実に長らく待望の山麓朝&仙樹歴900年代前半作品。
まさに様々な意味で盛り沢山の内容でしたが、自分的なポイントは。
@ツキヨミの不在。
「阿保な愚行の男」の女たちの中で唯一の不在。
『プロヴィデンス』の時はまだ登場するまでもない可能性がありましたが、今回は確実。
果たしてシリーズ初の「主人公を見限るヒロイン」になったかも気になるところ。
また統一どころかゴットリープの確保すら絶対でない中、ツキヨミ以外の連中にもかなり疲弊と自棄が伺えるのも注目であり、息子の一人を失ったリフィルの事実上の別離も含め、まさに「夢の終わり」を実感させる物ともなっている。
A名称の皮肉
確かに「クイーンメーカー」になれたが、最終的に目指してたのが「エンプレスメーカー」だった事を考えれば「クイーン止まり」とも取れるところが一番のミソ。
先生がそこまで考えていたかどうかは分かりませんが。
果たして「皇帝に成り損なった父」と同様に「女帝に成り損なった娘」がどう次代につないだかも気になります。
記述的に彼女個人として「山麓朝の女王」の地位と私生活の幸福は最期まで守り切ったが、あるいはそのツケは次代以降で払わされる事になったとも取れるだけに。
Bカルシファーの重み
二十六年前にゴットリープは攻略できなかったものの、まさに当時の「第三勢力」になっていた事が判明。
ラストの記述的に見て、メロディアが統一女帝になれなかったのはやはりカルシファーのベニーシェ家を味方に出来なかった事が大きかった模様。
内約を破談にされ、面子を潰されたカルシファーとしても「なめやがって!あのガキども!思い知らせてくれるわ!」となった事も容易に想像付くだけに。
また成約しても成功したとは限らないってのも、メロディア個人への評価をより低く見ているだけに。
Cギルディーンへの道
今度も語られなかった雲山朝の二代目。
名前からして、どうしてもオルディーンとの血縁も想像してしまうところですが、果たして真相が判明するのはいつの日か。
D夜烏衆の誕生
どうやらゲルダが初代のレイヴゥンになった模様ですが、それだけに彼らがいつ山麓朝から離れたについても気になるところ。
後の山麓朝国王の一人も殺したとすら言われるだけに。
[No.378] 2022/06/13(Mon) 20:38:51 |