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記事No.187に関するスレッドです

無財の七施 / インファント
昨日、定期診断でいつもの医院に行ったのだが、先生との雑談で、今週初めから
インフルエンザの患者さんが、たくさん来るようになったらしい。
殆どが新型の方らしく、夜のニュースでも9割ほどがそうであるらしい。
ここは小児科が専門なので赤ちゃんから子供が多いのだけど、待合室で2歳くらいの子が
何故だか私の顔を見てはニコッと微笑んでいる。なんて可愛い子なんだろう。

混んでいたので子供の遊び場コーナーの側しかソファーが空いていないので、そこに
座っていたせいもあって、しきりに私になにか語りかけてくる。
プラスチックの組み立て玩具でなにかをこしらえては私に示すのだが、次第になにを
作ってるのか判ってくるし、それは窓かなと言うと、まど、まど、と繰り返す。
背の高い家みたいな車を作ると、ずいぶん高い車だなあ、と言ってあげたら、頷いて、
いかにも、我が意を得たり、とばかり、嬉しそう。

転びそうになったので、おっとっとっと、と私が言ったら、それを真似して、わざと
よろけて見せて、おっとっとっと、を繰り返している。素晴らしいフィーリングだ。
それを見て、お母さんも笑っている。この子は素晴らしいカンを持ってるなあと感じた。
こういう仕草を見ていたら、30分くらいが、あっと言う間に過ぎる。
順番が来て、お母さんが、連れて行こうとすると、なにか訴えるように私の顔を見る。
大丈夫だよ、怖くないよ。痛くないよ、と思わず私も言ってあげてしまった。

どうも、遅いインフルエンザ予防のワクチン注射に来たらしく、お母さんにしきりに
ここに射たれたとベソをかきながら訴えていた。痛かったのか。ウソついてごめんね。
とにかく、子供ってなにをしてても可愛いなあ!
衣服からは、どうも男の子のようなのだが、お顔は優しい女の子にしか見えない。
このくらいの歳だと性別抜きに愛らしいものだと、つくづく思う。

「無財の七施」という言葉を国語の時間に教わった。
財産も地位も力も、なにもなくても、人は人に素晴らしい施しが出来るのだということ。
縁もゆかりもない子供さんなんだけど、私はすっかり世の中が素敵に思えてしまった。
一日中、なんか幸せな気持ちでいっぱいになった。
泣く子と地頭には勝てぬ、とも言うけど、子供の笑顔にはどんな神仏もかないません。

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正面玄関を出たところで、右京がホテルを見上げた。
「バベルの塔ですねえ。知っていますか?」
「聖書に出てくる話でしたっけ?」
覚束ない薫の知識を右京が補う。
「昔、世界の言語はひとつだったそうです。人々は高い塔を造って住もうとしましたが、
神の怒りに触れ、言葉を通じなくされました。お互いを理解できなくなった人々は散り
散りになってしまったという話です。ところが今日、言葉をしゃべらないひとりの少女
によって、バラバラだった家族の心がひとつになりました。
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私の大好きな、相棒シーズン5/第11話「バベルの塔」の1シーンです。
佐々木麻緒ちゃんが、かわいい。 子役の演技には右京さんもかないませんねえ!

No.187 - 2011/01/22(Sat) 11:03:24