布川事件と甲山事件
5月25日の読売新聞は、「無罪『体が軽く』…布川事件の再審判決」という見出しで、次のように報じていました。 ---------------------------------------------------------------------- 「判決を聞いているうちに体が軽くなってきた」「皆さんのおかげで勝てた」。水戸地裁土浦支部で24日言い渡された布川事件の再審判決。
強盗殺人容疑での逮捕から43年でようやく無罪をつかみ取った桜井昌司さん(64)と杉山卓男さん(64)は喜びを言葉に込め、2人の家族や支援者も感涙をあふれさせた。・・・ ----------------------------------------------------------------------- この記事には、喜びを顔いっぱいに表した写真(下記)も添えられています。長年の苦労の末に無罪を勝ち取った喜びが伝わってきます。当然の姿だと思います。
私はこのようなえん罪事件の記事を見るたびに、かつての甲山事件の被告人、山田悦子さんのことを思い出します。 彼女は有罪が確定することは無かったため、服役することはありませんでしたが、25年間被告人として裁判に明け暮れる生活を強いられました。 その彼女が、最終的に無罪が確定したときの喜びはひとしおだったはずですが、その時もその後も、彼女は一切喜びの姿を公の席で見せることがありませんでした。記者会見もインタビューも一切断って社会から消えてしまいました。
今回のことで、私は改めてウィキペディアで甲山事件を調べたら、こんな事が書いてありました。 ---------------------------------------------------------------------- 被害者女児と被害者男児の両親は、「管理責任が欠けていたために子供を死亡させた」として社会福祉法人甲山福祉センターを相手取り、精神的苦痛を理由に合計3367万円の損害賠償を請求した。この裁判では原告が勝訴し、社会法人福祉センターは被害者両親に合計1133万円を支払うことになった。裁判中に甲山福祉センター側が「知的障害者死亡によって、両親は苦労を免れたため、精神的苦痛を理由とする損害賠償は筋違い」と主張したため、知的障害者を育成する立場にある者が知的障害者の生存を軽視した差別発言として人権派の間で問題視された。 --------------------------------------------------------------------- 「障害児が死亡したことにより、両親は苦痛を免れた」、つまり死んで良かったと言っているのです。ずいぶんひどい福祉施設があったものだと驚きました。
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No.9 - 2011/05/25(Wed) 22:04:51 [pon218-252.kcn.ne.jp]
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