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第29話 「夢のグランド」 (No.1643への返信 / 29階層) - スタンリー

第29話 「夢のグランド」

綾が玄関から自室に行く途中の廊下で弟に会う。



正太郎「姉ちゃん、さっき男と会ってたろう?」



綾「そうだけど・・・・。」



正太郎「姉ちゃんから帰っていいって電話をもらう前に、マンション

から女が出てきたけど、あれって高校時代好きだった男の彼女だよな。

もしかして姉ちゃんが言ってた彼氏ってあの男ことなのか?」



綾「そうよ。」



正太郎「あれから4年以上も経ってるのに、ずぅっとあいつのことが好き

だったんだな。

前の彼女ってあの時と比べてまたすごく綺麗になってたけど、なんで男の

マンションから出てきて、ひょっとして、あそこで前の彼女との修羅場に

なってたんじゃないのか?」



綾「違うわよ、彼の家に行ったら、たまたま彼女が帰るところだっただ

けだし、彼本当に別れたって。」



正太郎「もし、そうだとしても、前の彼女があの時そこにいたわけだから

よりを戻しに来てたんじゃないのか?

あんな美人が本気であいつにアタックをかけたら、姉ちゃんまたフラれる

かもしれないから、あまりそいつに期待をしないほうがいいぜ。」



綾「もう、いいでしょ。

正太郎には関係ないんだから。

私は、お風呂に入って寝るからね。」

綾(せっかくいい気分で帰ってきたのに台無しじゃない。

もう正太郎とは当分口をきかないんだからね。)



綾は怒って自室に戻り着替えを取りに行き風呂場へ向かう。


綾が衣服を脱ぎ、浴室入り、体を洗い湯船に入る。


綾(今日一日でいろいろあったけど、私って真中くんの恋人になれたんだ。

でも西野さんって真中くんの嘘を本当に信じてるのかな。

もし、嘘だと分かったら、またよりを戻そうとするかもしれない・・・。

本当に正太郎のせいで、なんか不安になってきちゃったじゃない。

もう、はやく寝てこのことを忘れよう。)


綾が浴室をでて、体をふき、パジャマに着替えて髪を乾かし、自室に戻る。


綾がベッドのサイドテーブルに淳平から貰ったスペアキーを置いた後で

部屋の照明を消す。

綾がベッドのサイドテーブルに淳平から貰ったスペアキーを置き

ベッドの上で横になる。


綾が布団に入り今日の応接間での出来事を思いだす。


綾(真中君と恋人になれたんだ。

高校三年生のときの文化祭の時フられて、彼の大学受験の時に

あんな過ちをして彼をあきらめたけど・・・よかった、今日告白

して。)


綾が部屋の明かりを消す。

綾が今日の中学校でのグランドでの出来事を思い出す。

綾(中学三年生の時、西野さんへの告白を見た時は

恥ずかしいって思ったけど、私に対してしてもらえる

ととても嬉しかった。

これからも一生忘れない思い出になると思う。)

綾が小さなあくびをしてサイドテーブルに置いた車の

スペアキーを見て。

綾(おやすみ・・・・真中君、じゃなくて淳平。)


綾が眠りに入る。







綾の夢の中

小学校の運動会で綾がグランドの外周の外にビニールシート

に座っている。


隣に綾の子供の頃に似た眼鏡をした幼稚園児位の女の子が座って

おり、その後ろに綾の母と父が座っている。

その女の子が向こう側のトラックに徒競走の出走準備で並んで

いる淳平を小さくしたような男の子を指差して綾に話かける。


女の子「ねぇ、見てお母さん、お兄ちゃん次だよ。」

綾「そうね。あれっ、お父さんは?」


女の子がトラックのコーナー付近でビデオカメラを構えている

親達を指差して。

女の子「お父さんなら、ずぅっとあそこにいるよ。」


そのコーナー付近にいる親達の集団の中に、業務用に使うような

ビデオカメラに頑丈な三脚をつけて構えている淳平を見つける。


学校の先生「位置について。  ヨーイ。」

ピストルの音が鳴ると同時に淳平を小さくした男の子を含め

8人くらいの小学生が一斉に走り出す。




女の子「お兄ちゃん頑張れ。」


綾「頑張れぇ。・・・・あっ!」




トラックの最初のコーナーを回り、綾たちの座っている付近で

1位で走ってきた淳平を小さくしたような男の子が転び後の7人に

に次々に抜かれる。


膝を擦り剥き少しよろめきながら立ち上がるが他の走者はゴールする。

片足を少し引きずるように走り出すと周りから拍手の音が聞こえて

くる。


少しして、淳平を小さくしたような男の子がゴールすると更に大きな

拍手が聞こえてくる。

女の子「せっかく途中までは一番だったのにねぇ。」


綾の母「『転ぶ』ていうのは遺伝するのかしらねぇ。」


綾「それって私からって事?

もう、一生懸命やったんだから褒めてあげてね。」

綾の両親が笑っている。


少しして淳平が満足げに綾の座っている所にくる。


淳平「傑作が撮れた予感がする。

早く編集しないとな。

帰ったら一緒にやろうぜ。」


綾が呆れ顔で。


綾「まだダンスとか他の種目もあるんだから。」

淳平が笑いながらビデオカメラをビニールシートの上に置いて

女の子を抱きかかえて座る。



夢が終わる。






綾が目を覚ます。


綾(なに今の?

もしかして夢?

じゃぁ、昨日の事も・・・・?)


綾がベッドのサイドテーブルに視線を移して置いてある車の

貰ったスペアキーを見て安心する。





綾(よかったぁ。あれは夢じゃなくて。)


綾(グランドでの告白のインパクトが強すぎたからあんな夢を

見たのかなぁ。でもさっきの夢の中で、真中君が旦那さんで

男の子が小学生くらい、女の子が幼稚園くらいだったなぁ。

もしこの夢の話を真中君にしたらどんな顔をするのかなぁ。

夢の中での真中君って親バカだったなぁ。

でもこんな話をしたら付き合いだして間もないのに結婚を

迫ってるみたいだから・・・。いつか話せるときがきたら

それとなく話してみよう。)




綾が部屋で着替えて、ダイニングへ向かう。


綾「おはよう。」

綾の母「おはよう。朝食の準備ができてるからね。」


綾「うん、ありがとう。ねぇお母さん、お料理のことを教えて欲しいけど、いい?」


綾の母「いいけど・・・。でも、急にどうして・・・。

もしかして、彼でも出来た?」


綾「・・・うん。

それでね、やっぱりお料理とかできないとダメじゃないかなぁって思ってね。」



綾の母「そうなの。それで、どんな人なの?」



綾「中学校の時からの同級生なの。」


綾の母「そう、今何をしている人なの?」


綾「今はアルバイトなんだけどね、近々面接を受けて映像関係の

会社に就職予定なの。」


綾の母「綾ちゃんが好きになった人なら、きっといい人でしょうね。」



綾「それでね、まだお父さんにはまだ内緒にしておいて欲しいの。」



綾の母「それは構わないけど、お父さんに心配をかけるようなこと

だけはしないでね。」



綾「するわけないじゃない。」



綾が朝食を終え自室に戻り執筆を始める。


綾(これから、真中くんと平日に会うのなら夜になりそうだから

できるだけ執筆は午前中にしないとね。)






綾が執筆を始めてから2時間程してから玄関からチャイムの音がし

綾の母がドアホンで対応する。



綾の部屋の内線の呼び出しがなり、綾が受話器を取る。



綾の母「綾ちゃん、お友達がおみえになってるから

ちょっと玄関にいってもらっていい。」



綾「だれなの?」



綾の母「高校時代のお友達できれいな女の人みたいよ。」



綾「今すぐ、行くから。」

綾が受話器を置き、玄関に向かう。



綾(誰だろう・・・。)



綾がドアを開け、立っている人を見て驚く。





綾「西野さん」


玄関の前には、西野が立っていた・・・。


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[No.1645] 2014/08/03(Sun) 21:01:31 (85247時間11分前)
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Re: 『真実の瞳』−22.「岐点」 (No.1240への返信 / 24階層) - y.s

次の作品はまだなのですか?

