![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
ナノブレイカー。 それが最初に発見されたのは、20年以上昔の事だ。 「本当にレア物だぜ、深選よぉ」 地下シェルターは同時に、ドクの研究室でもあった。 ドクは深選達と別れてから、ナノブレイカーに関する資料をデータバンクから“自らの”メモリスペースにダウンロードしていた。 ナノブレイカーが始めて発見されたのは20年以上も昔の事だ、 今よりもナノテク開発が盛んで、ナノテクに対する夢があった頃、限定的なナノマシンの利用による革新的な治療法が考案されたのだ。 その治療法は概ね成功を収め、数多くの患者が回復を見せたのだが……1名、ナノマシンの投与による成果を全く受け付けない患者が居た。 ナノブレイカーの共生者だったのだ。 当時まだ発見されていなかったナノブレイカーは患者の体内に侵入したナノマシンを外敵と判断し、攻撃した。 驚くべき事に、宿主に寄生して生きる生命体であるナノブレイカーは、究極的にはメカニズムであるナノマシンに影響し、対象をガン細胞化する事で完全無力化する事が出来たのだ。 「だが、それが原因でその患者は結局助からなかった」 ドクは考える。 舞子の病気は、今では治す事の出来る病気だ、だが“自然治癒はしない”、そして放置しておけば当然、死に至る。 「そいつぁ勿体無いぜ、深選よぉ。 せっかくのナノブレイカー、無駄にしないでくれよ……」 ドクが懸念しているのは舞子の命では無い、舞子が死ぬ事で、ナノブレイカーも死ぬのだ。 何処かでまた彼等に会う必要がある、ドクはそう思っていたし、そう願っていた。 あんなレア物を研究出来る機会は、一生に一度有るか、無いかだ。 「死ぬなよ、シンデレラ……ありゃ」 ここでドクは思い出した。 コールドスリープの件を聞いて、何となしに“シンデレラ”というフレーズが浮かんでいたのだが……眠りについた姫の童話はもっと別のタイトルだった筈だ。 何というタイトルだったか、それをドクはどうにも思い出せなかったし、そもそもそんな事にドクは大した興味も無かったのだ。 彼の関心は唯一つ、自分が作ったべへモスを、ナノブレイカーが果たして浄化出来るのか、否か。 [No.98] 2011/04/30(Sat) 22:51:42 |