07019
Meteor☆BBS
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★ ★ V.P.R 4 ★★ / 香夏 引用

「ちぃーねーちゃーん、やーっと着陸許可がでたよォ!」

ルーの後ろから、甲高い声が聞こえた。妹のベスだ。
「はぁーもう、カンダールの衛星軌道上で5時間も待ったわ!やってらんない!
金輪際、こんな時期のカンダールなんて二度と来ないかんね!!」
いきなり、ルーを押しのけてモニタに長女のダーナが割り込んできた。

「はぁい、ジョウ。元気?相変わらず派手な仕事してるじゃない。
こっちもヒマじゃないんだけどね、ルーがどーしてもって云って聞かないから、わざわざこんな辺境くんだりまで来たのよ?そこんとこ、よろしくね!」

「は?」
矢継ぎ早にたたみ込まれて、状況がつかめていないジョウの口は開いたままだ。

「もう、おねえちゃん、余計なこと言わないで!」
ルーが、わずかに頬を染めてダーナを後ろへ追いやった。

「とにかく」
ひとつ、小さく咳払いをしてからルーはスクリーンへ向き直った。
「今、カンダールの衛星軌道上に居るの。今からトマキオプス宇宙港へ着陸するから……そうね、あと一時間後には会えるわ」

「会えるって……」
ジョウがルーの台詞をそのまま、繰り返す。
「んもう、あいかわらずニブイのね!」
ルーが口を尖らせてスクリーンを覗き込んだ。言葉の端に苛立ちさえうかがえる。

「いきなり情報屋を訪ねるワケにもいかないでしょ?あたしが連絡して段取り整えるか、一緒に同行しないと、用心深いヤツらとコンタクト取れるワケ、ないじゃない?」
「あ、ああ」
一気にまくしたてるルーの勢いに押されて、ジョウがあわてて首を縦に振る。

「ちぃーねーちゃんたらァ。まどろっこしい言い方しないで、素直にデートしたい、って云いなよ!」
ルーのバックレストからひょっこりとベスが顔を出し、いたずらっぽくウインクした。
「ベス!!!」
「そうね、いい機会だわ、ルー。ここは回りくどいやり方はやめて、ストレートの方が賢明だわ。ジョウのニブさ加減はクラッシャー仲間でも有名でしょ?」
ダーナの声が後ろから追い討ちをかける。

「なんのことだか、さっぱりわからない」
ジョウが、むすっとした表情のまま、ふたたび音を立ててシートにもたれかかった。

「だめだ……」
タロスがジョウに聞こえないように、小声で呟いた。
「女心ってヤツを全然わかってない」

「やっぱ、兄貴のニブさって……クラッシャー仲間でも有名なんだ」
リッキーは感心したように口笛を吹いた。

No.220 2018/02/14(Wed) 17:56:27

 
☆ やっぱり☆彡 / 香夏 引用

Jさんの「ニブちん」ぶりは…
どうやら、公式らしいです(笑)

No.221 2018/02/15(Thu) 00:29:19


★ ★V.P.R 3★★ / 香夏 引用

「いいかげんにしろっ!!!」

ミネルバのブリッジが震えるほどの怒声が響き渡った。
今、まさに戦闘態勢に入っていたふたりも、瞬間にピタリと動きを止める。
ふたりは目を合わせた後、おそるおそる首をめぐらし、チームリーダーを方を見た。

ジョウがゆらり、とシートから立ち上がった。
額にかかった黒髪の下からのぞく双眸が、鋭く炯る。
その物凄い形相のジョウに気圧されて、ふたりは揃って一歩下がった。

ジョウがゆっくりと口を開きかけたその時。
甲高い電子音がブリッジに鳴り響いた。

空間表示立体スクリーンからの通信着信音だ。今、アルフィンは席を外して居ない。
これ幸い、とリッキーがシートに飛び込んでスイッチをオンにした。
いきなりメインスクリーンに映像が入った。

「はあい、元気?ジョウ」

華やかな声がブリッジに響き渡った。
エメラルドグリーンの瞳がスクリーンの中で燦く。

「…………ルー?」
ジョウが目を見開いて息を呑んだ。
「なんだあ?」
タロスも小さな目をしばたたかせる。
リッキーにいたっては口をあんぐりと開けたままだ。

「一年ぶりだっていうのに……あんたたち、相変わらずのリアクションねェ」
クラッシャールーは呆れたように腰に手をあて、大きなため息をついた。

「いったい、何の用だ?」
ようやく我にかえったジョウが憮然とした表情で訊いた。
請けている仕事がトラブっている今、同じクラッシャー仲間からの連絡は、はっきり云ってウザったい。

「あんもう、つれない言い草ねェ。とびっきりの情報を持ってきたんだから、もう少し愛想よくしてよ」
ルーがいたずらっぽくウィンクしてみせた。
「情報?」
「そ、まさにそれ。カンダールの情報屋、紹介してあげよっか?」
「なにィ!?」
ルーの台詞に三人が飛び上がった。
思ったとおりのミネルバの反応に、ルーが満足気に微笑み返す。
「偶然バーニイから聞いたの。殺人鬼ザルツを取り逃がしちゃったんでしょ?辺境の惑星でそうそうツテもないだろうし、カンダールなんて今がいちばんのお祭り騒ぎの真っ最中。きっと、ジョウすごく困ってると思って」