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[No.1644] 2013/08/03(Sat) 19:58:27 (94008時間14分前)
140.246.12.61.ap.seikyou.ne.jp

第28話 「Love Drive」 (No.1642への返信 / 28階層) - スタンリー

第28話「Love Drive」


淳平と綾は近所のスーパーの駐車場に停車している。


淳平「じゃぁ、俺は助手席にいるから、運転して。」


綾「うん。」

二人が席を替わる。


綾「運転する前に1ついい?」


淳平「何?」


綾「あの時あったぬいぐるみはどうしたの?」


淳平「夕方、家に帰ったときに、みんな車から降ろしといたから。

でも、車内が寂しくなっちゃたな。」


綾「私は、うれしいけど。でも、大丈夫なの?」


淳平「あのバイトは、もう止めるからいいんだ。

それに、綾がなにか自分のものを置きたいかもしれないからな。

そうだ、綾にこれをあげるよ。」


淳平が、ポケットから、車のリモコンドアロック付きのスペアーキー

を渡す。



綾「これって、車のカギじゃなないの?

どうして?」



淳平が照れながら・・・。


淳平「俺の車の指定席チケットみたいなもんかな・・・。

本当は、別の何か良いものを渡したいけど、今日付き

合ったばっかりで何も渡せるものがないからさ。」



綾「ううん、とてもうれしいよ。

私達、本当に付き合ってるって証拠みたいだからね。

本当言うとね、今日家に帰って眠るのが怖かったの。」



淳平「怖い?」



綾「明日の朝、起きたらね、今日のことが全部夢じゃないかと思ってね。

だから、この車のカギを私のベッドの近くに置いておけば、起きても夢

じゃないって思えるから・・・。

これで安心して眠ることができると思う。」



淳平「そうか。

それなら良かったけど・・・・・じゃあ、おしゃべりはこれ位にして

そろそろ運転の練習を始めようか。」



スーパーの駐車場で運転の練習を50分ほどする。



淳平「そろそろ、やめて家に帰ろうか?」



綾「そうね。

で、どうだった私の運転?」



淳平「最初はどうかって思ったけど、だんだん良くなってきた。

運転なんて慣れればどうってことないんだからさ。

あと、ちょっと練習すれば完璧だと思うよ。

だから、また一緒に練習しような。」



綾「うん、一緒に運転してるとね、なんとなくだけど運転が

すぐ上達するような気がするの。」



淳平「じゃぁ、ここから綾の家まで、自分で運転してみるか?」



綾「えっ、それはちょっと・・・・。」



淳平「冗談だよ。

席を替わろうか。」



綾「うん。」



二人が席を替わる。


淳平「送った後、家の前じゃできないから。」

淳平から綾に車内でキスをする。



二人がキスを終え、綾がその余韻に浸っている。


淳平「そろそろ行こうか?」



綾が顔を赤らめて・・・。

綾「うん・・・・。」




二人を乗せた車がスーパーの駐車場から車道に出る。







車内で。


綾「今日は、疲れたわね。」


淳平「いろいろあったからな。」


綾「そうね。」


淳平「これで、あとさつきが来てたら、もう俺の頭の中は滅茶苦茶

になってたよ。」



綾「北大路さん、夕方、私の家に来てたの・・・。」



淳平「なんで家に?」



綾「外村君から、西野さんと別れた話を聞いたらしくて、それで淳平

に告白する前に私に淳平のことをどう思っているのか聞きに来たの。」



淳平「さつきが俺じゃなくて綾のところに聞きに?

それでさつきに何て?」


綾「私、淳平と付き合ってるって言っちゃったの。

そしたらね、北大路さんが淳平のことをあきらめるって言ってくれたの。

あと、今日はこちらの実家に泊まって、あす京都に帰るって。」



淳平「さつきが・・・・あきらめるって・・・。」



綾「どうしたの?」



淳平「いや、この前会えなかったからさ、久しぶりにさつきと話してみた

いって思ってさ。

でも、やっぱ今日は無理だな。心に余裕がないからさ。」



淳平(西野とさつきがおれの前を去って行ったってことだよな。

彼女を選ぶってこういう事なんだな・・・・。)



綾「そうね、私も・・・・。」

綾(真中くん、何かさびしそうね。)



綾「ところでね、真中くん・・・じゃなかった淳平、平日だったら

いつ電話してもいいのかな?」



淳平「基本的にいつでもいいけど・・・でもバイト中は故意に電話にでない

時があるからなぁ。

今月の月・火は、朝から5時位までおそらく工事現場に出てるし、午後8時

から居酒屋でバイトで夜12時位かな。

水曜は午前中だけ現場でバイトだし。

木曜は現場は休みだけど午後8時位から居酒屋でバイトで夜12時だな。

金曜と土曜は、クラブだけでで午後6時から深夜まで働いてるけど・・・

といってもさぁ、角倉さんのトコで就職が決まったら、みんな辞めちゃう

からな。」



綾「3つもお仕事を掛け持ちしてたんだね。」



淳平「これに角倉さんからの依頼が加わるから合計4つってところかな。」



綾「できるだけお仕事の邪魔にならないように電話するからね。」



淳平「分かった。

で、そっちは?」



綾「私は、基本的にいつでもOKだからね。

もし駄目な時は、そう言うからね。」



淳平「ああ、分かった。常識の範囲内で電話をするから。」



綾「楽しみにしてるね。」



淳平の車が綾の家の前で停車する。



綾が、助手席のドアをあける。

綾「送ってくれてありがとう。おやすみなさい。」


綾が車を降りる。



淳平「ああ、おやすみ。」


淳平が挨拶をすると車を発進させる。


綾が淳平を見送ったあと、玄関から自宅に静かに入った。


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[No.1643] 2013/01/12(Sat) 19:06:45 (98881時間6分前)
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第27話 「嵐のあとに・・・」 (No.1640への返信 / 27階層) - スタンリー

第27話 「嵐のあとに・・・」



綾と淳平はつかさが出て行った後、淳平の部屋にいる。


淳平「東城が俺の家に来るのは久しぶりだな。」


綾「そうね、家庭教師みたいなことをしてた時以来ね・・・・。」

綾(あの時、居間で真中くんに無断でキスをしたんだ・・・・。)






淳平は、綾が黙って何かを思い出しているのを察して・・・。

淳平「ごめん、なんか嫌なことを思い出させたみたいだな。」


綾「ううん、別になんでもないから。でも、真中くんのお部屋に

来るのは久しぶりだから、懐かしい気がするわ。」

綾が、淳平の部屋を見渡す。



淳平「撮影の機材と賞状が増えたくらいで、あの頃と基本的に

何も変わってないはずだけど。」


綾「あの作品の他にも賞をもらってたんだね。

あっ、エアコンがある。」


淳平「ああ、エアコンね、さすがに夏は暑くてさ、扇風機だけじゃ

厳しいからな。」



綾「そうね、前に来たときって、とても暑い日だったね。」



淳平「そうだったな。」



綾「・・・。」



淳平「・・・。」

二人の会話が途切れる。






淳平が話かける。


淳平「そういえば、何か用だった?

電話を待ってくれてると思ったけど・・・。」



綾「えーっとね・・・・。」


淳平「付き合ってるわけだから、いつ来ても悪かぁない

けどな。」



綾「そうよね。」


綾「・・・。」



淳平「・・・。」

二人の会話が再度、途切れる。






淳平「誤解して欲しくないから、話すけど。

西野は友達の結婚式の後でここによっただけだから。」


綾「うん・・・。」



淳平(いまいち、信用してないみたいだけど・・・。

さっき涙こそ見せなかったけど、きっと涙目くらいになって

たから。)



