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No.6へ返信
潜入捜査のアレやコレ
- たきゆき -
2019/02/16(Sat) 02:58:40
[No.4]
└
Re: 潜入捜査のアレやコレ
- たきゆき -
2019/02/16(Sat) 02:59:35
[No.5]
└
Re: 潜入捜査のアレやコレ
- たきゆき -
2019/02/16(Sat) 03:00:13
[No.6]
└
Re: 潜入捜査のアレやコレ
- たきゆき -
2019/02/16(Sat) 03:00:52
[No.7]
└
Re: 潜入捜査のアレやコレ※流血表現有
- たきゆき -
2019/04/30(Tue) 01:27:56
[No.13]
└
Re: 潜入アレやコレ6
- たきゆき -
2019/05/15(Wed) 01:58:17
[No.14]
└
後日談のような感じ
- たきゆき -
2019/07/26(Fri) 01:37:24
[No.23]
Re: 潜入捜査のアレやコレ
(No.5 への返信) - たきゆき
ゆらり、と室内のランプの光が揺れた。
そのランプは安物で、室内に風が入ると空気の揺らぎで炎が震えるのだ。ハンターの時に使っていたカンテラならばそんなぞんざいな作りはしていないのに、と頭の中で思う。
「何の用?」
舌打ちしそうな気分で、音も立てずに入ってきた人物に問う。
視線は既に扉の前に立つ見覚えのない男に。
ここは敵地だ。
誰一人心を許すことなどできない。そんな状況で背を向けて研究を続けるわけにはいかない。
手元を覗き込まれて、ダミーの資料で重ねて隠された中和剤の研究を見られるわけには。
「……」
無言で男が歩み寄るのに警戒が深まる。
「だから、何の…」
いいかけて、険しい表情になる。
「あなた……だれ?」
見覚えがない、だけではない。この身のこなしと気配の消し方は玄人だ。ここにいる山賊崩れ共とは次元が違う。
男が後ろ手に持っていた何かをこちらに向けようとしたことで焦燥が深まる。
(やばい)
今はハンターではなく、研究者としてここにいる。
護身に使えるのは懐に隠し持ったナイフくらいだが、これでは太刀打ちできる気がしない。
すっと前に伸ばされる手に、緊張が高まる。
だが目の前に差し出されたのは。
「え?」
ふわりと湯気を立てるミルク。優しい香りは時間差で届く。
「……ポポミルクに、砂糖がティースプーン2杯、ブランデーが3杯がお好みでよろしかったですよね?」
「は?」
それは自分が夜に好んで飲んでいたものだ。
しかしそれを知っている人間は殆どいない。極々少数に限られる秘密のレシピ。
知っているのは長年付き添ったオトモと、眠れぬ夜にそっと作って差し出してくれた年下の副団長。
男が胸元からちらりと取り出して見せたものに息を呑む。
それはギルドナイトのみ与えられる身分証のようなもので。
「『双子の片割れからねーちゃんへ』だそうで。後、むちゃしぃの見張り頼むわ、とのご命令で」
命令ということは部下。
つまり。
「随分と手を打つのが早いこと。そして過保護ね」
苦笑が零れる。
ここは既にギルドナイトの監視下。薬を待たれているのだ。
「やっぱりばかね」
「隊長も貴女に言われたくはないかと」
「尤もだわ」
受け取ったコップのぬくもりに、誰かの手のぬくもりを思い出した。
[No.6]
2019/02/16(Sat) 03:00:13
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> ゆらり、と室内のランプの光が揺れた。 > そのランプは安物で、室内に風が入ると空気の揺らぎで炎が震えるのだ。ハンターの時に使っていたカンテラならばそんなぞんざいな作りはしていないのに、と頭の中で思う。 > 「何の用?」 > 舌打ちしそうな気分で、音も立てずに入ってきた人物に問う。 > 視線は既に扉の前に立つ見覚えのない男に。 > ここは敵地だ。 > 誰一人心を許すことなどできない。そんな状況で背を向けて研究を続けるわけにはいかない。 > 手元を覗き込まれて、ダミーの資料で重ねて隠された中和剤の研究を見られるわけには。 > 「……」 > 無言で男が歩み寄るのに警戒が深まる。 > 「だから、何の…」 > いいかけて、険しい表情になる。 > 「あなた……だれ?」 > 見覚えがない、だけではない。この身のこなしと気配の消し方は玄人だ。ここにいる山賊崩れ共とは次元が違う。 > 男が後ろ手に持っていた何かをこちらに向けようとしたことで焦燥が深まる。 > (やばい) > 今はハンターではなく、研究者としてここにいる。 > 護身に使えるのは懐に隠し持ったナイフくらいだが、これでは太刀打ちできる気がしない。 > すっと前に伸ばされる手に、緊張が高まる。 > だが目の前に差し出されたのは。 > 「え?」 > ふわりと湯気を立てるミルク。優しい香りは時間差で届く。 > 「……ポポミルクに、砂糖がティースプーン2杯、ブランデーが3杯がお好みでよろしかったですよね?」 > 「は?」 > それは自分が夜に好んで飲んでいたものだ。 > しかしそれを知っている人間は殆どいない。極々少数に限られる秘密のレシピ。 > 知っているのは長年付き添ったオトモと、眠れぬ夜にそっと作って差し出してくれた年下の副団長。 > 男が胸元からちらりと取り出して見せたものに息を呑む。 > それはギルドナイトのみ与えられる身分証のようなもので。 > 「『双子の片割れからねーちゃんへ』だそうで。後、むちゃしぃの見張り頼むわ、とのご命令で」 > 命令ということは部下。 > つまり。 > 「随分と手を打つのが早いこと。そして過保護ね」 > 苦笑が零れる。 > ここは既にギルドナイトの監視下。薬を待たれているのだ。 > 「やっぱりばかね」 > 「隊長も貴女に言われたくはないかと」 > 「尤もだわ」 > 受け取ったコップのぬくもりに、誰かの手のぬくもりを思い出した。
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