「う……」
どれも図星なだけに、ジョウに言葉はない。
あのお喋りバーニイの野郎、とタロスが後ろで毒づくのが聞こえた。

「父が現役の頃の馴染みが居るのよ。けしてガセは握らせない。信頼していいわ」
「ほお、エギルのおやっさんのツテか」
安堵の響きが入ったタロスの声に、ジョウの表情も少し和らいだ。
「それが本当なら、こんなありがたい話はない。ご指摘のように……実は、えらく困ってたんだ」
ジョウが素直に肩をすくめて言った。

「そうと決まったら、早い方がいいわ」
ルーが嬉しそうに身を乗り出す。
「今、トマキオプス宇宙港の駐機スポットでしょ?そうね、あと一時間もあれば行けるから、待ち合わせはメインポートにある……」
「ち、ちょっと待て」
ジョウがあわてて組んでいた腕をほどいて、シートから上体を起こした。

「メインポートって……今、どこに居るんだ?」

No.219 2018/02/13(Tue) 11:12:47


★ ★V.P.R 2★ / 香夏 引用


ジョウ達は、半年ほど前からフォーマルハウト星域を震撼させている、連続殺人鬼のザルツを追っていた。

被害者一族からの貴重な情報から、あと一歩で捕獲出来そうなところまで追い詰めたのだが、間一髪でこの惑星に逃げ込まれて、それからはふっつりと行方が分からなくなっていた。
まったく情報も協力者も居ない惑星での犯人探しは、誰の目にも困難であった。

「こうなったら、しらみつぶしに情報屋にあたってみるか……」
ジョウが上体を起こして、緩慢に腕を組んだ。
我知らず、親指の爪を噛む。
「無理だよ!情報屋なんて、ただでさえ用心深いんだろ?ツテもない俺らたちなんか相手にもしてくんないよ!」
リッキーが声高く遮る。
「そうですなァ。それに情報屋の連絡先なんて、そう簡単に調べられるようなモンでも無いですからねェ」
横から他人事のようなタロスのセリフも重なった。

「じゃあ、どうすればいいんだ?」
ジロリ、と不機嫌極まりない様子でジョウがふたりを睨む。
八方塞がりでこの宇宙港に足止めをくらって、はや18時間。
チームリーダーの機嫌はすこぶる悪い。
こんな時はアルフィンのヒステリーと同様、嵐が過ぎ去るのを首をすくめて待つべきだった。

しかし、外の花火に浮かれたのか、ミネルバの機関士がつい口をすべらした。
「いっそのこと気分を変えて街に繰り出してみる、なんてどーかなァ?」

さすがにこれはマズイと思ったのか、タロスがコンソールにあげていた足先でリッキーの頭をこづいた。
「アホ!おめェ、俺たちにどんだけの時間が残されてるのか知ってンのか?少なくとも銀河標準時間であと一週間のうちに、ザルツの野郎をとっ捕まえて突き出さにゃあ、契約違反に問われちまうんだよ、このウスラボケが!」

「いってェ!何すんだよ!」
蹴られた頭に手をやって、リッキーが跳ね起きた。
「だいたい、カイバルンの逃走劇でタロスがザルツの奴を逃がしちまったからじゃないか!あんな短い距離走っただけで息が上がって、ヒーヒー言っちゃってさ。みっともないったらありゃしないよ!」
「んだとォ!」
タロスも勢いよくシートから立ち上がった。
行き詰った仕事にイライラしているのは、何もチームリーダーだけではなかったのだ。

「やんのかよ!?うすのろデカ!」
「おうさ!ねしょんべんチビ!」


――結局、いつものケンカが始まった。

No.218 2018/02/12(Mon) 20:39:18


★ 喉に引っかかった魚の小骨のように。。。 / 香夏 引用

――ずうっと〜気になってるのです。

そう、この↓何年越しかのSS...(-_-;)ドヨーン

最初に書き出したのは〜8年以上前でしょうか←え;
昨年消失してしまった『おえび』の掲示板に連載していたものです。
でも、途中で筆が完全に止まってしまって...そのまま4年くらい放置←ダメ人間;;

しかし、やはり〜この時期(バレンタイン)になると思い出して、その小骨を除きたくて(笑)4年後再連載開始したのですが。
その時も〜急に私事でバタバタし始めてしまって結局、連載続けられず;

途中、「V.P.Rの続きが気になってるんです〜」とか
「どこで連載が再開されたのか、探しちゃいました!」など温かいお声をかけてくださる方もいらしたのに。。。
――ホント、すみません〜><

今回、またちょっと妄想が進んできたので・・・
思い切って再開してみます!