淳平「さっき、西野と何があったか話すよ。」



綾「別に、いいわ。」



淳平「いいや、俺は知っておいて欲しいんだ。」



綾「・・・。」


淳平「西野は友達の結婚式出席の為に昨帰国して

今日、その結婚式の後に、ここにきてこの前の手紙

のことを謝りにきたんだ。」



淳平「手紙のことを気にしててさ、それで、俺がもうあの失恋から

立ち直ったから気にするなみたいなって言って、その後に東城とつき

合ってるって・・・。」



淳平「そうしたら、西野が怒って帰るって言って、一緒に玄関に

行ったら東城がドアを開けて、後は知っての通りなんだけどな。」



綾「つきあってるのだって、西野さんと別れたあとなのに

どうして怒るの?」



淳平「つきあってるっていうのはさぁ、言いにくいんだけど

・・・今日からじゃなくて・・・4年前からって嘘をついた

から。」



綾「さっきドアが開いたとき真中くんが私のことを綾って呼ぶから

何かあったと思ったけど、そうだったんだ。」



淳平「西野の悲しい顔を見るのがつらかったから嘘をついたんだけど

・・・東城をだしに使て悪い事をしちゃったな。」



綾「ううん、別に私のことはいいんだけどね。ただ、西野さんがね。」



淳平「・・・。」



綾「ごめんなさい。」



淳平「別に怒ってないから、特に謝るなって。」



綾「違うの、実は、私、さっき、真中くんの所に西野さんが来ている

のを知ってたの。」



淳平「だっ、誰に聞いたんだ?」



綾「それは、私の口からは言えないけど・・・。」




淳平「あの時ここに西野が来てたのを知ってたのは本内だけだから

唯から教えてもらったと思うけど。」



綾「分かっちゃったみたいね。

でもお願いだから唯ちゃんを怒らないでね。」



淳平「怒らないから。

それにもし怒ったとしても逆ギレされるのがオチだし。」



綾「そうね。

それで西野さんが来てたのを知ってね、彼女と私とを比べたら

断然綺麗で性格もいいし、絶対にお料理だって上手に出来ると

思うから、もしかして真中くんって西野さんとよりをもどしちゃ

うのかなって思うと、家でじっと電話を待つことができなくなっ

ちゃって、ここに来ちゃったの。

でも、大変な時に来ちゃったみたいで、本当に、ごめんなさい。」



淳平「俺って全然信用がないんだなぁ。

確かに高校時代の優柔不断な俺を知ってるから仕方がないかも

しれないな。」



綾「4年以上も分かれていたって言っても、お互い好きあっていた

わけだしそう関単に、割り切れるわけじゃないと思うから・・・。

それに、真中くんは、嫌われようとして、あえてあんな嘘をついた

わけだしとてもつらかったと思うから仕方ないよ。」



淳平(東城って何て優しいんだろう。)

淳平「今の恋人を前にして言う事じゃないけど、東城が言うように

すぐには
忘れる事はできないと思う・・・・だけど西野のことを忘れるよう

努力するから。」



綾「ううん、無理はしないでいいからゆっくりでいいのよ。

私も真中くんにフラれても、ずぅっと忘れられなかったわけだしね。」



淳平「そうか・・・、今朝東城の家で、あの時フッたことは謝らないっ

ていったけどそれを聞いちゃうと謝ったほうが良さそうだな。

本当にゴメン。」



綾「ううん、そんなつもりで言ったんじゃなくて・・・、あの、なんて

言えばいいのかな、好きになった人の事を忘れるのは難しいって事を言

いたかっただけなんだけど・・・。」



淳平「東城の言いたい事は分かったから、いいよ。

これで西野も俺なんかに会いに来たりはなしたりすることも無いだろう

しな・・・。

じゃぁ、この話は、おしまいにして、もっと明るい話をしようぜ。」



綾「そうね、私たち今日から付き合うことになったんだから、本当

ならもっと明るい話をしたいわね。」


綾(でも、真中くんさびしそう・・・・。)



淳平「そうだな、ところで、今日言ってた話だけど、何か思い浮かん

だこととかある?」



綾’「それって、水曜日で良かったんじゃなかったの?」



淳平「そうだけど、なんとなくさ。」



綾「そうね。実は1つあるの。」



淳平「それって何?」



綾「お互いの呼び方なんだけどね。東城とか真中くんじゃなく

てもっと恋人らしい呼び方ってあるのかなって思って。」



淳平「呼び方かぁ。東城は、俺のことをどう呼びたいんだ?」



綾「真中くんから言ってみて、その呼び方を参考にして決め

たいから。」



淳平が少し考えている。



淳平「そうだな、あっちの国の映画とか見てて、昔ッから

いいなって思ってたのがあるんだ。」



綾「海外の呼び方なの?」



淳平が真顔で・・・。

淳平「じゃぁ、俺は東城の事をハニーって呼ぶから、それに

あわせて、俺の事をダーリンって呼んでくれ。」


綾(嘘、冗談よね。)

綾「本気なの?」



淳平「ああ、本気だけど・・・嫌か?」



綾「嫌じゃないけど、ちょっと恥ずかしいかも・・・。」



淳平「慣れれば、平気だって。じゃぁ、早速練習してみよう。」


綾「えっ、今言うの?」


綾の質問を無視して、淳平が話しかける。

淳平「水曜日は2時に向かえにいくから、遅れないように準備

しておいてくれよ、ハニー。」



綾が顔を赤らめてうつむきながら、ためらいながら小声で・・・・。

綾「分かったわ、・・・・ダーリン。」


綾(二人しかいないのに、凄く恥ずかしい。これって人前でも

言わなきゃならないの?)



淳平「・・プーッ、・・・・ハハハハハ。」

淳平が笑いをこらえていたが、我慢しきれなくなって笑い出す。



綾「えっ、真中くん、これって冗談だったの?」



淳平「俺、普通の日本人だぜ。そんなこと言いいたい訳ないじゃん。」



綾の顔が恥ずかしさで更に赤くなる。

綾「もぉー、さっき本気だって言ってたから、呼んだのに。」



淳平「ゴメン、ゴメン、あまりにも場が重苦しかったから、それで少し

明るくしようと思って言ってみたけど、まさか本当に言うとは・・・。」



綾「真剣に呼び方を考えてたのに。」



淳平「じゃぁ、東城はどう呼んで欲しいんだ?」



綾が淳平に背をむけながら・・・。

綾「もう、知らない。」



淳平「だから謝っているじゃないか。機嫌を直してくれよ。

東城の呼んで欲しい呼び方で呼ぶからさぁ。」



綾(本当は『あや』って呼んでもらいたいけど、教えてあげない。)


綾が淳平に背を向けたまま話す。

綾「私は、怒ってるの。」



淳平が後ろから両腕を綾の首の周りに優しく腕を回して抱きつきながら

顔を綾の左耳の横に近づけて優しくささやく。



淳平「好きだよ、綾。」



綾「えっ・・・!?」

綾が、突然の予期せぬ言葉に驚き言葉を失う。



数秒の沈黙の後、淳平が綾から離れる。

綾が顔を赤らめ、振り返り、嬉しそうな顔をしながら・・・。

綾「そ、そんな甘い言葉でささやかれても騙されないんだからね。」



淳平「本当に悪かった。でもこれで分かったけど、東城は、『あや』

って呼んで欲しいんだな。

じゃぁ、俺のことも『じゅんぺい』でいいから。

ただ、東城が他の呼び方で呼びたいんなら別だけど・・・。」



綾が機嫌を直して。

綾「ううん、『じゅんぺい』でいい。」



淳平「じゃぁお互い名前で呼ぶことにしような。」



綾「そうね。」



淳平「ところで今日、弟さんにここまで送ってもらったみたいだけど

車は運転しないのか?」



綾「一応運転はできるんだけどね。家族がさせてくれないの。」



淳平「家族が?どうして?」



綾「私って、4年前にお父さんの車を駐車場に入れるときにね

家の塀ぶつけて車の一部を壊しちゃったことがあって、それ以

来運転させてくれないの。」



淳平「せっかく、免許があるのにもったいないなぁ。

えーと、今日は日曜で今9時だし、近くのスーパーは閉店してるな。」


綾「スーパーがどうしたの?」


淳平「スーパーの駐車場なら、運転の練習ができると思ってさ。

今から行ってみようぜ。」



綾「今からなの?」




淳平「そう、今から。」


淳平が車のキーを机の上から取り、二人で部屋を出た。


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[No.1642] 2013/01/06(Sun) 21:14:47 (99022時間58分前)
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10years-04 (No.1638への返信 / 5階層) - takaci

あれから数日後、





トモコは中上家を訪れていた。





遼と佳奈にとって、トモコは幼馴染の頼れる姉的な存在だった。





佳奈の母親が亡くなったときは誰よりも佳奈のことを心配し、





遼と同居生活が始まると知ったときは心から応援してくれた。





遼と佳奈が付き合うようになったのも、トモコの後押しがあったからである。










夕刻、





トモコは佳奈と一緒にキッチンで夕食の準備をしていた。





「佳奈、ところで遼は?」





「作業場に閉じこもっているよ。今朝アメリカから図面が届いたから、それを造ってるんじゃないかな?」





「遼のお父さんもホントに病気だけど、それに付き合う遼も病気じゃないかな?好きなだけじゃそんな面倒なことはやってられないよ」






「遼もお父さんのことはいつも不平不満言ってるけど、結構楽しんでると思うよ。しかも好きなことをして自分のお金はほとんど使ってないし」






「でも佳奈は寂しくない?遼があんなだとあんまり構ってもらえてないでしょ?」





「あたしは一緒に暮らしてるだけで幸せだよ。朝起きて、朝ごはん作って一緒に食べて、一緒に学校行って、学校帰りにふたりで夕飯の買出しして・・・そんな今がとっても楽しい」






