新大陸の謎の引きこもり編纂者(?) - たきゆき |
書類の山にうずもれている部屋には紙やインクの香りが籠っていて、どこか、古い書物を集めた図書館のような静謐な空気を醸し出していた。 いくつもの紙の塔の向こう、ちらりと見えたのは足元に落ちた毛布。 否、毛布だけではなかった。 それは家主らしき女性を包んでいた。 疲れて眠ったのか、表情は穏やかではない。せめて空気の入れ換えをと思い窓に近づいた時。 「窓開けないで。紙が飛んじゃう」 不意に足元から響いた声にびくりと振り返る。 「いつ起きたのかって?一応G級ハンターよ?私」 むくりと起き上がり大きく伸びをしてから微笑む。 「気配には敏感なの」
[No.18] 2019/06/03(Mon) 05:09:17 |