| 日銀総裁として8年間、物価上昇2%を唱え続けて、未達に終わる黒田氏の責任
4月27日のNHKテレビニュースは、「日銀 黒田総裁 今の任期中に2%の物価目標 達成困難に」というタイトルで、次の様に報じていました。 ------------------------------------------------- 日銀 黒田総裁 今の任期中に2%の物価目標 達成困難に 2021年4月27日 12時24分 NHK
日銀は27日までの金融政策決定会合で、経済と物価の最新の見通しをまとめた「展望レポート」を公表しました。 それによりますと、物価の見通しは、今年度の生鮮食品を除いた消費者物価指数が政策委員の見通しの中央値でプラス0.1%とし、前回・1月時点の見通しのプラス0.5%から引き下げました。
新型コロナウイルスの影響で経済活動が停滞し、物価が下押しされることに加え、携帯電話料金の値下げが要因だとしています。
そして、再来年度=2023年度の物価見通しを初めて示し、政策委員の見通しの中央値でプラス1.0%としました。
黒田総裁のいまの任期は2023年4月8日までで、現状ではこの任期中に2%の物価目標の達成が困難であることを日銀みずから示す形となりました。
一方、景気の現状については「新型コロナウイルスの影響から引き続き厳しい状態にあるが、基調としては持ち直している」という判断を据え置きました。
先行きについては当面の経済活動は「対面型サービス部門を中心に感染拡大前に比べて低めで推移するものの、回復していくとみられる」と分析しています。
こうしたことから今年度の実質のGDP=国内総生産の伸び率は政策委員の見通しの中央値でプラス4.0%とし、前回の見通しのプラス3.9%から引き上げました。
また、▽来年度はプラス2.4%と、前回の見通しのプラス1.8%から引き上げたほか、▽再来年度はプラス1.3%としました。 物価上昇率の推移は
(中略)
黒田総裁「時間がかかっており残念だ」 黒田総裁は3回目の緊急事態宣言など新型コロナウイルスの感染拡大が物価や経済に与える影響について「当面は、変異株を含めた感染症の動向や経済活動への影響について注意が必要であり、下振れリスクが大きいと見ている」と述べました。
また、アメリカと中国の対立が世界経済に与える影響について「大きなマイナスになるような事態が発生するとは見ていない」としました。
日銀は27日までの会合で、再来年度・2023年度の物価見通しをプラス1.0%とし現状では黒田総裁のいまの任期中に2%の物価目標の達成が困難であることを日銀みずから示す形となりました。
これに関して黒田総裁は、「物価目標の実現に時間がかかっており残念なことだ」と述べました。
その一方で、2%の物価目標は達成できるとした上で、「私の任期の中でどうこうということは必要ない。目標の達成が2024年度以降になったとしても致し方ないと思っている」と述べ、いまの金融緩和策を粘り強く続ける考えを強調しました。
また、いまの大規模な金融緩和を縮小するいわゆる「出口政策」に関して黒田総裁は、「現時点で議論することは時期尚早だ。あくまでも2%の物価安定の目標が目に見えてくる段階で戦略の議論をする」と述べました。
黒田総裁の金融政策とは 2013年3月に就任した日銀の黒田総裁。
デフレからの脱却を目指すため2%の物価上昇率の目標を2年程度で実現すると宣言し、就任直後の(4月)金融政策決定会合で、大規模な金融緩和策を打ち出しました。
国債の買い入れを大幅に増やし、市場に大量の資金を供給するのが柱で、「黒田バズーカ」とも呼ばれました。
金融市場では、円安・株高が一気に進みましたが、翌年(2014)、消費税率の引き上げと原油価格の急落が日本経済に影響を与えます。
物価上昇率が鈍ったことから、日銀は2014年10月、市場の意表を突く形で追加緩和を決定。
世の中に出回るお金の量をさらに増やし、ETFについても買い入れのペースを加速させました。
しかし、その後も物価目標は達成できず、2016年1月、日銀は「マイナス金利政策」の導入に踏み切ることを決めます。
金融機関が日銀に預けている「当座預金」の一部にマイナスの金利を適用する日銀史上初めての政策でしたが、次第に資産運用や金融機関の収益などに悪い影響が出るといった声が強まっていきました。
こうした「副作用」に配慮しつつ、物価目標をできるだけ早期に達成するため、日銀は2016年9月、金融緩和の「総括的な検証」を実施。
▽短期金利はマイナスにし、▽長期金利をゼロ%程度に抑える金融緩和策の導入を決め、金融政策の主軸は「量」から再び「金利」へと移りました。
去年以降は、新型コロナウイルスの影響を受ける経済を下支えするために、金融緩和を一段と強化しています。
こうした大規模緩和によって、日銀が保有する国債の残高は、去年12月末時点で(まつ)545兆円と、全体の44%を占めるまでになりました。
また、日銀が保有するETFの時価総額も、東京証券取引所1部に(じょ)上場する企業の株式全体のおよそ7%に上っています。
それでも日銀が新たに公表した経済と物価の最新の見通しでは2023年度も物価上昇率はプラス1.0%にとどまるとしました。
黒田総裁が就任当初、2年程度で実現するとしていた2%の物価目標。
現時点では就任から10年を経ても達成が困難であることを日銀みずから示した形です。
新型コロナウイルスの感染拡大によって、経済と物価への下押し圧力は今後もかかり続けるとみられ、日銀の金融政策の運営は一段と厳しさを増しています。 ------------------------------------------------------ 当初2年で消費者物価2%上昇を達成するとしていた政策目標が、8年経っても未達であるのであれば、それは失敗として責任を追及されるべきです。 彼は就任以来8年間、寝ても覚めても物価上昇目標2%を唱え続けた人で、他に目標は無かったに等しいと思いますので、成績評価をすれば零点と言われてもやむを得ないと思います。 もし、“失敗”ではないと言うなら、それは“目標設定が適切で無かった”ことになり、意味の無い目標で、8年間日銀を導いてきたのなら、その責任も軽くありません。
「私の任期の中でどうこうということは必要ない。目標の達成が2024年度以降になったとしても致し方ないと思っている」と言っていますが、後任者が2%の目標をどう評価するか、引き続き目標として掲げるかすら未定・不明の中で、「任期中にこだわらない、達成が2024年以降でもやむを得ない」と言う言い方は僭越であり、“軽はずみ”の誹りを免れないと思います。
こういう言い方は、失敗であるにも拘わらず、失敗と認めたくない事から出た“強弁”に過ぎず、謙虚さに欠けトップにふさわしくないと思います。
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No.995 - 2021/04/29(Thu) 01:18:12 [pknn018-223.kcn.ne.jp]
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