佳奈は満面の笑みを見せる。





「そっかあ。まあ遼も成長してるし、頼れる感じも出てきたからねえ」





そんな会話をしていると、遼がキッチンに姿を現した。





その表情は固い。





「遼、どうしたの?」





「親父が設計ミスった」





「えっ、うそ?」





「マジだよ。なんか軸受けがしっくり組めないなあと思って図面にらめっこしてたら、そこの寸法がコンマ02ミリズレてた。あれじゃ使えん」






ふうとため息をつき、ダイニングの椅子に腰を下ろした。





「遼、ウーロン茶でいい?」





「ああ、ありがとう・・・ってあれ?トモコ姉さん来てたんだ」





遼はようやくトモコの存在に気付いた。





「あんたも大変だねえ。ってか凄いね。コンマ02ミリってことは20ミクロンでしょ?そんなの普通の人じゃ気付かないよ」





「まあ、プラスチックの成型品なら誤差の範囲内ですね。でも削り出しの部品で、しかも軸受けです。許される誤差じゃないですね」






「ラジコンの世界もシビアだねえ。一昔前に流行ったあの・・・ミニ4駆だっけ?あっちのほうが気楽じゃないの?」





「ミニ4駆ですって?なにを言ってるんですかトモコ姉さんは?」





遼の顔つきが呆れ顔に変わった。





「えっ?」





「ミニ4駆ってラジコン以上にシビアな世界ですよ。もともとのサイズか小さいから求められる精度もワンランクシビアになるんです。ラジコンの世界だと0.1ミリ単位の調整ですが、ミニ4駆はさらに0がもう一つ増えます」






「うそ?あんな子供のおもちゃにそんな調整するの?」





「以前は子供が主体の遊びでしたが、それじゃ売れないので大人が参加できるようになったんです。そうなってから一気にシビアでカツカツな世界になりました。俺はラジコンなら組めますが、ミニ4駆は組めません」






「うわあ、遼からそう言われるとなんか引くなあ。大の大人があんなおもちゃにそんなことやってんの?」





「普通の人なら引きますよね。俺も引きました。しかも本気になるとラジコン並みに金が掛かりますよ」





「遼も立派なオタクだと思ってたけど、上には上が居るんだねえ」





「オタクってことは否定しませんけど、俺なんか軽いほうですよ。普通にラジコン走らせてるだけですから」





「でも走らせてるシャーシが普通じゃないじゃん」





佳奈が突っ込みを入れる。





「そうなんだよなあ。だから俺も結構なオタクだと思われてんだよ。それ心外なんだけどなあ」





「でも遼はオタクでもいいんじゃないの?普通の男ならそんな称号嫌がるけど、あんたには佳奈が居るんだからさ。オタクに理解のあるいい娘がね」






「それは言えますね。でも理解が良すぎて困ることもちらほらです。親父の暴走止められないんで」





「まあそれは諦めなよ」





「トモコ姉さんにそう言われると諦めざるを得ない気分になるから不思議ですね」





この一言でキッチンが穏やかな笑みに包まれた。











そして3人で食卓を囲む。





「ねえ遼、例の事件の捜査進んでる?」





トモコが真面目な顔で尋ねてきた。





「ぼちぼち、ですかね。ある程度は証言が集まりましたけど、有力な手がかりはまだです」





「どんな証言が集まったの?」





「失踪する1週間前くらい、期末テスト明けに東城先輩が体調不良で休んでるんです」





「それってテスト疲れみたいなものでしょ?」





「まあそう考えるのが自然ですが、その休み明けから東城先輩の様子がおかしくなってたみたいです」





「それ本当?」





「と言っても普通なら気付かないレベルです。いざ失踪事件が起きて、改めて振り返ってみたらそういえば・・・って感じですね」





「どんな感じに変わってたの?」





「いつもより元気が無く、落ち込み気味の表情を見せていたそうです。ただそれも微妙な変化ですよ」





「でも変化はあった。と言うことは、体調不良で休んだ日に何かがあった」





「まあそう考えるのが普通ですね。でもそれを調べるには家族から聞かないとダメです」





「東城さんの弟と友達なんでしょ?」





「正太郎から聞けないこともないと思います。でもまだ材料が足らないですね」





「なんで?」





「現在得ている情報は、家族側も知っているはずです。学校休んだ日に何かがあったと推測されるわけですから。だからその件について教えてくれって言っても、先日のあの対応では無理でしょ」






「じゃあ諦めるの?」





「まだ諦めませんよ。けど家族側も知らない、学校側での有力な情報が出てからです。それからギブアンドテイクですよ。今はまだその状況じゃないです」






「そっかあ・・・」





トモコは落ち込んでしまった。





「トモコお姉ちゃんは西野先輩と仲が良いんだよね?」





佳奈が尋ねる。





「うん、1年のときから同じクラスで仲が良くってね。親友のひとり」





「どんな性格なんです?」





先日の錯乱の様子ではそこまでは掴めない。





「基本的には明るい娘。みんなを引っ張るムードメーカー的な存在だね。頭も良いし、悪い評判は聞かない」





「そんな人があんなに取り乱すんですか?」





遼には信じられない。





「うーん、よく知らないから軽々しくは言えないけど、恋愛絡みになるとちょっと性格変わるかもね。あの元カレのことは本当に好きみたいでかなり執着していたような感じだったね。付き合っていた時もほとんど放ったらかしにされてたんだけどずっと我慢して待ってたし、去年の冬に振られてしばらくは明らかに落ち込んでいたから」






「えっ、振られた?西野先輩が?」





「それ本当ですか?」





遼、佳奈が揃ってトモコに尋ねる。





「うん、去年の冬に振られたって本人から聞いたよ。あの時は本当に辛そうだった」





そう語るトモコの表情も辛そうに見える。





「それが本当なら、こっちの情報とは異なるな」





「うん」





「えっ、どういうこと?」





今度は逆にトモコが尋ねる。





「こっちの情報では、去年の冬に真中先輩と西野先輩が別れたことまでは共通です。でも真中先輩が振られたって聞きました」





「ちょっとちょっと、振られたのはつかさだよ。振ったのは真中って元カレ。つかさそう言ってたもん」





「俺も外村の兄貴や北大路先輩からその辺りのことは聞きました。真中先輩は西野先輩に振られたって言ってたそうです」





「なによそれ?どっちも振られたって・・・」





意味が分からない佳奈。





「これってつまり何か行き違いがあったってこと?お互いが振られたって思ってたってことは・・・」





「お互いがまだ好きだった可能性がある、ってことですね」





「それで再会してからずっと仲が良かったわけだ。なんかのすれ違いがあって別れたけど、お互いまだ好きだった。それで再会してからさらに惹かれていった。つかさ本当に嬉しそうだったもん」





「西野先輩としては、真中先輩との再会をきっかけにして仲を深めよう、よりを戻そうとした。そう思ってたら真中先輩が失踪した。原因は東城先輩、ってことですか。それが事実なら許せないでしょうね」






遼も先日のつかさの錯乱の理由に納得がいった。





「でもそれならなんで真中って男は失踪したの?つかさが好きなら東城って女の誘いなんて断るのが普通じゃない?」





「真中先輩の中で、3人の女子がどんな位置付けだったかですね。俺の推測では、東城先輩も西野先輩もほとんど同じくらいだったんじゃないですか?北大路先輩はちょっと低い感じに見受けられましたね」






「それで東城先輩から誘われて、東城先輩を選んで一緒に失踪した」





佳奈がそう結論付けた。






「あたし、真中って男が一方的に悪いと思ってたけど、そんな簡単な話じゃなさそうだね」





「この件は複雑ですよ。根本はなぜ真中先輩までもが一緒に失踪したかです。いろいろ調べましたが、簡単な誘惑でほいほい動く人じゃなさそうです。根は真面目な人です。そんな人が失踪するなんてよほどのことです」






「そんなよほどのことってどんなのがあるわけ?」





「それが分かれば苦労しませんよ。いまそれをみんなで懸命になって探しているわけですから」





「そっか、そうだよねえ・・・」





「あと、その『よほどのこと』がどのタイミングで東城先輩から真中先輩に伝わったかですね。いきなり聞かされてその衝動で動くような人じゃないみたいです。1〜2日は考えてからの行動でしょう。だから失踪する前に誰かにそれらしきニュアンスを匂わせるメッセージを残している可能性も捨てきれないですね」






「えっ?もしそうなら、つかさにも何らかのメッセージがあったってこと?」





「その可能性はあります。西野先輩が気付いていない可能性も高いです。先日の様子じゃ冷静になって振り返る余裕があるかどうか・・・」






「あたし、つかさに聞いてみる!」





遼の推理を受けて、トモコは携帯を取り出した。


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[No.1641] 2012/07/27(Fri) 19:52:06 (102936時間21分前)
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第26話 「優しい嘘」 (No.1639への返信 / 26階層) - スタンリー

第26話 「優しい嘘」


つかさが淳平のマンションの玄関から綾の姿を見て。


西野「東城さん!?」



綾「西野さん!?」

二人が驚く。


淳平(うわぁ、東城が来てたのかぁ。

どうすればいいんだ。

だけどここは、やっぱりさっきの話で通すしかないな。)


淳平「なんだぁ、電話がまちきれなくてこっちに来ちゃった

のか、綾。」



綾(えっ、綾って・・・何か意味がありそうね、じゃぁ私も・・・。)

綾「ごめんなさい、淳平。

お邪魔だったかな?」



つかさ(綾・・・淳平って・・・・やっぱり二人って付き合ってたの?

