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all 親から子へ・・・プロローグ - takaci - 2008/07/08(Tue) 21:39:01 [No.1453]
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親から子へ・・・13 (No.1646 への返信) - takaci

午前10時半の京都駅入り口。









真司はあや乃と共に顔の分からない来訪者と待ち合わせていた。








『淳平くんとあたしと東城さん、この複雑な関係をよく知っている人が京都にいるからその人から話を聞いて』









あや乃の育ての母のつかさにそう言われ、つかさの手はずで京都に訪れたふたり。









「真司くんは京都に来たことはあるの?」









「中学の修学旅行で来たことgはあるよ。修学旅行では定番の場所だから」









「あたしは生まれて初めてだよ。日本の歴史が詰まっている場所だからいろんな所に行ってみたいなあ」









あや乃はそう語るものの、楽しそうな雰囲気は一切感じられない。









ふたりで一緒に観光を味わう気分とは程遠かった。









「こんにちは」










そんなふたりに突然声が掛けられた。









声に反応して振り向くと、ふたりの美女が立っていた。









パッと見は20代後半から30代前半くらいの若々しい女性だった。









そしてその中のひとりは、









「あれ?外村さんじゃないですか?」









驚く真司。










「君は確か真中監督の発表会でデータを届けてくれた、確か東村くんだったよね?」









美鈴も一度会った真司のことを覚えていた。








ただそれ以上に、









「・・・あなたが真中あや乃さんね。ひと目見てわかったわ」









「・・・信じられない。高校時代の東城先輩にそっくり。ここまで瓜二つに育つなんて・・・」









ふたりとも初対面のあや乃の姿を見て驚いていた。









そして4人揃って最寄りの喫茶店に移動した。









「改めて自己紹介ね。あたしは北大路さつき。あや乃ちゃんの父親の真中と母親のつかささんの同級生で、今はこっちの旅館の女将をやっているわ」









「あたしは外村美鈴。真中監督とつかささんの1年後輩で、高校の部活で一緒だったのよ。あや乃ちゃん初めまして」








笑顔で挨拶する二ふたりの美女。









「初めまして。真中あや乃です」









対するあや乃は緊張気味。









「俺は東村真司です。あや乃ちゃんの付き添いで来たんですが・・・あのお二人にメッチャ失礼なこと聞いていいですか?」









「失礼なこと?こんなおばさんのスリーサイズでも気になった?」









笑顔で真司をからかうさつき。









だが真司は至って真面目だった。









「おふたりはあや乃ちゃんの両親の同級生と1年後輩ってことは、今は40代半ばですよね?俺の目には20代でも通用するほど若く見えているんですが?」









「あははー真司くんだっけ?嬉しいことを言ってくれるねえ!こんなおばさん口説く気なの?」









さつきは一気に上機嫌になった。









「あたしも北大路先輩ももう40代半ばのおばさんだよ。西野さんも先輩と同い年だけどあの人はいつまでも若いから驚く。20代半ばでも通用しそうだから」









「西野さん?それはあや乃ちゃんのお母さんのことですか?」









「そうだよ。あたしたちと真中と西野さん、そして東城さんは高校時代からの付き合い。だからいろいろ知っているよ」








さつきは笑顔でそう答えた。









「西野さんは自分のことを母親失格だと言ってたけど、今のあや乃ちゃんを見るとそうとは言い切れない気もするのよね。西野さんも複雑なのよ」









美鈴はあや乃を見ながらそうぽつりと漏らした。









「真中と西野さんと東城さんは本当にいろいろあったからねえ。まあその辺りはあたしらが詳しく説明してあげるよ」









そしてさつきの口から、高校時代のエピソードが語られた。









「あたしと西野さん、東城さんは恋のライバル。高校時代は3人で真中争奪戦を繰り広げていたのよ」









「あの頃のお愛華先輩は情けなかったですね、3人の間をフラフラして優柔不断の態度で・・・」









当時の真中を思い出して怒る美鈴。









「高校時代の真中は西野さんと付き合っていた時期もあったけど、基本的にはフリーだった。で、高校卒業をきっかけにみんな離れ離れになったの」









