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No.1646へ返信

all 親から子へ・・・プロローグ - takaci - 2008/07/08(Tue) 21:39:01 [No.1453]
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親から子へ・・・17〜Fin〜 - takaci - 2024/11/10(Sun) 10:34:28 [No.1651]


親から子へ・・・12 (No.1480 への返信) - takaci

教会であや乃とはぐれてしまった直後、真司は強い焦燥感に駆られていた。









だがひとりタクシーを捕まえて立ち去ってしまったあや乃を追いかける手段は無い。









携帯に掛けても繋がらないので、とりあえずメールを打った。








焦りながらメールを打つ真司だったが、しばらくしたらあや乃から返信が届いた。









『ゴメン今はひとりにさせて。あたしは大丈夫だから帰って。本当に大丈夫だから』









『心配と迷惑かけてごめんなさい。今日は付き合ってくれてありがとう』









本心は不安だったが、あや乃のメールの内容を信じて真司はバイクで自宅に帰った。









そして休み明けの月曜日。









学校であや乃の姿を見ることは無かった。









(あや乃ちゃん、ちゃんとこっちに帰って来ているのかな?でも親と顔を合わせたくないだろうなあ)









現時点では推測に過ぎない。









ただ、あや乃の両親が本当の両親なのかどうかは限りなく疑わしい。









東上綾資料館の年表が正しければ、あや乃の本当の母親は東城綾になる。









(あや乃ちゃんとお母さんの仲は良かったよなあ。あんな若くて綺麗なお母さんは自慢だっただろうああ)









(そんなお母さんが本当の母親じゃなかったとしたら・・・)








あや乃のショックが大きいことは簡単に想像が付く。









(俺に何か出来ることがあればいいけど、何が出来るのか全く分からん)









悩みながら学校の廊下を歩く真司の前で、亜美と啓太が楽しそうに談笑している。









(こんな時こそ友人を頼るべきなんだろうけど、あや乃ちゃんの家庭の事情も絡んでいるからなあ・・・)









真司ひとりの判断で悩み相談が出来る内容ではないと判断し、ひとりで悩むことになってしまっていた。














その日の夜。









真司が自室で宿題を片付けている時に、携帯が震えた。









あや乃からのメールだった。









現時刻は午後9時過ぎ。









自宅近郊の公園に来て欲しいという内容だった。









現在のあや乃の状況には不安を覚えたが、あや乃からの呼び出しは単純に嬉しかった。









簡単に身支度をして指定の公園に向かう。









この時間帯の公園には他の人影はない。









街灯に照らされたベンチに寂しそうに座っているあや乃の姿を捉えた。








さらにあや乃の前には大きめの旅行鞄がある。









明らかに落ち込んでいるのが一目で分かったので、慌てて駆け寄った。









「あや乃ちゃん、何かあったの?」









「真司くんゴメンね。迷惑掛けたくなかったけど、他に頼れる人がいなくて・・・」









「まさか、家出してきたの?」









「家出じゃなくって、お母さんに追い出されちゃった」









「ええっ!?あのお母さんが!?」









驚く真司。









「思い切ってお母さんに東城さんのことを聞いたら、急に冷たい顔になって、突然出てってと言われて・・・・あんな怖いお母さん初めてで・・・怖かった・・・」










涙声で震えるあや乃。









その様子で恐怖の大きさが伝わってくる。









「あや乃ちゃんを家から追い出した?あのお母さんが?あ、お父さんは?真中監督はなんて言ってるの!?」








「お父さんは今は家に居ないの。でもお父さんも了承済みだって・・・」









「なんで年ごろの娘を家から追い出すことを了承するんだよ?俺には理解出来ないよ・・・」








頭を抱える真司。









「あと、真司くんの家に行きなさいってお母さんが言ってて・・・真司くん何か聞いてる?」









「はあ?あのお母さんがそんな意味不明なことを?俺何も知らないよ?」









「本当に迷惑掛けてごめんなさい。でも他に頼れる人がいなくて・・・」









「・・・分かったよ。とりあえず今夜はウチに泊まればいいよ。親は俺が説得するから」









真司は現状に納得出来なかったが、あや乃を放っておくことも出来なかった。









真司は困るあや乃に手を差し伸べると、あや乃はようやく安心した笑みを見せた。







そしてあや乃を連れて自宅に帰ると、母親から笑顔で歓迎された。









「あや乃ちゃんのお母さんから話は聞いてるわ。家庭の事情で家に居られないそうね。有名な映画監督の家は大変みたいね」










「は?なにそれ?そんな話俺知らないよ?」









また驚く真司。









だが母親は真司を無視してあや乃を笑顔で迎え入れた。









「もう部屋は用意してあるわ。あや乃ちゃんみたいな素直ないい子はお母さん大歓迎。あや乃ちゃんも自宅だと思ってくつろいでね!」









この時の真司とあや乃は母親の思わぬ熱烈歓迎にただ驚くだけだった。









そして翌日の放課後。








真司はあや乃の家の洋菓子店を訪れた。









あや乃の現在の母親であるつかさに文句を言うために。









「いらっしゃいませ。あ、君かあ。確か真司くんだったよね。来ると思ったよ」









つかさは明るい声で応対してくれた。









だが真司は怒っていた。









「どういうことですか?いくら事情があるとはいえあなたあや乃ちゃんの母親でしょ?なんで母親が年頃の娘を家から追い出すんですか?」









「真司くんもあや乃と一緒に泉坂に行って調べたんだよね?それで東城さんのこと知ったんだよね?」








「知りましたし驚きました。あとあや乃ちゃんの母親が東城綾の可能性があることも」








「可能性じゃなくて、それが真実。あや乃の生みの母は東城さんで、あたしは育ての母よ」









つかさは至って普通の表情で重要な事実を口にした。









そんな重要なことを何で本人に伝えないんですか?あや乃ちゃんメッチャショック受けてましたよ?」









「確かに育ての母としては失格だよね。でも仕方ないんだよ。あたしと東城さん、あと淳平くんの関係はかなり複雑だから・・・」









そう語るつかさの表情は急速に冷たくなって行く。









つかさの迫力に押された真司の背筋も一気に冷たくなった。








それでもつかさを問いただす。









「過去のことgは俺は知りませんが、それを子に語ることも育ての母の役割じゃないんですか?」









「確かにそうだけど、今のあたしの口からは言えない。事実を知りたいなら手配するけど、どうする?」










そのつかさの言葉の2日後、









真司はあや乃と共に学校を休み、新幹線で京都に向かっていた。


[No.1646] 2024/11/06(Wed) 19:50:13
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