もう嫌、ここには居たくない。)



淳平「いや、西野は今帰るみたいだから。」



西野「今すぐ帰るから、東城さん、淳平くんとお幸せにね。それじゃぁ。」



綾「えっ、うん・・・さようなら・・・。」



西野が、綾の横を通って、淳平のマンションを出ていく。



怒って出て行った、つかさを見送る淳平の目は、涙があふれている。






つかさが淳平のマンションの近くに止まっていた正太郎の車の横を通る。



正太郎(あれっ、今、出てきたコって、前にどこかで見たことがあるような。

一体誰だったかなぁ?)


正太郎の携帯に綾から着信がある。


正太郎「もしもし、姉ちゃん?」


綾「待っててもらって悪いけど、先に帰ってて。

私は、お友達に車で送ってもらうことになったから。」



正太郎「ああ、分かった。」


二人が電話を切る。

正太郎が車を自宅に向け走らせる。




つかさが家への帰り道の途中で、淳平の所に行こうとしていた

唯に出会う。



唯「西野先輩ですよね。こんばんは、お久しぶりです。」



つかさ「唯ちゃん、こんばんは、久しぶりね。」



唯「大丈夫ですか、先輩。

じゅんぺいと何かあったんですか?」



つかさ「さっき淳平くんのマンションに訪ねたらね

今東城さんと付き合ってるって言われてね。」



唯「じゅんぺい、先輩に正直に話したんですね。

今日、じゅんぺいったらね、東城さんに告白されて・・・

じゃなかった、告白して、それで恋人になったんですよね。」



つかさ「今日?」


唯 「はい、1週間前の祝賀会で4年ぶりくらいに会ったって、

それで今日恋人・・・。

あっ、じゅんぺいって先輩に何て言ってたんですか?」



つかさ「4年前から付き合ってるって言ってたけど・・・

あれは嘘だったの?」



唯「あちゃぁー、私って余計なことを言っちゃったみたい。」



つかさ「唯ちゃん、淳平くんのこと、もっと詳しく話してくれる?」



唯「えーっと、そのぅ・・・言いづらいなぁ。」



つかさ「お願い、絶対、唯ちゃんから、聞いたなんて言わないから。

ねっ、お願い。」


つかさが涙目になって唯に頼む。



唯「分かりました。」



唯が、この4年間淳平がつかさと付き合っていることを理由に

他のコからの告白を断っていたことや、つかさからの返信の手紙を

読んで、淳平が泣いたことをつかさに話す。



つかさ(今、冷静に考えると、淳平くんの言ってた事っておかしいわ。

もし、私と東城さんと二股をかけるんだったら、別に東城さんと付き

合ってることを私に話す必要ってないじゃない。

嘘でも、淳平くんが私のことを好きだって言ってくれてれば二人同時

に付き合うことが出来たわけだし・・・。

私、淳平くんのところに行かないと。そして、淳平くんと・・・。)


つかさが淳平のマンションに戻ろうとする。



唯「西野先輩、今から何処へ行くつもりですか?」



つかさ「淳平くんのところよ。」



唯「今、じゅんぺいには東城さんがいるのを、知ってますよね。」



つかさ「知ってるけど・・・。私、土曜日にまたフランスへ帰る

つもりだから、今戻ってって話さないと当分会えないから・・・

だから行かせて、お願い、唯ちゃん」




唯「先輩は勝手すぎます。

くわしい理由は知らないけど、先輩は2度もフってるんですよ。

知らないかもしれないけど、二人が高校1年の時フられた夜の

自宅への帰り道、じゅんぺいは泣きながら歩いてたんだから。

この前フラれたときだって・・・。

それと、淳平がさっきどんな気持ちで、先輩に嘘をついたのか

考えてあげてください。」



つかさ(そうだ、私って2回も淳平くんのことをフってるんだ

・・・。

じゅんぺいくん・・・私に嫌われようとして、こんな嘘を・・・。)


つかさ「これって、淳平くんのやさしさなの?」



唯「じゅんぺいは、不器用だから、あまりいい方法じゃなかった

かもしれないですけどね。

ただ、それを私が台無しにしちゃったみたいですけど・・・・。」



つかさの目から涙がこぼれる。



つかさ「ううん、唯ちゃんは、悪くない。

私って、さっき淳平くんにフラれたんだね。」



唯「ちがいます。

先輩が、じゅんぺいをフッて、じゅんぺいが東城さんと付き合った

ただそれだけ。

だから、フラれたわけじゃないと思います。」



つかさ(唯ちゃん、優しいんだね。)



つかさ「家に帰るね。」



唯「私一緒に先輩の家まで、行きましょうか?」



つかさ「ううん、一人で大丈夫だから。おやすみなさい、唯ちゃん。」



唯「おやすみなさい、先輩・・・。」




つかさは、一人さびしく家に向かい歩きだした。


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[No.1640] 2012/05/20(Sun) 20:48:06 (104567時間25分前)
i219-164-47-177.s02.a023.ap.plala.or.jp

第25話 「悲しい決断」」 (No.1637への返信 / 25階層) - スタンリー

第25話 「悲しい決断」



綾が正太郎が運転中の車の助手席に座って考えている。



綾(西野さん、真中君のことをフッておいて今更何をしに来たの?

帰国したからお土産を届けに来ただけって・・・・てことじゃないよね。

やっぱり、また恋人同士に戻りたいって言いにきたのかな。

もし、もしもそうだったら、真中君は・・・西野さんと・・・。)


綾が高校三年生のときの文化祭に終った後で部室の扉越しで告白をして

淳平にフられた時の事を思い出しつぶやく。


綾「またフられるのかなぁ。」


正太郎「姉ちゃん、今なんか言った?」


綾「えっ、うぅん、ちょっとした独り言だよ。」



正太郎「あっ、そう。ならいいけどさ。

そろそろ、目的地付近だけどさ、どこで降ろしゃいい?」



綾「じゃぁ、そこの角でいいわ。」





淳平のマンションの前で正太郎が停車して、綾が降車する。



綾「15分位ここで待ってて、それまで待ってて戻らなか

ったらそのまま家に帰っていいいからね。」


正太郎「分かった15分だな。」



綾が淳平のマンションの建物に入っていく。


綾が淳平のマンションのドアの前で、立ち止まる。



綾(勢いでここまで来ちゃったけど、私にこのインターホンを

押す勇気があるの・・・。

もし、真中君と西野さんの関係が元に戻ったら・・・・。

ううん、違う真中君は・・・、真中君は今日私と付き合うって

言ってくれたもん。

私が今の彼女なんだもん。





でも、西野さんは誰もが羨むくらい綺麗で、可愛くて、明るくて

それに性格も良くて・・・・・私なんか・・・・・・・。)


綾がドアの前でインターホンを押すのを躊躇っている時、つかさ

の話を聞きながら淳平はつかさと綾のどちらを選択するのか考え

ていた。


淳平が申し訳なさそうに話しているつかさを見て・・・。


淳平(もし、ここで、西野をフれば、またあの悲しくて寂しそうな顔

を見なきゃならないのか・・・。

今西野のことを抱きしめてスキだって言えたら、この寂しそうな顔を

笑顔に変えることができだろうけど・・・。

西野とよりを戻せば、東城を2度フル事になるし、そうすればまた東城

が涙を・・・。)



