最も聴き易い作品ですね。
書き物によると、ベーゼンドルファーのピアノ二台のうち運搬チームとのすれ違いため悪いほうの一台を弾くことになったらしく、中音域が比較的まずまずの音だったのでそこを使って反復リズム演奏に努めたらしいです(仮眠を取るのが苦手で、24時間近く眠っていなかったのとエンジニア・スタッフとの言い合いで疲れきっていたキース・ジャレットが、この最中、低・高音域よりは中音域の反復リズムのほうが心地イイことを知っていて演奏に用いたのはサスガだと思います)。 彼は上記の中、やっとステージにあがる時に「ほっとした。ピアノの前で演奏すればいいだけ。他はどうにでもなれ!」と感じたらしく、眠た気+素朴な瞑想が純粋にわかりやすい音になっている所がケルン・コンサートの独自味になってると感じました。 ステージに向かう寸前までのすったもんだが緊張で、ピアノを弾き始めたら"解放"されたんですね。それが、聞く側にも直に伝わったんでしょうね。 演奏中に彼が発する声については (2時間近く中腰で弾いたの見た時は、すげぇーエネルギーだなって感服しましたw) 私も初めは気になってしょうがなかった派ですが(^_^;)ジャック・ディジョネットが「彼のピアノとの恋愛関係」と呼んでいて、恩恵に浴した状態になるための手段だそうで、自己忘却をめざしているらしいのです(未だに自己陶酔にみえなくもないけど・・・;)。 キース・ジャレットの風変わりな仕草 (骨盤をピアノに押し付け、自己愛のうめき、吐息など) に対する軽蔑的批評は、うわべだけ見て大切なその音は聞き逃している職務怠慢な連中の愚行だと『キース・ジャレット 人と音楽』の著者イアン・カーは書いていますがまったく同意見です。 |
No.5843 - 2005/12/19(Mon) 18:51:00
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