[ リストに戻る ]
No.5へ返信

all 潜入捜査のアレやコレ - たきゆき - 2019/02/16(Sat) 02:58:40 [No.4]
Re: 潜入捜査のアレやコレ - たきゆき - 2019/02/16(Sat) 02:59:35 [No.5]
Re: 潜入捜査のアレやコレ - たきゆき - 2019/02/16(Sat) 03:00:13 [No.6]
Re: 潜入捜査のアレやコレ - たきゆき - 2019/02/16(Sat) 03:00:52 [No.7]
Re: 潜入捜査のアレやコレ※流血表現有 - たきゆき - 2019/04/30(Tue) 01:27:56 [No.13]
Re: 潜入アレやコレ6 - たきゆき - 2019/05/15(Wed) 01:58:17 [No.14]
後日談のような感じ - たきゆき - 2019/07/26(Fri) 01:37:24 [No.23]


Re: 潜入捜査のアレやコレ (No.4 への返信) - たきゆき

「つまりお前が六花時代に書いた論文を元に作られた薬でモンスターが狂ってるってのか」
「捨てたつもりだったんだけどね、あんなゴミ」
鉄格子の側までにじり寄ったLeoninoの耳元でだけ聞こえるような小さな声で吐き捨てる。
「手元に資料が残ってなくて、どんな改悪されたかわかんなくて」
「潜入したのか」
ん、と小さく頷く滝雪にもやもやとした不快感を覚える。
何故頼らなかった、と聞きたくて、飲み込む。
知っていた。
以前に比べ、彼女は本当に頼らなくなった。
昔でさえ、誰かに頼るのは苦手だった。
それでも今よりは。
「今、裏で中和剤作ってる、から、完成したら」
「GOサインを貰えるんやろ?」
「一旦脱出してもいいのよ?ここにいたら、どんな扱いを受けるか」
「お断りだ」
「……バカ」
「お前がな」
気遣うような問いかけを端的に断ったら、拗ねたような表情で非難される。
だが、それこそ、批難したいのはこちらのほうだ。
憮然としたLeoninoの呟きに、肺の奥底から吐き出すようなため息をして、こつんと額を鉄格子にぶつける。
そのまま動きを止めて。
「ユキ?」
ずるりと体が沈んだ。
「ッユキ!」
潜めながらも鋭く問う。
その問いに返されたのは。
「寝息…?」
規則的な、小さな寝息。
それは目の下に隈が出来るほど眠れなかった彼女が眠った証で。
覗き込むと、思ったより穏やかな顔をしていた。
まるで安心したかのような表情と無防備な様子。
「そ、れは……卑怯やろ」
ここは安全、と言わんばかりの様子に渋い顔になる。
頼ることもしないくせに。
両手は後ろ手に拘束されたまま、触れることもできない。
その場所で。
短い安息に沈む彼女の空気がやわらいでいる。
ごり、と彼女の側の鉄格子に自分の額を寄せる。
吐息で前髪が少し揺れた。
「しゃあない。誰か来たら起こしたるから…」
少しだけ。
ようやく得られたらしい眠りを守るようにその場に座し、ただ静かに周囲に耳を澄ませ続けた。


[No.5] 2019/02/16(Sat) 02:59:35

Name
E-Mail
URL
Subject
Color
Cookie / Pass

- HOME - お知らせ(3/8) - 新着記事 - 記事検索 - 携帯用URL - フィード - ヘルプ - 環境設定 -

Rocket Board Type-T (Free) Rocket BBS