でも、まずは消失してしまった掲示板からの転載でUPさせていただきますね♪

尚、こちらの話は本家サイトMeteorの「Novels」に格納されている『バレンタイン・パニック』の後日SSになります。
特に読まれてなくてもストーリー的には全く問題ありません。
が・・・もしお時間ありましたら、そちらを先に読まれると〜
改めてリッキーの不遇さが倍増で分かるかもしれません(笑)

――ではでは
何度も読んでいただいている方には本当に申し訳ないのですが;
あらためまして、再UP!させていただきます☆彡


++++++++++++++++++++++++++


『V.P.R 〜バレンタイン・パニック・リターンズ〜』

**1**

轟音とともに、夜空に虹色に輝く花火が幾つも上がった。

「派手だなァ」
リッキーが呆れた声でつぶやく。

彼はいつもの動力コントロールボックスではなく、フロントウインドウ近くのコンソールに肘をついて外を見ていた。
続けざまに上がる花火の閃光が、彼の幼さの残る横顔を照らす。

「えらい時期に来ちまったもんですなァ」
リッキーの横から、タロスの低いぼやきが聞こえた。
彼は主操縦席にだらしなく座り、コンソールに両足を載せている。
すっかりモチベーションが下がっている様子だ。

クラッシャージョウのチームは、うお座宙域にある惑星カンダールへ来ていた。
その宇宙への玄関口、トマキオプス宇宙港はたいへんな賑わいだった。
実は、この週末がカンダールの「建国記念日」を含む連休であった。
一年に一度、この日に合わせて銀河中に散らばっているカンダール人が一斉に帰省する。
宇宙港の到着ゲートは、迎えに来た人波でごったがえしていた。そして次々と到着する宇宙船からは家族や恋人への土産を抱えた人々が、絶えることなく吐き出されている。

このまるでテラの正月か、クリスマス休暇のような大混雑には、もうひとつ訳があった。
今日は、いわゆる『聖バレンタイン・デイ』とうやつでもあった。
古くは人類の故郷テラで始まったこの行事は、世紀を越えて銀河中に広まっていた。
もちろん、文化や宗教によってはまったく知られていない国もあったが、いつの時代も商売に聡いイベント業界が先導して、この時期は銀河中のメディアを盛り上げていた。
そして実はここカンダールというところは典型的な『お祭り好き』の惑星であり、毎年重なるこの独立記念日と併せて、各地で様々な意趣を凝らしたパレードや花車が出たり、建物や街路樹まで美しい装飾を施したりと、それはそれは派手なバレンタイン・イベントを開催しているので有名であった。

そういう訳で、ただでさえ帰省客でごった返すカンダールはこのスペシャルホリデーの二日目、銀河中からバレンタインを楽しむ恋人たちという、観光客までも巻き込んで、大変な騒ぎになっているのであった。

「まいった……」

二人の横からこれまた覇気のない、くぐもった声が聞こえてきた。
副操縦席に座り、コンソールにつっぷしたままのジョウだ。
「ザルツの野郎をせっかくここまで追っかけてきたのに、いきなり足取りが途絶えちまって……」
のろのろと面をあげる。
「着いてみたら、この乱痴気騒ぎだ。いったい、どっから手掛かりを得ればいいって言うんだ」
誰に問うでもなく、メインスクリーンを睨んだまま、ぼそぼそと続けた。

No.217 2018/02/11(Sun) 10:44:38


★ あけましておめでとうございます☆彡 / 香夏 引用

クリスマスが終ると〜
これまた、あっという間に大晦日、そして翌日はもう開けて新年です。
早いですよねー!
この一週間、まさに飛ぶが如し。

今日元旦は〜ユルユルと過ごさせていただきましたヨ♪^^

――で。
実は年末にちょこっと書き出したSSを、せっかくなので完成させてみました☆
ショートのハズだったのですが・・・思いのほか、長くなっちゃった〜><
書きながら・・・『God only Knows』を想い出しちゃいました☆
↑あんなカンジなので予想通り?全然甘くないですーすみません;
嗚呼、今年は甘いSS書いてみたいもんですわー(棒読み

年始のご挨拶代わりに。
よろしければ〜どうぞ☆彡


◆◆◆ A Happy New Year 2018☆ SS ◆◆◆

『 Team work 』

「今年一年を振り返ってのミーティングなんて・・・何年ぶりかしらね?」
ミネルバのリビングルーム。
ソファに腰かけた4人に紅茶をサーブしながら、アルフィンが言った。

「そうだな。この時期に仕事じゃない方が珍しいからな」
アルフィンの隣、チームリーダーのジョウはそう言ってから紅茶のカップに口をつけた。
「去年はシャグナの太陽系国家連盟年越イベントの護衛でしたからね。あの女性総裁は美人でしたなぁ」
一番端に座っているタロスがその巨体をソファの背もたれにゆっくりともたせかけながら言った。
「やーねぇ、タロスったら鼻の下延ばしちゃって」
「あのイベント、有名なミュージシャンとかも来てて、おいら的にも美味しい仕事だったなぁ」
タロスの左隣、小柄なリッキーが頬杖をついて、その仕事を想い出した。
「ああ、リックのギターがナマで聴けてサイコーだったな」
ジョウがめずらしくリッキーに同意した。
「あれ?仕事バカの兄貴も護衛中なのに聴いてたワケ?」
「耳に入ってきただけさ。意識は美人総裁に集中してる」
「ちょっと、なんなの!?さっきから美人、美人って!」
アルフィンが二人の会話に割って入った。柳眉が険しく逆立つ。
「いや…タロスがそう云ったから、つい」
ジョウがしどろもどろに弁解した。
「まあまあ、アルフィンもそんなとこに引っかかってないで、今年の反省会とやらをやりましょうや」
タロスが二人を取りなす。

