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No.13へ返信
潜入捜査のアレやコレ
- たきゆき -
2019/02/16(Sat) 02:58:40
[No.4]
└
Re: 潜入捜査のアレやコレ
- たきゆき -
2019/02/16(Sat) 02:59:35
[No.5]
└
Re: 潜入捜査のアレやコレ
- たきゆき -
2019/02/16(Sat) 03:00:13
[No.6]
└
Re: 潜入捜査のアレやコレ
- たきゆき -
2019/02/16(Sat) 03:00:52
[No.7]
└
Re: 潜入捜査のアレやコレ※流血表現有
- たきゆき -
2019/04/30(Tue) 01:27:56
[No.13]
└
Re: 潜入アレやコレ6
- たきゆき -
2019/05/15(Wed) 01:58:17
[No.14]
└
後日談のような感じ
- たきゆき -
2019/07/26(Fri) 01:37:24
[No.23]
Re: 潜入捜査のアレやコレ※流血表現有
(No.7 への返信) - たきゆき
ドシャリ、と地に倒れ伏す音があたりに響いた。
そのままぴくりとも動かないラージャンを前に、ゆっくりとしゃがみ撃ちの姿勢から立ち上がる。
警戒を解かぬまま、じりじりと近づき、その死亡を確認し、肺の奥底から吐き出すような吐息をついた。
「っはー……やっとか」
普段の狩りよりもずっと難易度の高い戦闘を終えて、肩から力が抜ける。
「ユキ、大丈夫か! 終わったみた……ユキッ!?」
声を張りながら、共にこの強敵に立ち向かった相手の方を振り向いて、ぎょっとする。
地面に落としたハンマーの柄にすがりつくようにして、へたり込んでいる。
その顔は俯いており、表情が見えない。
急いで駆け寄る途中で、血の匂いに気付く。
「っ! どこを怪我した!? おい、って」
ひゅっと息を呑む。
近づけば一目瞭然だった。柄が赤く濡れている。
「…はぁ……はぁ……レオ、く」
「手ぇ離せ!」
叫ぶように言って、固まっている手に自身の手を添え、一本一本指を解いた。
その手のひらは無残にも表皮がズリ剥けている。
ハンマーという武器は、超重量で打撃の衝撃も来る、近接武器だ。
それを握りしめる手のひらには相応の負担がかかる。
ここしばらく研究に没頭し、普段からのトレーニングを出来ない状況にあった滝雪の手のひらには、耐えうることができなかったのだろう。
「……いてぇだろ。無理して」
「痛くは、ないの」
「やせ我慢すんな」
「違うの。本当に」
こんな状態で痛くないはずがない。
なのに、ゆるゆると首を振る彼女にざわりと心の内側を逆なでするような悪寒が過ぎった。
「ごめん」
「おい、ユキ」
「ほんと、ごめん。ごめんなさい」
「ユキ」
重ねられる謝罪に嫌な予感が増大していく。
声が厳しくなるのは止められなかった。
「お前!! 何した!?」
耳元で叫ばれ、小さく肩を跳ねさせた彼女が、それでも顔をあげない。
ただ、ずるりと力の抜けた体を預けてくるのを受け止める。
「あー……その、強走薬も何も、ドーピング系のが手に入ってなくてね。手も、きっとこうなると思って。それで、痛みで動けなくなったらまずいから、アレに打ったのを、極限まで薄めて、痛覚麻痺を、ね?」
ざっと音を立てて血の気が引いたのが分かった。
あのラージャンに打った薬。
痛覚麻痺なら、中和剤、いや、強走薬の名前も出たドーピング効果を狙ったとなると、最初の暴走薬も使用したのか。
開発者である以上、ある程度の症状や状況は想定できただろう。
だけど。
「臨床実験、なんて」
できるはずがない。
そんな時間はなかったはずだ。
問いかけと言うより、自身の淡い期待でしかない言葉に、首が横に振られて。
「だ、大丈夫なんか? 体調は」
「あー、だからその、ごめん」
「いいから、どうなのか言え!」
顔色を見るために顎に手を掛けて顔を上げさせると、困ったような笑顔に出会う。
やややつれた印象があるが、苦痛の色はない。
「眠い」
「眠い、て」
「痛みは、全然、なくて、ひたすら、ねむい。あと、さむい」
どんどんと声から、覇気が薄れていく。
疲れから限界が来て眠いだけなら、まだいい。
でも、寒いとは。
「ユキ、しっかりせぇ!!」
「ごめん」
とうとう閉じられた目にその体を揺すって起こそうするも、意識がどんどん遠ざかるのがわかって。
あれだけの戦闘をした後とは思えない、冷えた体を温めるため大きな手のひらで撫でさする。
それも対した効果はなさそうで。
「…………ごめ、」
かすれた謝罪の声音に込められた意味を正確に理解して、足下の地面が崩れそうな恐怖を感じた。
その一言を残し、完全に眠り込んだ。
否、昏睡状態に入った彼女を抱えて、立ち上がる。
「ぃ、医者…早く、」
