒が増えそうだったし、何の特にもならなさそうだったが、あの二人組の力には興味があったのでしばし遠間から観察をすることにした私は、ひとまず手近な建物の屋上へ飛んだ。 「魔術の類……ではないよね?」 寝ている間も抱えていた日誌に、見たところ感じたところを記していく。 速記などこの電脳便利世界である上海では廃れて久しい技術であろうけれど、なかなかどうして役に立つものなのだ。 一種記号のようなものなので読める人間が少ないし、何より魔術の行使にとって文字というのはやはり手書きが一番である。と思っている。 それはともかく、あの少女二人組は自身の数倍もの体格を持つ相手に善戦しているようであった。 技量としては黒い装束を纏った少女の方が上だろうか。敵の攻撃を的確に回避し、あるいは捌きつつ冷静に立ち回っているようだ。反対に白の少女は少し心許ない印象を受ける。まだ戦いに慣れていないといった感じで、身体的な能力こそはあるもののそれを十分に使いこなせているとはいえない。 こと体術に関して私は素人ではあるが、今まで上海で生きていればそのくらいはある程度判断できる。 「うーん……ってこっち?!」 私があの二人組の能力に対して更に考察を進めようとした矢先に、二人組の隙を突いたガラクタが腕を振りかぶったかと思うとその一部を構成していた家電製品をこちらめがけて飛ばしてきた。咄嗟に私は懐から術符を取り出して上に翳し、少しの距離を跳ぶことで直撃を回避する。 「びっくりしたー……」 安堵したのも束の間、続け様にこちらに向かって多種多様な家電製品が飛んでくる。完全に狙いを定められてしまったようだ。 功刀行政特区がどれだけ壊れようが全くなんとも思わないが、正直これ以上コイツに暴れられて騒ぎになられては面倒と私の罪状が増えるだけである。さっきのサムライもいつ現れるか判ったもんじゃない。ついでに地図が無いから帰れない。 直接的な荒事は好きではないがここはあの二人組に協力してさっさとガラクタを撃退してしまうのが吉と判断し、まさに戦闘が行われているその場に転移し、宣言する。 「我が名はイライザ・フランセス・霧積!協力してやるからさっさとそのガラクタを倒しなさい!」 様式美、というやつである。 [No.94] 2011/04/30(Sat) 22:48:14 |