淳平の頭に高校時代、文化祭の日の部室の扉ごしにで綾が淳平に告白

したときの事が思い浮かび鬱な気分になる。





淳平(西野はまたすぐフランスに帰っちゃうし、またしばらく帰れそう

にないみたいだけど、でも東城はすぐそばにいる・・・。

遠くにいく人の悲しい顔と近くにいる人の涙か・・・・。)



淳平(高校時代は、西野と付き合うって決めてたから悲しそうな顔を見

るのが嫌で、東城をあきらめたけど・・・。

近くにいる分だけ今は西野の悲しい顔を見ることよりも、東城の悲しい

顔を見るのがつらいし、今日付き合うって言っておいて今更なんて・・。)



淳平(西野が寂しい想いをしている時や悲しい顔をしている時、今の俺

なんかじゃ西野のそばにいてやれない・・・。

それなら、向こうで新しい彼氏を作った方が西野にとって幸せなんじゃ

ないのか。

かと言って西野の悲しそうな顔は見たくない、じゃぁ俺は一体どうすれば

いいんだ・・・。


        ・

        ・

        ・

        ・

        ・


そうだ、俺が西野に嫌われれば、少なくとも西野の悲しそうな顔を見なく

済むんじゃないのか。

そう、俺が悪者に成って嫌われれば・・・。)



つかさ「・・・・それでね、もし淳平くんさえ良かったらね、この前

送ったものを全部返して、それともう一度私・・・」



淳平「西野。」

淳平が突然つかさの話を遮る。



つかさ「どうしたの、突然大きな声を出したりして。」



淳平「俺さぁ、実を言うと今東城と付き合ってるんだ

4年前から。」




つかさ「東城さんと淳平くんが?嘘。

だって、あの手紙には、淳平くんの携帯の番号とか、いつ帰ってくるの

とか、何処で会おうかとか書いてあったじゃない。」




淳平「あん時、二股かけようと思ってたんだよ。

だって二人とも凄く魅力的なんだからさ。」




つかさ「そんな、淳平くんは、そんなこと出来る人じゃないもん。」



淳平「そりゃぁ時が経てば、人は変わるからさ。

俺も西野と一緒でさぁ、独りで寂しかったからな。

それに俺と東城が付き合ってる証拠にほら。」


淳平がつかさに携帯の着信履歴を見せる。



つかさ「・・・。」



淳平「今朝から夕方まで東城の家に行ってたんだぜ。

それについさっき俺の友達が来る前までだって電話で話してたしな。

さっきは電話の途中だったんで俺からかけなおすことになっている

から・・・。

さっきいた友達が帰ったら、また今晩会うつもりだったんだぜ。」


淳平(やぱい、目頭が熱くなってきやがった。

ここで涙を見せたらダメだ。

俺は映画監督になるんだから、この程度の演技が出来なくてどうする。

ここは耐えないと・・・・。)



淳平が、目に涙がにじんでるのを隠す為に、つかさから顔を逸らす。




つかさ「そうなんだ、淳平くん東城さんと付き合ってたんだ・・・。

私は、てっきり淳平くんが私のことをずぅっと好きでいてくれてると

信じてたのに・・・酷い。」





淳平「さっき、時が経てば人は変わるって言ったろう。

それに俺はこんなヤツなんだからさっさと忘れて、フランスで

いい男でも見つけて幸せになれよ。」



つかさ「言われなくても、そうするわ。」



淳平「・・・。」


つかさは怒って、玄関に向かう。



一応、淳平も玄関までついて行く。



つかさが靴をはいて、玄関のドアを開けるとインターホンを

押すのを躊躇している綾が立っていた。


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[No.1639] 2012/05/19(Sat) 23:10:33 (104589時間2分前)
i219-164-47-177.s02.a023.ap.plala.or.jp

10years-03 (No.1632への返信 / 4階層) - takaci

「えっと、確かこっち」





美鈴の道案内で、東城綾の自宅を目指す3人。





その道中、





「あれ、この道って・・・」





遼には見覚えのある道だった。





「なあ外村、東城先輩の家ってこの先にあるかなりデカい家か?」





「あたしは行ったことないから分からない。でもなんでそんなこと聞くの?」





「いや、東城って名前の男にちょっと心当たりがあってな。でもまさかそんな偶然は・・・」





遼は自らの予想を否定した。










だが美鈴の案内で着いた先は、





「やっぱりここか・・・」





遼には見覚えのある大邸宅だった。





そして玄関先には泉坂の制服姿の人影が数人。





美鈴がそこに駆け寄る。





「兄貴、どうだった?」





「やっぱりダメだ。東城の部屋はおろか、家に入ること自体ダメだってよ」





前髪が長く目つきがよく見えない男がそう答えた。





(あれが外村の兄貴か。なんか胡散臭そうだな)





遼の第一印象。





「絶対に東城さんが黒幕に決まってる!真中を騙して連れて行くなんて・・・卑怯過ぎるよ」





涙ながらにそう呟くポニーテールの美女。





(あれが北大路先輩だな。確かに美人だ。けど・・・)





女子の泣き顔を見るのは辛かった。





「でもあの大人しくて消極的な綾ちゃんがそんな大胆な行動をとるとは思えないんだけど・・・」





「確かにな。綾さんはそんな人じゃない。真中も怪しいに違いない」





別の男たちが綾を擁護する発言をする。





「ところで美鈴、そのふたりは?」





外村兄が遼と佳奈に気付いた。





「同じクラスの友達で中上と佳奈ちゃん。今回の件でちょっと協力してもらってる」





遼と佳奈は映研メンバーに挨拶した。





「俺は美鈴の兄だ。このデカい男が小宮山で、ポニーの女子が北大路。ここまでが映研メンバーだ。で、このイケメンが天地。映研じゃないけど東城に惚れてる男で一緒に着いてきた」






外村兄が他の面子を紹介した。





その直後、





「ところで君かわいいね。一枚どうかな?」





佳奈に向かってカメラを取り出した。





そして、





「このバカ兄貴!こんな時に何やってんだよ!」





美鈴に頭を殴られた。





「うるせえ!どんな時でも俺は美女を求めてんだよ!」





「佳奈ちゃんは中上ともう付き合ってるの!横槍入れるな!」





「なんだあ彼氏付きかあ」





そう聞いて一気に引いた。





(なんか表裏が激しい兄貴だな)





そう感じずにはいられない遼だった。










「ところで、なんで中に入れないんです?実の娘が失踪しててその手がかりを探すために来てるんですよ?」





佳奈が映研メンバーに尋ねた。





「これは東城家の問題だから家族で解決するから心配するなの一点張り」





外村兄が呆れながらに説明した。





「東城家の問題って・・・じゃあ真中先輩はどうなるんですか?ほぼ間違いなく一緒に失踪してるんですよ?」





「それもウチで解決するから心配するなって・・・そんな言葉で納得できるわけないじゃん!絶対怪しいに決まってる!!」





佳奈の問いかけを受け、さつきの不満が爆発した。





「でもここで騒いでても何も解決しません。一旦引きませんか?」





遼が皆にそう提案した。





「そんなの出来ない!東城さんは家族ぐるみで何かを隠してるに違いない!今ある手がかりが消されちゃうかもしれないんだよ!」





反抗するさつき。





「北大路先輩落ち着いてください。家族だって娘が失踪したなら心配に決まっています。絶対に捜索はします。逆にこちらの立場を利用して学校側を徹底的に調べるんです。そこで得た情報を家族側が欲しがるタイミングが来ます。そこで交換条件を出すんです」






「なるほどな。中上くんだっけ、お前頭いいな」





感心する外村兄。





「確かにその通りだな。学校側は僕たちが調べるしかない。どの程度の情報が得られるかは分からないが、無駄ではないはずだ」





天地も同意した。





「みんながそう言うなら・・・」





さつきも渋々同意した。





「じゃあ一旦部室に戻ろう。そこで作戦を練るぞ」





外村兄が音頭を取り、皆を促す。





「ねえ遼、ホントに帰っちゃっていいの?」





佳奈が心配そうに小声で尋ねてきた。





「大丈夫、この家の事なら調べられる。逆に今は悪い印象を与えないほうがいい」





遼の言葉は自信が満ちていた。










そこに、





「あれ、つかさちゃん?」





外村兄が声をあげた。





ブレザー姿の女子がふたり現れた。





ひとりはショートカットの美女で、かなり怒っているのがわかる。





もうひとりは長い黒髪の美女で、こちらは戸惑い顔。





そして、





「あれ、トモコお姉ちゃん?」





佳奈が黒髪の美女に反応した。





「あっ、佳奈ちゃんに遼じゃない。なんでここに居るの?」





トモコはふたりを見て驚いていた。





「それはこっちの台詞ですよ。なんで桜学のトモコ姉さんがここに?」





「あたしはつかさの付き添い。この子がちょっと取り乱してて・・・」





「つかさって、西野つかさ先輩ですか?今年の映画のヒロインの?」





「そう、あたしの親友」





トモコは心配そうな顔でつかさに視線を送る。





(そうか、あの人が西野つかさ先輩か。確かに美人だな。それに真中先輩の元カノ)





つかさは映研メンバーと少しやり取りを交わすと、玄関の扉を叩いて喚き始めた。





「ちょっ・・・何させてんですか!?」





遼は慌ててつかさの腕を掴んだ。





「放してよ!邪魔しないで!」





怒るつかさ。





「今ここで騒いでも何の意味もないですよ!落ち着いてください!!」





「落ち着いてなんてられない!東城さんが淳平くんを連れてっちゃったんだよ!!そんなの許せない!!」





涙声で喚くつかさ。





簡単には止まりそうにない。










(ええいこうなったら・・・)










遼は、











パァン!!