「おいら今年も反省することばっかりだったなー」
リッキーが大袈裟に頭を抱えてみせた。
「そんなこと云わんでも皆知ってるぜ」
すかさずタロスが、つっこむ。
「なんだよ!おいらがめずらしく、真面目にコメントしてるってのに」
「おめェはいつだって、詰めが甘いんだよ。もちっと頭使え、頭を」
「おっと!最近、物忘れMAXのご老人に云われたかないね!」
タロスが思わず、ソファから腰を浮かせた。
「なんだとぅ!?」
「やんのかよ!?」
リッキーも身体を開いてソファに飛び乗った。
「あんたたち、いい加減にしなさい!」
いつもの甲高いアルフィンの叫びに圧倒されて、二人はしぶしぶ腰を下ろした。
「ほんと…お前たちも成長しないなァ」
ジョウがやれやれ、といった感じで眉間に置いていた手を戻し、気を取り直して話はじめた。
「今日のミーティングは、もちろん一年を振り返って…の趣旨だが。今回、反省会ってのはやめようと思う」
「へ?」三人が一斉にチームリーダの方を見る。
「もちろん、仕事の見返しは重要だ。失敗・失策は原因を追究して次に生かす必要がある」
ゆっくりチームメイトの顔を見回しながら、ジョウは言葉を続けた。
「だが…今回のミーティングは、今年一年の仕事で良くやったこと、上手くいったことを挙げてゆく」
「へえー」
「ほお」
リッキーとタロスがそろって声をあげた。
「それってサクセスの振り返り、ってやつね!」
アルフィンだけ、したり顔で頷く。
「そうだ。コーチングでは定番だが、上手くいったこと、良くやったことを振り返り、認識することにより、次のサクセスへのセルフイメージへ繋げてゆく」
ジョウも頷き返した。
「自分のことでもいいし、誰のサクセスでもいい。ここは派手にピックアップして称賛しようぜ」
「お互いにイイとこ挙げて、褒め合いってワケね?」
「えーなんだか、こそばゆいなーそれ」
リッキーが両頬に手を当てて、身をよじらせた。
「おめぇ、褒められることしたって思ってンのか?」
「なんだよ、その言い草!」
相棒のいつものからかいにリッキーが歯を剥き出した。
「タロス!」ジョウとアルフィンの声が重なる。
「へぇ…すんません。つい、いつもの癖で」
タロスが恐縮して頭を搔いた。

「じゃあ、俺からいくか」
場の雰囲気が収まったのを見計らって、ジョウが切り出した。
「コートニー事件でのリッキーの活躍が良かったと思う。あそこでおまえが機転を利かせてマンホールに飛び込んだお蔭で、重要な証拠を逃さずにすんだ」
「え、おいら?」
まさか自分がトップバッターだとは思わなかったリッキーが、自分を指さして顔を上げた。
「そうよ!あの証拠があったから、コートニーに辿り着いて、無事事件解決できたんだから」
「え、えへへ」
リッキーが照れて頭を搔いた。
「おめぇのその、すばしっこさとチビなのが役に立った一件だったな」
タロスも腕組みをしながら、同意した。
「……どーも、タロスには褒められてる感じがしないなァ」
リッキーが不満そうに呟く。
「タロスにしては最大限、褒めてるぜ」
ジョウが笑って言った。

「じゃあ、あたしも」
アルフィンが身を乗り出して話し始めた。
「タロスがその…美人総裁の護衛の時、秘書の失敗をフォローしてあげたじゃない?あれって、さりげなく且つ自然で…そのお蔭で結局、公にもならずに事が済んで、問題も起きなかった。あのフォローは素晴らしかったわ」
「そんなことあったのか?」
ジョウが驚いた様子でタロスを見た。
「いや…そんな大したことじゃないですよ」
タロスが両手を振って謙遜した。
「おいらも知ってるよ。あの秘書、顔面蒼白で倒れそうだったんだぜ!」
「おめーちと、大袈裟だぜ」
「おい、タロス。ここは素直に称賛を受け取るとこだぜ」
ジョウが面白そうに言った。
「へ、へえ。なんかこう…調子狂いますぜ」
タロスは困ったように太い首の後ろに手をやり、かぶりを振った。
「素直じゃないわねぇ」
アルフィンとリッキーがお互いに目を見合せて笑った。

「おいらも思い出したよ!」リッキーがぱちん、と指を鳴らして話し始めた。
「アルフィン、毎度の食事の献立、おいら達のヘルスチェックの結果を見ながら作成してんだよね」
「何よ…それ、仕事のことじゃないじゃない」
アルフィンが不満げに口を尖らせた。
「料理だって重要な仕事だろ?おいら達の健康を管理して、そのお蔭で元気に仕事が出来てるんだぜ」
「そりゃそうだ」
リッキーの言葉にタロスが頷いた。
「おいら達の好みとか、苦手なもの、そして料理や健康に関するニュースもいち早くチェックしてメニューに反映させてるだろ?」
「そうなのか?」
ジョウが驚いて傍らのアルフィンを見る。
「そ、そりゃあ…料理担当としては当然のことよ。皆が美味しく食べてくれると、嬉しいし。でも…リッキー、そんなとこ気づいてくれてたの?」
アルフィンもまた驚いて小柄な少年を見た。
「こいつ、食い気は人一倍だからな」
「もちろん。おいら、食べるのが楽しみだからね!」
タロスのツッコミも気にせず、リッキーが胸を張った。
「嬉しいわ。ジョウは全然、気づいてくれてないみたいだけど」
「え・・・・・・」
いきなり、自分に振られたジョウが慌てた。
「い、いや。旨いよ、毎食。何の問題もない」
「兄貴、もっと気の利いたコメントしろよ!」
リッキーが不甲斐ないチームリーダーの背中をどやした。