その場に置き捨てた相棒たる武器をそのままに、地面を蹴る。
医療知識のない自分にできることは少ない。
別働隊で動いていた部下には医者も混ざっていた。
とにかく、そこに。
それ以外を考えないようにしながら、レオニノは駆け出すのだった。
[No.13]
2019/04/30(Tue) 01:27:56
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> ドシャリ、と地に倒れ伏す音があたりに響いた。 > そのままぴくりとも動かないラージャンを前に、ゆっくりとしゃがみ撃ちの姿勢から立ち上がる。 > 警戒を解かぬまま、じりじりと近づき、その死亡を確認し、肺の奥底から吐き出すような吐息をついた。 > 「っはー……やっとか」 > 普段の狩りよりもずっと難易度の高い戦闘を終えて、肩から力が抜ける。 > 「ユキ、大丈夫か! 終わったみた……ユキッ!?」 > 声を張りながら、共にこの強敵に立ち向かった相手の方を振り向いて、ぎょっとする。 > 地面に落としたハンマーの柄にすがりつくようにして、へたり込んでいる。 > その顔は俯いており、表情が見えない。 > 急いで駆け寄る途中で、血の匂いに気付く。 > 「っ! どこを怪我した!? おい、って」 > ひゅっと息を呑む。 > 近づけば一目瞭然だった。柄が赤く濡れている。 > 「…はぁ……はぁ……レオ、く」 > 「手ぇ離せ!」 > 叫ぶように言って、固まっている手に自身の手を添え、一本一本指を解いた。 > その手のひらは無残にも表皮がズリ剥けている。 > ハンマーという武器は、超重量で打撃の衝撃も来る、近接武器だ。 > それを握りしめる手のひらには相応の負担がかかる。 > ここしばらく研究に没頭し、普段からのトレーニングを出来ない状況にあった滝雪の手のひらには、耐えうることができなかったのだろう。 > 「……いてぇだろ。無理して」 > 「痛くは、ないの」 > 「やせ我慢すんな」 > 「違うの。本当に」 > こんな状態で痛くないはずがない。 > なのに、ゆるゆると首を振る彼女にざわりと心の内側を逆なでするような悪寒が過ぎった。 > 「ごめん」 > 「おい、ユキ」 > 「ほんと、ごめん。ごめんなさい」 > 「ユキ」 > 重ねられる謝罪に嫌な予感が増大していく。 > 声が厳しくなるのは止められなかった。 > 「お前!! 何した!?」 > 耳元で叫ばれ、小さく肩を跳ねさせた彼女が、それでも顔をあげない。 > ただ、ずるりと力の抜けた体を預けてくるのを受け止める。 > 「あー……その、強走薬も何も、ドーピング系のが手に入ってなくてね。手も、きっとこうなると思って。それで、痛みで動けなくなったらまずいから、アレに打ったのを、極限まで薄めて、痛覚麻痺を、ね?」 > ざっと音を立てて血の気が引いたのが分かった。 > あのラージャンに打った薬。 > 痛覚麻痺なら、中和剤、いや、強走薬の名前も出たドーピング効果を狙ったとなると、最初の暴走薬も使用したのか。 > 開発者である以上、ある程度の症状や状況は想定できただろう。 > だけど。 > 「臨床実験、なんて」 > できるはずがない。 > そんな時間はなかったはずだ。 > 問いかけと言うより、自身の淡い期待でしかない言葉に、首が横に振られて。 > 「だ、大丈夫なんか? 体調は」 > 「あー、だからその、ごめん」 > 「いいから、どうなのか言え!」 > 顔色を見るために顎に手を掛けて顔を上げさせると、困ったような笑顔に出会う。 > やややつれた印象があるが、苦痛の色はない。 > 「眠い」 > 「眠い、て」 > 「痛みは、全然、なくて、ひたすら、ねむい。あと、さむい」 > どんどんと声から、覇気が薄れていく。 > 疲れから限界が来て眠いだけなら、まだいい。 > でも、寒いとは。 > 「ユキ、しっかりせぇ!!」 > 「ごめん」 > とうとう閉じられた目にその体を揺すって起こそうするも、意識がどんどん遠ざかるのがわかって。 > あれだけの戦闘をした後とは思えない、冷えた体を温めるため大きな手のひらで撫でさする。 > それも対した効果はなさそうで。 > 「…………ごめ、」 > かすれた謝罪の声音に込められた意味を正確に理解して、足下の地面が崩れそうな恐怖を感じた。 > その一言を残し、完全に眠り込んだ。 > 否、昏睡状態に入った彼女を抱えて、立ち上がる。 > 「ぃ、医者…早く、」 > その場に置き捨てた相棒たる武器をそのままに、地面を蹴る。 > 医療知識のない自分にできることは少ない。 > 別働隊で動いていた部下には医者も混ざっていた。 > とにかく、そこに。 > それ以外を考えないようにしながら、レオニノは駆け出すのだった。 >
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