つかさの頬を平手で叩いた。










「あんたがここで騒いで真中先輩が見つかるのか!?とにかく落ち着け!!」





年上に対して本気で怒る。





「ちょっと遼、殴るのは・・・」





「トモコ姉さんもしっかりしてください。こんなヒス女は殴りつけてでも止めるべきでしょう。これは本来姉さんの役目ですよ!」





抗議を出そうとしたトモコに対しても遼は怒った。





つかさは殴られた頬を押さえ、凄い形相で遼を睨み付ける。





「怒りました?そりゃ当然ですよね。別に殴り返しても構わないですよ。とにかくここで騒ぎを起こさなければね」





そんなつかさの視線を受けても、遼は冷静に対応した。











ここで玄関の扉が開いた。





背の高い学生風の男が顔を出す。





「申し訳ないけど帰ってもらえないかな?悪いけどウチには入れられないから。あと騒がれるのも迷惑なんだけど」





つかさとさつきが何か訴えようとしたが、遼がそれを制した。





そして、





「あれ、中上?」





「よう正太郎、久しぶりだな」





「なんでお前がここに?」





「俺も今回の失踪事件にちょっと関わってな。とりあえず今日のところは一旦引くよ。また後日連絡する」





「連絡っても、俺は・・・」





「お前も姉の動向は心配だろ?こっちで調べれる限りの事は調べる。正太郎もいろいろ調べてくれないか?」





「分かった。お前がそう言うなら・・・」





「じゃあ今日は一旦帰る。騒がせて済まなかったな」





「ああ、じゃあな」





正太郎は静かに扉を閉めた。










ここで美鈴が、





「ちょっと中上、この家の人と知り合いなの?」





思わぬ展開に驚いていた。





「あいつは東城正太郎。中学の同級生で結構仲が良かったんです。あと完全にシスコン野郎です。本人目の前で言うと怒りますけどね」






「それでこの家のことを知ってたんだね。じゃあ東城先輩と会ったことは?」





「ちらっと挨拶程度したくらいですね。なんか地味な姉ってイメージでしたけど。いつも三つ編みに眼鏡掛けてて。そこまで美人でしたっけ?」






「東城さんは変身するの。三つ編み眼鏡だと地味な女子だけど、コンタクトにして髪を解いたら凄い美人になる」





さつきがそう説明した。





「とにかく正太郎もこの家の両親とも俺は面識があります。タイミングを見計らって聞き出せなくもないはずです。だから戻りましょう」






「そうだね。中上が東城先輩の弟と仲がいいならチャンスはあるよね」





美鈴も同意した。





そして全員が撤収することになった。





その際に遼は、





「トモコ姉さん、西野先輩の動向に注意してください。さっきみたいに勝手に単独行動されるとまずいですから」





トモコにつかさへの注意を促した。





「うん、気をつける。遼も佳奈ちゃんも調査お願いね。つかさ本気で心配してるから」





「わかりました」





つかさは肩を落としながら、トモコに付き添われてトボトボと帰っていった。





「ねえ遼、いろいろ大変なことになったね」





「ああ、俺たちは完全部外者だと思ってたけど、正太郎にトモコ姉さんまで絡んでるとなるとそうは言ってられない。真面目に調べないとな」






遼の顔が引き締まった。


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[No.1638] 2012/05/12(Sat) 22:15:27 (104757時間57分前)
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第24話 「愛しき人」 (No.1636への返信 / 24階層) - スタンリー

第24話 「愛しき人」


本内が帰らせた後、淳平とつかさは、重苦しい雰囲気の中、淳平の

部屋にいる。


淳平がつかさに話しかける。

淳平「いつ、日本に帰ってきてたんだ?」



つかさ「昨日なの。そして今日、高校時代のお友達の結婚式に行ってたの。

でも、今週の土曜日にまたすぐにフランスへ帰るんだけどね。」



淳平「そうか、短期滞在なんだな・・・・。」



つかさ「そう・・・。」













少しの間会話が途切れた後、つかさが話しかける。






つかさ「淳平君、しばらく見ないうちにたくましくなったね。」




淳平「ああ、この前、高校時代の映研部の仲間達と東城の祝賀

会で久しぶりにみんなに会ったら同じようなこと言われたな。

日雇いのバイトで稼いでたから。

そういう、西野だって高校の時より、すごく綺麗になってる。」



つかさ(淳平君、もう私のことつかさって呼んでくれないんだね。

いけない、気持ちが表情に出ちゃいそう・・・。

笑わないと・・・。)


つかさが笑顔で・・・。


つかさ「そう、お世辞でもうれしいよ。」



淳平「お世辞なんかじゃなくって、マジだって。」

淳平(マジで西野の顔で見た男はみんな、恋に落ちるくらい美人じゃん。

でも・・・西野の笑顔って、なんか無理して作ってるみたいな・・・。)