「あたしからも一言いいですかね」
タロスがソファから身を起こした。
「ケズラ・バレーでのジョウの的確な判断がお見事でした。あのタイミングで降下しなければ・・・・・・おそらく今、あたしたちはココには居ませんぜ」
「そんな九死に一生の事態だったの?」
別行動をしていたアルフィンが目をまるくして訊いた。
「いやもう〜ほんと、ヤバかったんだって!おいらでさえ、ちょっと祈ったよ」
「何にだ?神にか?」
「誰でもいいから、とりあえず早くミネルバに返して欲しいって!」
リッキーのあまりに率直な願いに、思わず皆が笑った。
「クラッシャーは即断即決、あたりまえの判断だ」
ジョウが笑いが収まった後に応えた。
「いやぁ、あの状況であの策は、なかなか。まあ、ジョウならハズすことはないと思っていやしたがね。さすがの判断でした」
タロスが至極まじめに言葉を継いだ。気のせいか、ジョウを見る目がいつになく温かい。
「よせ。なんだか…確かに慣れないな、こういうの」
とうとう、彼も赤くなった顔を隠すように黒髪をぐしゃぐしゃと搔いた。
「自分から言い出したクセに」と、アルフィン。
「そうだったな。でも…これだけは云っておく」
ジョウがあらためて顔を上げた。
「タロスとリッキーのフォローなしに、あの決断はなかった。危急の判断で詳細の説明が出来なかったにも関わらず、お前たちが俺の予想通りに動いてくれたからこそ、あの事態を切り抜けられた」
「チームワークの勝利、ってとこね」
アルフィンが明るく言った。
「さすがクラッシャージョウのチームってワケだね!」
リッキーも嬉しそうに鼻をこする。
「そうだな」
ジョウが笑って云った。
「この一年の大変な仕事もチームワークで乗り切った。皆が大きな怪我も無く、無事にミネルバに帰還できたことが一番重要なことだ」
「そうですな」
黙っていたタロスがおもむろに頷いて言葉を続けた。
「クラッシャーは仕事を完遂して、生きて帰って来ることが重要でさぁ。生きて帰って来たクラッシャーが次の世代にそのノウハウを伝えてゆく」
「百戦錬磨のタロスは…クラッシャーの鑑ってワケね」
「ダテに歳だけくってるワケじゃないんだ!」
「ほっとけ!」
リッキーのツッコミにタロスが歯を剥き出した。
「俺たちにはそれぞれ、いろんなバックグラウンドがある。その能力を活かした仕事をして、お互いにフォローし合える今のチームは本当に素晴らしいと思っている」
ジョウがチームのメンバーひとりひとりに目をやりながら、静かに言葉を続けた。
「この一年、本当によくやった。来年もこのスタンスを忘れずに、行こう」
四人がそれぞれの一年の仕事を振り返りながら、深く頷いた。
「理想的な仕事納めですな」
「あら。そんなこと言ってたら、年が明けたわ!」
アルフィンがリビングの銀河標準時間を刻むデジタル時計を指さした。
「ハッピーニューイヤー!」
リッキーが両手を挙げて叫んだ。

その時、リビングのドアがスライドして開き、一台のロボットが入ってきた。マニュピュレータの上のトレイにはシャンパングラスが四つ載っている。
「キャハハ。乾杯ノしゃんぱんヲ、オ持チシマシタ」
「おう、ドンゴ。気がきくな」
それぞれがグラスを取り、乾杯をした。
「反省会ハ終ワリマシタカ?」
卵型の頭部を回転させ、ロボットが質問してきた。
「今回は反省会じゃない。皆の良いところをピックアップして確認したんだ」
「キャハ?良イトコロ?りっきーニモアッタノカ?」
「なんてこと言うんだ!」
リッキーが拳を振り回して喚く。
「皆ちゃんとあるわよ。そうだ、ドンゴの良いところもピックアップしないとね!」
「キャハハ。アリスギテ、困ッテシマイマスネ♪」
ドンゴが自信満々にメンバー達に向き直る。
「うーん・・・・・・」
四人が一斉に考え込んだ。

ジョウは顎に手をやり、タロスは腕組みをして目をつむっている。アルフィンは小さな拳を口元において俯き、リッキーは頭の後ろに手を回して大袈裟にため息をついた。
「だめだ。全然、思いつかないよ!」
「キ、キャハ?」
「おまえ、昨年はポカ多かったからな」チームリーダーが、にべもなく言った。
「ロボットでポカって…一度ドルロイに送って診てもらった方がよくはありませんかね?」
タロスが他人事のように呟いた。
「そうね。ドンゴに繋ぐとヘンなデータばかりダウンロードされちゃうの、ホント困るわ」
アルフィンがちら、とロボットを見やる。
「キ、キャハ??」
「この前のクリーニング・システムの誤操作で格納庫が洗剤だらけになっただろ?あん時の後片付けも無茶苦茶大変だったんだぜ!」
リッキーが両手を広げて肩をすくめてみせた。
「もうドンゴも随分、稼働年数が長くなった。ここらで大掛かりな初期化も必要かもしれないな」
ジョウがかぶりを振って言った。
「ソ、ソンナ・・・・・・」
もう、笑い声さえも発せなくなったロボットが思わず、後ずさる。
四人が神妙な面持ちで下を向いた。
つかの間、沈黙が流れる。