「北大路先輩は京都で女将修行、西野先輩はフランスで菓子修行、真中先輩は海外ひとり旅で監督修行。卒業前に小説家デビューしていた東城先輩は進学して作家を続けたわ」









さつきの説明に美鈴が補足を入れた。









それから4年くらい経過してからみんな京都で再会したけど、あの時の真中は良い男になっていたよなあ」









「真中先輩も西野さんも修業が実って日本で働くことになって、そしてふたりが改めて付き合いだしたのよ」









「ここで物語が終わっていれば西野さんエンドのハッピーエンドになるけど、現実はその後があったんだよねえ・・・」









この時さつきは初めて苦い顔を見せた。









「お父さんとお母さんの仲を、東城さんが引き裂いたんですね?」









あや乃が勇気を振り絞ってそう尋ねると、









「それは違う。あたしの目には運命のふたりが結ばれただけのようにしか見えなかったよ」









さつきは優しい口調でそう返した。









「運命のふたり?どういうことですか?」









思わず真司も聞き返したら、さつきの優しい口調の説明が始まった。









「真中と東城さんは運命共同体なの。真中は東城さんの描いた物語を映像化する。そして東城さんはそのために物語を描く、そんな関係だった」









「その関係は西野さんと付き合いだしてからも続いた。真中先輩の就職先の事務所に東城先輩が仕事を斡旋し続けたの」









「当時の西野さんはかなり複雑だったみたいね。仕事の関係でも真中と東城さんのことをかなり意識してたと聞いたよ」









「そんな東城先輩の斡旋のおかげで真中先輩は仕事を増やして行った。当時の真中先輩の基礎を築いたのよ」









「そんなふたりの仕事の関係は順調だったけど、東城さんが23の時に倒れたの。心臓病だった」









「心臓病?それが東城綾の死因ですか?」









真司は思わず聞き返した。








「そうだよ。23の時点で余命2年と言われた。有効な延命措置も無かったのよ」









その問いには美鈴が悲しそうな表情で答えた。









「真中と東城さんにはこの先何10年も掛けて叶える共通の目標があった。でもそれはもう叶わない。真中は絶望した。東城さんもそうだけど、その時に残りの人生を真中と過ごすようにお願いしたのよ」








「東城先輩は真中先輩をずっと想い続けていた。余命2年と言われればそんなお願いをしても仕方ないと思う。そして真中先輩も東城先輩の想いに応えた」









「でもその阿多が本当に大変だったんだよ。真中と西野さんの別れ話」









当時を思い出し苦笑いを浮かべるさつき。









あたしも立ち会いましたけど、西野さんの剣幕凄かったですね。『理屈で感情が割り切れる訳が無い!』って何度も泣き叫んで・・・









「けど、西野さんのそんな心からの叫びを受けても真中の想いは揺らがなかった。あの時の真中は東城さんを選んだの。東城さんの想いを叶えたのよ」









「あの時の西野さんを振った真中先輩は男らしかったな。高校時代のフラフラしてた人と同じとは思えなかった」









さつきと美鈴のふたりは当時の淳平と綾を擁護する立場を示した。









こうなると真司もあや乃も強い言葉を言えない。









「そんなことがあったんですね…それでその後のお父さんをお母さんは・・・」









あや乃はそう聞くのが精一杯。









「西野さんは悲しみから逃げるようにまたフランスに旅立った。真中と東城さんは日本で一緒に仕事を続けたけど、その時のふたりは本当に幸せそうだったよ」









屈託のない笑顔を見せるさつき。









「あの時のふたりは一緒に仕事をこなしてどんどん実力をつけて周りに認められて、本当に充実してたなあ」








美鈴もさつきに同意する









「真中と一緒に過ごすことで東城さんの病状も良くなった。それを受け手東城さんは真中との子供が欲しいと言い出したのよ」









「担当医からは寿命を一気に縮めるという理由で猛反対されたけどね。でもアメリカで出産を認める医者を見つけて、ふたりでアメリカに旅立った。そして向こうで結婚、出産をしたの」









「その時に生まれた子供が、あや乃ちゃん、あなたよ。あなたは真中と東城さんの想いを見届けるためにこの世に生を受けたの」









さつきにそう告げられた時のあや乃の目は大きく見開いていた


[No.1647] 2024/11/07(Thu) 20:30:32
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