つかさ「じゃぁ、そういうことにしとくね。アハハ・・・・・。」

つかさが力なく笑う。












淳平「・・・・」











つかさ「・・・」












再度、二人の会話が途切れる。











つかさが思い立ったように話しかける。





つかさ「私、淳平君に謝らないといけないことがあるの。」




淳平「俺に、謝らないといけないこと?」



つかさ「数ヶ月前に送った返信の手紙のことだけど・・・。」



淳平「手紙?あぁ、あの手紙ね。もう、いいよ。俺、西野の

気持ちが分かったから・・・。

4年以上も一通のメールも出さずに放っておいた俺が悪いん

だしな。」



つかさ「違うの、あの手紙を書いてた時は、なんていったら

いいのかなぁ。

精神的に疲れててね。うーん、どういえば良いんだろう・・・。」



淳平「だから、もういいって。俺はあの時西野にフラれたんだし

それに・・・それはもう終わった話なんだから。」



つかさ「淳平くんにとっては、もう終わった話なんだね・・・。」



淳平「ああ、でも、本当に悪いのは俺の方なんだし、それに

もう立ち直ってるんだからさ。

そんなに心配するなって。」



つかさ「ううん、淳平君は全然悪くないよ。

あの時私たちの関係は白紙に戻してたんだし・・・・。

手紙には分かれようって書いたけど、私たちって付き合ってる

ことになっていなかったはずだから・・・。

それに空港で分かれた日に手紙も連絡もしないとか、淳平くんの

ことも忘れるようにするって言ったのは私の方からだし。

淳平君はそれを守っただけなんだから。」



淳平「・・・・。」




つかさ「手紙がきた時は、たまたま、お友達の家に行った帰りでね

仲良くしていてるのを見てたらね、どうして私は今一人ぼっちなのかな

ってとても寂しくなっちゃってね。」



淳平「誰だって、寂しくなるときくらいはあるさ。

俺が西野に手紙を、送ったのだって寂しさからだったからさ。」



つかさ「ううん、寂しさからだけじゃないの、淳平君の送ってくれた

DVDとか手紙とかノートを見てたらね、とても羨ましかったの。

予定では4年で留学は終わるはずだったんだけどね。

思いどおりにいかなくて、立派なパティシエになるにはまだ時間が

かかりそうな自分と映画のコンクールで賞を取って順風満帆な淳平君と

を比べて、私ってこの4年間何をやってきたんだろうって思っちゃって

それでね。」





淳平「時には思い通りに行かないこともあるだろう、それが人生って

いうもんだろうからさ。

そもそも映画と洋菓子作りを比べるのに無理があるんじゃないのか。」





つかさ「冷静に考えると、そうね。でもあの時は、洋菓子作りにも精

神的に余裕がなくて、それで賞をとって幸せそうな淳平君に、ついあ

んな行動をとってちゃったの・・・。」


淳平「賞って言ったって、そんな有名な賞じゃないんだぜ。」


つかさ「私に謙遜なんかしないでいいよ。

手紙を貰った時ネットで調べて応募総数のことを知ってるんだから。

あんな多くの人が出品して、そのトップを取ったの凄いことよ。」



淳平「賞のことなんかでどうでもいいんだ。

あの時中学の制服の第2ボタンまで送り返すのは、ひどくないか?」



つかさ「あれは、たまたま淳平くんから貰ったプレゼント全部を、私に

とっての宝箱みたいなものにしまってあったの。

あの時感情的になってその箱ごと送っちゃっただけなの・・・。

それに、淳平くんから、私を引き止める手紙がくるのかも、ううん

もしかしたらフランスに会いに来てくれるかも知れないって期待してた

んだけどね。」



淳平「そんな、・・・勝手過ぎるよ。」



つかさ「そう、私の勝手な希望だったんだね。それでね、淳平くんから

何も返事がこなくて・・・。

この数ヶ月間、凄く後悔したの。」


淳平(西野の話の内容から、どうも俺とよりを戻したいみたってことかな。)


つかさの話しているのを聞きながら淳平は綾とつかさのことを黙って考

えている。


淳平(俺には今東城がいる。

でも、さっき、東城に告られて受け入れた時は、西野がここにいない

ことが前提だったよな。

でも、今、西野はここにいる。

かといって、今日恋人になったばかりなのに今更、東城に分かれてくれ

なんていえる訳ないし。

だいたい、東城は何も悪い事をした訳でもないし・・・・・。





でも、俺はまだ西野のことが・・・・。)



淳平の頭に、高校時代に時折見せたつかさの悲しそうな顔が浮かんでは

消えていた。


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[No.1637] 2012/04/14(Sat) 20:33:04 (105431時間40分前)
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第23話 「西高東低?」 (No.1635への返信 / 23階層) - スタンリー

第23話 「西高東低?」



綾は、玄関で、さつきが淳平に会わなかったことを知り

ほっとしている。



綾(いけない、正太郎が駐車場で待ってるわ。もう用がすんだ

から、送ってもらわなくてもいいって言わないと。)


突然、綾の携帯に唯から着信がある。

綾(あれ、唯ちゃんからだ。)


綾「もしもし、唯ちゃん。」


唯「東城さん、今、淳平に大変なことがあったみたいなん

ですけど知っています?」


綾「大変って、真中くん、事故でもしたの?」


唯「ううん、そっちの大変じゃなくて、違うほうのなんで

すけど。」



綾「そう、じゃあ、安心したわ。」



唯「それが、今から言うことを聞いたら安心なんかできない

じゃないかなと思うんですけど・・・。

あっ、これって話さないほうがいいのかな。」



綾「そこまで、言うんだったら教えてもらった方が良さ

そうね。」


唯「じゃぁ、順番に話すね。」



唯「今日、私の彼氏がね、私からじゅんぺいが東城さん

と恋人同士になったのを聞いて、じゅんぺいの家に話し

を聞きに行ったの。」


綾「その時、真中くんと電話で話してたら、真中くんが

誰かが来って言ってたけど、本内さんだったんだね。」


唯「そう、私もその時見てたテレビドラマの番組が終わったら

行くつもりだったけど、ついさっき彼が、じゅんぺいの家から

私のアパートに戻って来たのよ。」


綾「何かあったの。」


唯「それがね、彼に戻ってきた理由を聞いてビックリしたんだ

けどね。

西野先輩がさっきじゅんぺいのマンションに来て・・・・。」


綾「!!!」


唯「それで、じゅんぺいが私の彼に、西野先輩と話しがある

からって、マンションから帰されて・・・。」



綾「・・・・・・。」


唯「ちょっと、東城さん、私の話って聞いてますか?」


綾「う、うん、聞いてるよ。それで、今二人はどこにいるの?」


唯「じゅんぺいのマンションらしいけど・・・、ひょっとしたら

二人で外出してるかも。」



綾「それで、二人は・・・その・・どんな話をしてたって?」



唯「それが、彼氏帰るとき、玄関で西野先輩とすれ違っただ

けだから、二人の会話までは、分からないの。」



綾「そうなの。」



唯「もし気になるんだったら、私が今からじゅんぺいの所に

行って聞いて来ましょうか?」



綾「えっ、ううん、それはやめた方がいいんじゃない。

ほら、受験の日みたいに感情的になって真中くんに変な事を

言うちゃうかもしれないからね。」



唯「そうですね。あの後じゅんぺいとは気まずかったです

からね。」


綾「それに、これは真中くんと私の問題だから、私がどうする

か考えないとね。」



唯「分かりました。でも何かあったら、連絡くださいね。

私も、じゅんぺいに何かあったら連絡しますから。」



綾「うん、ありがとう。」



唯「それじゃぁ、失礼します。」



二人が電話を切る・・・と同時に綾にさつきが淳平の所に行った

と思った時とは比べられない不安感に襲われる。


綾(北大路さんの次は、西野さんだなんて・・・・。)


綾の脳裏に、高校卒業後味わった西野に対する劣等感が蘇ってくる。


綾(『どうして私じゃダメなの?どうして西野さんなの?・・・

西野さんは陽気な性格だし、男子からも人気があるし恋愛にも積極的

だし、容姿もそこらのアイドルよりも綺麗だし、私が彼女に勝る点

といえば、小説を書く事くらいしかないじゃない。』)



綾(真中くんの前ではいつも綺麗でいたいから、お化粧をまめにして

たけど、きっと西野さんに比べたらまだ私なんて・・・。

今日は、早く告白しなきゃと思って積極的になれたけど、私の性格は

どちらかと言うとあの時のままだし・・・。

やっぱり私が西野さんに勝てることといったら、小説しかない・・・。)


綾(それにさっき北大路さんが言ってたけど、恋愛って必ずしも早い者

勝ちじゃないと思うから、今は私が、恋人でもすぐに真中くんの気持ち

が西野さんに行っちゃうかも知れないから・・・。

私ってまた、フラれるのかな。さっきは真中くんからの電話が待ち遠し

かったけど、今はその電話が来るのが怖い・・・。)


綾の目に涙がにじむ。


玄関のドアが突然開く。


正太郎「姉ちゃん、おっせぇよ。ずぅっと待ってるのに・・・って

姉ちゃん泣いてるのか?」


綾「ううん、泣いてなんかないよ。」


正太郎「さっき、どっかの女が訪ねてたみたいだけど、ひょっと

して何か言われたのか?」



綾「あの女の人は、関係ないの。」


正太郎「もしかして、高校時代みたいに、彼氏がいる男の事が好き

になって、それで、その彼女が乗り込んできたんじゃないだろうな。」



綾「そんな訳ないじゃない。彼、別かれたって言ってたし・・・。」

綾(いけない、私ったら、弟に今付き合っている人がいることをしゃ

べっちゃった。それに含みを持たせた言い方で・・・。)


正太郎「姉ちゃんはウブだから、そいつに騙されてるんだって。

誰だよ、その男は、おれが今からそいつの家に行ってぶん殴っ

てやるから。」



綾「ちょっと説明が悪かったせいもあるけど、彼はそんな

ことが出来る人じゃないから。

それにもう一回言うけどさっき訪ねてきた彼女は私の高校時代の

映研部のお友達だから、本当に関係ないの。」



正太郎「そうか、そういえば昔見たことあるな・・・。

俺もちょっと熱くなっちゃったから・・・。

で、今から、どうするんだ?」


綾(逃げてちゃダメよね。もしフられるんだったら

電話じゃなくて、直接本人に聞きたいから・・・って

私って振られることを前提にしてるし・・・。

ダメ、例え西野さんに勝る点が小説しかなくても、私は

真中くんを信じる。もう、これしかない。)



綾が淳平のマンションに行く決心をする。



綾「うん、待たせて悪かったわね。」




二人が玄関を出て、駐車場に停めてある正太郎の車に乗る。



綾(私、真中くんのことを信じてるから・・・・。


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[No.1636] 2012/03/21(Wed) 21:12:24 (106007時間1分前)
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