――と、次の瞬間。
皆が一斉に笑い出した。ジョウとタロスはソファの背にもたれ、顎を突き出して笑っている。アルフィンはその華奢な肩を震わせ、リッキーは腹を抱えて大笑いしていた。
「キ、キャハ?ナンナンデス!?」
ドンゴはワケが分からず、頭部を回転させた。
「嘘だよ。お前はいつもよくやってる」
ジョウがようやく笑いをおさめて言った。彼らしくもなく、語尾が震えている。
「そうよ!いつも私達の家<ミネルバ>をちゃんと守ってくれてるわ」
アルフィンが愛らしくウィンクした。
「そうそう、ロボットのくせに結構、気が利くしね!」
リッキーが涙を拭きながら、ドンゴを褒めた。
「そう思うと、おめェとの付き合いも長くなったなァ」
タロスが感慨深そうに言って、傍らのロボットを見やった。口調がいつになく優しい。
「マッタク...コノちーむハ。ろぼっとヲカラカウ時ニモ、息ガぴったり合イスギデス」
ドンゴが頭部のランプを点滅させながらボヤいた。どうやら、むくれいているらしい。
「わりィ。そう腐るな。その調子で今年も頼むぜ」
チームリーダーが笑いながら立ち上がった。
「けど、クリーニング・システムの操作には気を付けとくれよ!」
リッキーがぽん、とドンゴの頭を叩く。
「さて、年明け一番のミネルバの点検でもしてやりますか」
タロスが巨体をぐん、と伸ばしてからおもむろに立ち上がった。
「おめェも後で点検してやるよ。ヘンなデータ消しとけよ」
グローブのような手でドンゴの頭部を撫ぜる。
「いつも頼りにしてるわ」
アルフィンが腰をかがめて卵型の頭部にキスをした。
「!?」
万能型ロボットがとまどってランプを激しく点滅させる。
「あれ?こいつ、照れてやんの?」
リッキーが腰に手を当てて覗き込み、ひやかした。
「キ、キャハ。キャハハ。ハハハハハハ」
「やべェ、壊れた!?」
「えー!?キスしただけよ?」
「だめだよ、アルフィン。そんな刺激の強いことしちゃ。兄貴だって、固まってんじゃん」
ジョウが慌てて、かぶりを振った。
「アルフィン、機械相手にヘンなことするな」
「あれ?兄貴もして欲しいわけ?」
「バカ言うな!」リッキーのからかいに、ジョウが顔を真っ赤にして反論した。
「そうなの?ジョウ」
アルフィンが碧眼を輝かせながらジョウの顔を覗き込む。
「ち、違う!い、いや。違う、わけじゃないけど…」
チームリーダの意味不明な言動に今度は三人が一斉に笑った。
「じょうノ今年ノ課題ハ、あるふぃんトノ関係ヲ深メルコトニアリマスネ。微力ナガラ、ワタクシメガオ手伝イシマショウ!」
ドンゴがようやく正常なモードに戻り、したり顔で発言した。
「余計なお世話だ!」
「お願いね、ドンゴ!」
ジョウとアルフィンが同時に叫んだ。

「やれやれ、なんだか今年も騒がしくなりそうだぜ」
タロスが肩をすくめて、リビングのドアへ向かう。
「ここでドンゴが入ると、余計ハナシがややこしくなりそうじゃん?」
リッキーがタロスに身を寄せて、囁いた。
「たしかに」
二人は顔を見合わせて笑い、大騒ぎのリビングを後にした。

< Fin >

No.216 2018/01/01(Mon) 22:27:41


★ Merry Christmas☆彡 / 香夏 引用

あっ、という間に〜
12月が過ぎ去りますね;
まさに、師走の字のごとく。。。

別館?ブログの更新も停滞気味ですー><
家族がホリデーに入ると…
主婦はいつも以上に忙しい気がいたします。

だって〜
3食毎回作って、片付け。
息子のホームワークを見たり
折角の夏休み(逆ですからねw)何処か連れていってあげようかなー
クリスマス時期もイベント多いしなー

…嗚呼
ハハにもホリデーくださいっ!!!!!

そんなこんなで〜
少々お疲れ気味な管理人ですが...-_-;)

せっかくのクリスマス!

残っていた最後のサルベージSSを
ささやかな贈物とさせていただきます☆彡

>『アダンのおいしい料理店』

・・・じゃなくて!!!!!
(↑あいちゃんが以前コメントしてくれたのがサイコーでした♪^w^)

>『旅立つ時』

以前のお絵かき掲示板「kana*bun」で連載させていただいたものです。

残念ながら〜クリスマスものでもなく、甘い話でもありません><

Jさんと同い年のアダン君の語りでストーリーが進みます。

まったく異なる境遇で育った二人の青年。
相変わらず、トラブルに巻き込まれ〜
色々壊れたり、死人も出ている様子。。。

彼らと一緒に
ハラハラ・ドキドキ?のクリスマスをどうぞ☆彡 ←え。


★SSはNobelsの方へUPしてあります★

No.214 2017/12/23(Sat) 21:54:55

 
☆ そういへば☆ / 香夏 引用

――私の書いたSSで。
唯一、クリスマスものがありましたね!

