Re: 作者のためになる批評のやり方とは? (No.221 への返信) - ハイ |
どうも、いつもお世話になってます、ハイです。
似たようなことで悩んだ経験はありますし、今でも悩んでいる部分はあるのでその気持はわかります。 私の場合だと、感想の方針を今までに最低三回は変えてきましたが、どれがベストだったのかと言うと、自己判断ではおそらくどれもベストではないのでは、というのが結論でしょうか。
というかそもそもなのですが。 私的には、書き手の役に立つ感想という物自体に懐疑的で、若干の傲慢さを孕んでいる気がするのですよね。 自分の感想で、相手の作品のレベルを上げてやるゼ! みたいな。 これ、もしお気を悪くされたら申し訳ないですが、あくまで私が自分自身の感想を読み返していて思ったことなので、とりたててミチルさんの考えが傲慢だと断定しているわけではないです。 ただそういった傲慢さというのが、感想を書く姿勢として入り込みやすい、そして気づきにくい感情ではないかと思うのが、私の印象です。
それでもベストを求めるなら、ですけど。
まずすでに話題に上がっていますが、感想の受け取り手の資質が一人ひとり違いますので、均一化することが出来ない、って点に目を向ける必要があると思います。 サボテンと水草とレタスにおいて、水やり、施肥、要求温度がそれぞれ違うように、ひとりひとりへのベストは絶対的に違うわけで。 それは帰結的に、一人ひとりへの感想の書き方は変えねばならない、ってことになるのではないでしょうか。
ですが、初見の相手であったり、企画のように作者不明の状態で相手を見極めた上で役立つ感想を書く、なんてそうそう出来るものではないわけで。 多くの場合では、役立つんじゃないの? というやや中途半端な感想にならざるえないのは否めないことかと思われます。
また、一人ひとりの資質以外に、『成長段階』というのも考慮しなければならないことでして。 いきなり初心者級の方に一から十まで教えてしまうのは明らかに受け取り手の許容量を超えることで、私自身本家で感想を書いていて「そんな難しいことを簡単に言わないで下さい」と言われてしまったことがありまして。 ああ、書き手のレベルを超えたことを書いてしまったのだな、と反省したことがあります。 そういう意味で、役立つこと=需要なスキルを教える、って意味ではないですし。 役立つこと=不足している部分を全部指摘する、ってことでもないんですよね。 企画では感想を受け取り慣れた方が多いので、一通り指摘させてもらってますが、明確に初心者級の方と見た場合は気をつけるようにはしているつもりです。指摘点を3つ以上あげない、出来れば一つか2つに絞る、とか。
また、今回のお話において思い出したのは、心理学者ベンジャミン・ブルームの調査なのですが。 主要な国際コンクールにおいてトップの成績を収めているピアニスト21人への調査において、最も重要な共通点は『最初の講師は思いやりがあり親切な先生だった』こと、だそうです。これは後にトップテニスプレイヤーへ行った調査でも同様だったそうで。 少なくとも初期段階の人間においては、その感想の内容よりもまず楽しさを引き出すことが何より需要なようです。 (参考資料・マンガでわかる心療内科14巻)
ただ、私的には初期段階以降もこれは大事なことであって、執筆を楽しむ、書いて良かったと思わせてくれる感想は、やっぱり心の養分として必要だと思うんですね。技術的な物よりも。 結局、心が折れたらどんなに大事な技術を教えてもらえても意味ありませんし。 ……なお、私がそれをきちんと実践できているかどうかはまた別の話です。あとになってから書き直したい、それどころか消したいと思っている感想がいくつあったか(汗)
また、一つ心に留めておきたいこととしては。 ちょっと手元にあったはずの参考資料が見当たらないのと、学術的なデータだったかが怪しいのですが、『才能の正体(坪田信貴)』において出てくる話で。 上司や先輩が役立つだろうと後輩などに問題や間違いを指摘するケースにおいて、教える側がその行為をどう思っているかの意識調査をすると、大半の人は「きっと感謝してくれている」「喜んでいる」と思っていたそうですが、それに対して教えられた側はどちらかと言うと反発心や抵抗感を感じていたそうです。 (ちょっと該当資料が見当たらないので詳細が違っていたらすいません) 書籍内においては、そう言った指導する立場にある場合、まず信頼関係を築く事が重要とされていて。この人の言う事なら間違いないだろう、大丈夫、という安心感を与えることが指導の際には大切になってくる、という話がありますので、内容自体も大事ですけどまず信頼関係の構築が感想批評においては重要……というのは、企画内において燕さんの感想人としての評価を見るに明らかなのではないでしょうか。
といったわけで。 長く付き合えるなら、信頼関係を気づいた上での指摘、提案がまず大事で。 一期一会の感想であるなら、『面白かったです! これからも応援してます!』がベストアンサーに近い(そう思わない作品にはそもそも感想を書かない)のではないかというのが、私見であり、一応の結論ですね。
[No.226] 2021/06/04(Fri) 20:53:04 |