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「ちぃーねーちゃーん、やーっと着陸許可がでたよォ!」
ルーの後ろから、甲高い声が聞こえた。妹のベスだ。 「はぁーもう、カンダールの衛星軌道上で5時間も待ったわ!やってらんない! 金輪際、こんな時期のカンダールなんて二度と来ないかんね!!」 いきなり、ルーを押しのけてモニタに長女のダーナが割り込んできた。
「はぁい、ジョウ。元気?相変わらず派手な仕事してるじゃない。 こっちもヒマじゃないんだけどね、ルーがどーしてもって云って聞かないから、わざわざこんな辺境くんだりまで来たのよ?そこんとこ、よろしくね!」
「は?」 矢継ぎ早にたたみ込まれて、状況がつかめていないジョウの口は開いたままだ。
「もう、おねえちゃん、余計なこと言わないで!」 ルーが、わずかに頬を染めてダーナを後ろへ追いやった。
「とにかく」 ひとつ、小さく咳払いをしてからルーはスクリーンへ向き直った。 「今、カンダールの衛星軌道上に居るの。今からトマキオプス宇宙港へ着陸するから……そうね、あと一時間後には会えるわ」
「会えるって……」 ジョウがルーの台詞をそのまま、繰り返す。 「んもう、あいかわらずニブイのね!」 ルーが口を尖らせてスクリーンを覗き込んだ。言葉の端に苛立ちさえうかがえる。
「いきなり情報屋を訪ねるワケにもいかないでしょ?あたしが連絡して段取り整えるか、一緒に同行しないと、用心深いヤツらとコンタクト取れるワケ、ないじゃない?」 「あ、ああ」 一気にまくしたてるルーの勢いに押されて、ジョウがあわてて首を縦に振る。
「ちぃーねーちゃんたらァ。まどろっこしい言い方しないで、素直にデートしたい、って云いなよ!」 ルーのバックレストからひょっこりとベスが顔を出し、いたずらっぽくウインクした。 「ベス!!!」 「そうね、いい機会だわ、ルー。ここは回りくどいやり方はやめて、ストレートの方が賢明だわ。ジョウのニブさ加減はクラッシャー仲間でも有名でしょ?」 ダーナの声が後ろから追い討ちをかける。
「なんのことだか、さっぱりわからない」 ジョウが、むすっとした表情のまま、ふたたび音を立ててシートにもたれかかった。
「だめだ……」 タロスがジョウに聞こえないように、小声で呟いた。 「女心ってヤツを全然わかってない」
「やっぱ、兄貴のニブさって……クラッシャー仲間でも有名なんだ」 リッキーは感心したように口笛を吹いた。 |
No.220 2018/02/14(Wed) 17:56:27
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Jさんの「ニブちん」ぶりは… どうやら、公式らしいです(笑) |
No.221 2018/02/15(Thu) 00:29:19
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