>「Trouble with women」

同じくNovelsに格納してあります。
こちらも、よろしければ〜どぞ☆彡


初めて〜
「Leg of Lamb」なるものを焼いてみました!
今から赤ワインでクリスマスを祝いまーす♪
(無宗教ですが★←)

No.215 2017/12/24(Sun) 15:30:08


★ Links☆彡 / 香夏 引用

――ずうっと
放置しっぱなしだった;
『 Links 』を整理させていただきました。

リンクが切れているのに長い間気づかず;
大変、失礼をいたしました〜><

長らくリンクさせていただいておりました
各サイトのオーナー様に
この場をお借りして、心から御礼申し上げます☆


当艦もOpenしてから早12年の月日が流れました。

長い航海の間
あまりにも更新せず;放置しっぱなしだったことに少々
気が咎めて〜
Closeを考えた時も無かったワケでは無いのですが。

――でも
やはり、愛するCJワールドには繋がっていたい。
今まで戴いてきた『お宝』を大切にしておきたい。

そう思って…
ついつい漂流を続けてきてしまいました^^ゞ

――そうこうしているうちに。
CJが30周年を迎え〜
夢のようなイベントが開催されて!
昨年末にはBD化されて一万本以上の売り上げ!


そして…
今年、よもやCJのコミカライズが読めるとは!!

本当に...人生何があるかわからないものですね〜(しみじみ)
↑すみません、ババくさくて(笑)

でも、お蔭でこうやって〜
またCJの海を漂って楽しめるということ
本当に幸せなことだと思います♪

この幸せな大海原で
今しばらく、ゆらゆら揺蕩いながら〜愉しみたいと思います☆彡

No.213 2017/11/21(Tue) 11:06:18


★ 祝*J誕☆彡 / 香夏 引用

――11月8日
我らがJさんのお誕生日でしたね〜♪
(kana*bunには久しぶりに〜イラスト投下してますw)

おめでとう!永遠の19…いや、20歳になったのかw

もう、歳の差が何歳になったのか〜?
とんと…わかりませんが^^ゞ

いつの間にか。。。
倍以上は確実に逝ってしまいましたねー(泣)

でも、貴方への『 愛 』に変わりはないですわよぅ💛


――と、いうワケで。

久しぶりに〜ショートSSを書いてみました☆

えっと……
私にしては〜頑張ったつもり!なんですが。

相変わらず、甘さ控えめです;


よろしければ〜どぞ!☆彡



◆◆ J誕☆2017☆SS 「今日だけ」 ◆◆


アルフィンが地面を這う蔓に足を取られて、よろめいた。
咄嗟にジョウが腕を出して支える。
「大丈夫か?」
「……ええ」

アルフィンの白い顔は、仄暗い森の中でも分かるくらいに疲労困憊していた。

もう、かれこれ5時間以上も足場の悪い密林地帯を歩行している。
足元には巨大な樹の根元が縦横無尽に伸び、湿った羊歯類が群生し、樹々には太い蔓が巻き付き絡み合っていた。

「少し、休もう」
ジョウは無意識にアルフィンの身体を引き寄せた。
休憩する場所を探し、視線を辺りに巡らせる。
その時、アルフィンが小さく呟いた。

「……おめでとう」
「なに?」
ジョウはアルフィンの声が聞き取れるように、耳を寄せた。

「今日はジョウの誕生日よ」
「え?」
アルフィンはジョウの胸に寄せた頭を少しずらし、覗き込んでいたジョウの目を真っ直ぐに見た。
薄暗い密林の中でも美しく光る碧眼に見つめられて、ジョウは思わず目を逸らす。

「なんだ、こんな時に」
「こんな時だから、云いたいのよ。お誕生日おめでとう、ジョウ」
「あ、ああ」
頬が熱くなってくるのが分かった。悟られないように顔を上げる。

「ひとつだけ」
「ん?」
「ひとつだけ…何かして欲しいことがあったら」
そのジョウの顔を追うように、アルフィンも面を上げる。
「今日にかぎって、何でもしてあげるわ」
「え?」
「だって。こんな状況じゃ、プレゼントも無いし、美味しいケーキも焼いてあげられない」
ジョウはかぶりをふって云った。
「何も、いらない」
「何でもいいのよ。思いついたこと、云って」
アルフィンが少しムキになって言葉を継ぐ。

「思いついたことって云ったって…」
「今、咄嗟に思い浮かんだことでもいいのよ」
「え……」
ジョウは何故か、ちょっと狼狽えて身体を離した。
「なに?何が思い浮かんだの?」
「え、いや……」
――そんなこと云えるかよ、とジョウは心の裡で呟く。

「いいのよ。今日だけなんだから」
「……今日だけ、か」
今度はジョウが意味深に、その言葉をくり返した。
「……そ、そうよ」
その応えに、アルフィンが僅かにとまどう。

「それじゃあ、つまらないなァ」
「な、なによ。何をして欲しいのよ?」
「色々、あるぜ。例えば…」
「ちょ、ちょっと待って。あの…」
「何でもいいんだろ?」
ジョウが漆黒の瞳を面白そうに細めた。

