| 新型コロナウィルス感染の検査問題、「医師会」はなぜ沈黙しているのか −医師会偏重(従属)の医療行政から脱却すべき−
2月27日のNHKは、「感染拡大防止へ 専門家らが対策を提言 消毒徹底・検査態勢強化」と言うタイトルと、「新型ウイルスの検査費用 来週中にも公的保険適用対象へ調整」と言うタイトルの、二つのテレビ・ニュースを次のように報じていました。 ----------------------------------------------------------------------------------- 感染拡大防止へ 専門家らが対策を提言 消毒徹底・検査態勢強化 2020年2月27日 13時17分新型コロナウイルス NHK
新型コロナウイルスの感染がさらに拡大するおそれがあるとして、感染症の専門家のグループが、人が集まる場所での消毒の徹底や、医師が診て感染の疑いがある場合に検査できる体制の強化など、社会を挙げて取るべき対策の提言をまとめました。
国内の感染症の専門家で作るグループは、27日、東京都内で開いた感染症対策の会合の中で、新型コロナウイルス対策の提言を発表しました。
この中では、当面の対策として、人が多く集まる場所での消毒の徹底や、医師が診て感染の疑いがある場合に検査できる体制の強化を求めています。
このほか、コンテナの中に、必要な機器を備えた「医療コンテナ」を導入し、医療施設にウイルスを持ち込ませず、感染した患者を隔離して診療できるようにすべきだとしています。
さらに提言では、新型コロナウイルスだけでなく、あらゆる感染症に対応できるようにすることが重要だとして、テレワークの推進や、感染症の流行時にも事業が継続できるようにする計画を作ること、それにアメリカのCDC=疾病対策センターのように対策の司令塔となる専門の組織を作ることなども挙げています。
グループの座長を務める東北医科薬科大学の賀来満夫特任教授は、「提言は、国内で流行させないために今すべき対策を中心にまとめた。関係者は提言を参考に対策を進めてほしい」と話しています。 -------------------------------------------------------------------------------- 新型ウイルスの検査費用 来週中にも公的保険適用対象へ調整 2020年2月27日 13時26分新型コロナウイルス NHK
新型コロナウイルスをめぐって、加藤厚生労働大臣は、衆議院予算委員会で、ウイルス検査を実施する体制の拡充を図る考えを改めて示したうえで、来週中にも、検査の費用を公的保険の適用対象とする方向で調整を進める考えを明らかにしました。
この中で立憲民主党の川内博史氏はウイルス検査について「感染者数を抑えるために検査をしないのではないかという疑心暗鬼が広がっている。検査を拡大し、早期に感染を発見し、クラスターを押さえていくという方針であるべきだ」と指摘しました。
これに対し加藤厚生労働大臣は「今は、PCR検査の能力を上げながら必要な検査はどんどん行うことが大事な時期だ。国が検査を抑制している、感染数を少なくしようとしているという気持ちは全くない。それぞれに対し、もう一段、積極的に対応するよう申し上げようと思っている」と述べました。
また加藤大臣は検査費用の保険適用について「あす、PCR検査の試薬を送った方々から、進捗状況を聞くとともに、私どもの診療点数の考え方を明示する。それぞれ皆さん方が、対応できる段階で踏み込みたい。できれば来週のどこかで考えていきたい」と述べ、来週中にも、公的保険の適用対象とする方向で調整を進める考えを明らかにしました。
また加藤大臣は新型コロナウイルスに感染し、症状が回復して陰性になった大阪市の女性が再び症状が出て陽性になったことに関連して「世界でどのような知見や事象があるのか早急に集め、確認する作業をやっている。すでに退院されてる方々の体調も聞き、こういう可能性もあることを念頭に置きながら、体制を組み、必要な情報を発信していきたい」と述べました。
さらに加藤大臣は新型インフルエンザが発生した場合の対応を定めた特別措置法の適用について「新型コロナウイルスは、インフルエンザとは形態が違い、新感染症にも当たらないため適用は難しい。ただ、どういう場合に適用できるかは、私権制限とも絡むので、平時においてもしっかりと議論していく必要はある」と述べました。 -------------------------------------------------------------------------- 伝染病の大流行の恐れが迫っている時に、必要な「検査」が十分受けられない現実があるとは、大変驚くべき事態です。患者(医師)からの依頼が多くて、検査機関(民間検査事業所)が処理できなくて断っているのではなく、その前になぜか保健所が医師の依頼を審査し、却下しているとの事です。現在は保険適用が無いとのことなので、費用負担の問題があるのかも知れません。
しかし、ここで注目すべきはこの点について医師会の動きが何もないことです。普段であれば、このような問題が起これば(起こる前から)強力に保険適用を主張するはずです。
これはおそらく医師会(開業医)は、利益にならず・リスクが大きい伝染病には関心が無く,現実に関わりを持っていない現状があるのではないかと思います。
次の問題は、行政はなぜこの検査の問題に無知・無関心であったかと言うことです。 それは、日本の医療関係の行政は「医師会ファースト」、「医師会オール」で、すべてが「開業医(彼らが言う“かかりつけ医”)」の利益を第一にして進められていて、医師会(開業医)の利益になら無いことは捨て置かれているのだと思います。
この問題は「検査」に限った問題ではないと思います。「感染症の専門家のグループ」の座長を務める東北医科薬科大学の賀来満夫特任教授が提言するように、「新型コロナウイルスだけでなく、あらゆる感染症に対応できるようにするためのテレワークの推進や、感染症の流行時にも事業が継続できるようにする計画を作ること、それにアメリカのCDC=疾病対策センターのように対策の司令塔となる専門の組織を作ること」なども、急ぎ検討し実現を図るべきです。
医療行政は「医師会の範囲」で政策を実行していれば良いと言う事ではありません。今後は各種の審議会などの委員選任に於いて、医師会関係者の委員を適性数に絞り込み、医療費の値上げと“かかりつけ医”への受診推進ばかり審議している、医師会偏重(従属)行政から脱却することが必要だと思います。
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No.903 - 2020/02/27(Thu) 15:50:00 [pknn018-223.kcn.ne.jp]
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