「さっき、そう云ったよな?」
「そ、そうだけど……」
碧眼をふと、逸らした。

「何だ?前言撤回か?」
「ま、まさか」
アルフィンは覚悟を決めて、ふたたびジョウに視線を戻す。

「いいわよ。女に二言はないわ」
「面白い」
ジョウはニヤリと笑った。
「じゃあ……」
アルフィンがごくり、と喉をならして身構える。

「俺が今から云うことに、ノーと云わない事」

「……わかったわ」

ジョウがふたたび、腕を取って華奢な身体を引き寄せた。
顔を見られないように、小さな金の頭を胸元に押さえ込む。

「俺から……離れるな」
ゆっくりと言葉を継いだ。

「ずっと、傍に居ろ」


「……いやよ」

「えっ?」
予想していなかった応えに、今度はジョウが驚いて胸元を見やった。思わず腕がゆるむ。
アルフィンは俯いたまま低い声で、しかし強く呟いた。

「前言撤回」

「おいおい」肩をすくめる。
「契約違反だぜ」

アルフィンがゆっくりと顔を上げた。
疲労の色が濃い白い顔の中で、碧い瞳だけが一層強く煌めく。

「今日だけなんて、イヤよ」
「…………」
「ジョウは…今日だけで、いいの?」
「……いや」
安堵からか一息ほう、と長い息を吐き、ゆっくりと続けた。

「ずっと、って云ったろ」
「ずっと……って、いつまで?」
「いつ、って…」
彷徨った視線がふと、頭上の空を見上げた。
鬱蒼としげった樹々の間から、小さな星たちが瞬く。

「宇宙が終る時まで、かな……」


「うん!」アルフィンが再び抱き着いてきた。
「クラッシャーらしいだろ?」
「最高!」
ジョウも抱く腕に力を込めた。

「もう一度、云って」
ジョウの腕の中で嬉しそうに眼をつむっていたアルフィンが、ねだった。
「……は?」
「嬉しいから、もう一度云ってよ」
「う……」
無理だ。そんな恥ずかしいこと、何度も云えない。

「だめだ。今日だけ、なんだろ」
「えー」
アルフィンが頬を膨らませて抗議の声を上げる。
「また来年、云うよ」

ジョウは照れた顔を見られぬように身体を離し、背を向ける。
しかしふと振り返って、アルフィンの手を把った。

「さあ、さっさとこのクソ忌々しいジャングルを抜けて、ミネルバに帰るぞ」
「うん!」

ぱあっと明るく笑うアルフィンの顔からは、もう疲労の影は見当たらなかった。

――ずっと、この笑顔が傍にあれば…もう何も要らない。

ジョウは心の中でそう呟いて、一歩を踏み出した。


<END>

No.212 2017/11/11(Sat) 23:08:04


★ サルベージ☆彡 / 香夏 引用

――ようやく!

サルベージSS『ガンズロック』をNovelsの方へUPしました☆

以前、++ Park Area ++さんへ投稿させていただいたものに少し加筆修正をして掲載しています。

前書きにも書いておりますが。

これは『ダイロンの聖少女』を読んだ勢いで書いたものです。

いやーーー

読了後の物足りなさ(あんましJさんが活躍しなかったから^^ゞ)から

一気に書き上げたんですよねー!確か。

でも・・・書いてみると
意外と10巻のセリフやら描写が出てきて。

――もしかして。

私、10巻に萌えてた???

と、あらためて感じたSSでした(笑)


やっぱり〜長年新刊を待ちわびてるCJファンとしては

あの4人に会えるだけで・・・
かなり『満足』なのかもしれませんw


相変わらず、燃費いいゾ!CJファン(笑)


再掲載ですが・・・
愉しんでいただけると嬉しいです♪

No.211 2017/10/07(Sat) 16:07:42


★ こちらを連絡掲示板とします☆彡 / 香夏 引用


まだまだ〜

サイトリニュが続いておりますが。


6月に消えてしまった『おえび』の代わりに〜

ブログを設置してみました!


インフォメーションの頁より

>Kana`bun → ブログへ

>P−BBS → 当掲示板へ

跳びますので、ヨロシクお願いします☆



いや〜ブログなんて、何年振りでしょうかね?

本当は絵板兼掲示板にしたかったのですが。。。

適当なものが見つからず><


それならば〜

画像もUPできるフツーのブログでいっか♪

と相成りました^^←単純;


でも今回、ちょっと趣向を変えて

初めてCJの世界を覗いてみようかな?

と、思っている方にも楽しんでいただけるように

この本家とは、ちょっと切り離して〜

運営してゆこうと想っています。
(リンクは貼ると思いますけどw)



――そうそう!

イブニングでコミカライズが始まりましたものね☆彡


いや〜

今年一番、吃驚したことですよ!!!!!


ここ数年、ふたたび嬉しい盛り上がりを見せているCJ界ですが。

まさか!コミックの連載が始まろうとは!!


おまけに・・・


あの安彦絵を踏襲している針井さんの筆とは!!!


いや〜スゴイことも、あるもんですねぇー

長生きするもんですね(笑)


――当分の間

萌チャージして燃料満タン♪

ワープだって出来ちゃいそうな勢いです!(え。)


まあ・・・いつもながら〜

まったり慣性航行でいきますけどね^^
(息切れしちゃいますからね。。。;)


これからも〜

ヨロシクお願いいたします☆彡

No.210 2017/09/19(Tue) 22:17:28


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