昨日は久し振りにクラシック・オーケストラのコンサートを聴いた。 小林研一郎指揮の東京交響楽団の定期演奏会で、こういうプログラム。
スッペ 喜歌劇「軽騎兵」序曲(7分間位) ロッシーニ 歌劇「ウィリアムテル」序曲(12分間位) ハイドン トランペット協奏曲(16分間位) ムソルグスキー(ラベル編曲)「展覧会の絵」(35分間位)
コンサートの曲目としては非常に聴きやすいお馴染みの曲ばかりであり初心者でも 十二分に楽しめる殆どポップスコンサート的な演目なので、家内にこれ行こうよと 誘ってチケットを手配していたのだが……。 あの大震災で当初予定していたミューザ川崎コンサートホールの天井が大崩落。 キャンセルしますかという手紙が届いたが、しません、と返事をしておいた。 コバケンさんを生で見たことがないので、行かなくてはね。
設備も音響も素晴らしいと評判だったミューザ川崎ではなくなったのは残念だったし、 同じ川崎でも不便な場所だなと思って家を早く出たので、かなり早くホールに着いた。 もちろん座席指定だったのだが、場所が違うのでブロック内自由席になってしまった。 それに席の種別に屋外に並ばせるという失礼な扱いにイライラした。 30分も立たせてやっと入場。再び廊下へ整列。おいおい、幼稚園生じゃないよ! あのね。私達、あの地震でもマナーを失わない日本人だよ。 おまけにクラシックを聴こうという種別の人類だ。粛々とみんな物静かに座ってたよ。 つまらない仕切りなんか要らないんだ。来た人から順に入れれば良かったと思うよ。
さて、そんな不満や鬱憤は、最初の音が響いた時に吹き飛んでしまいました。 音色が綺麗! なんて響きの良いホールなんだろう!
洗足学園音楽大学/前田ホールというこの会場は一般的な営業ベースでの貸し出しは なくて、あまり知られているとは言い難いのだが、臨時に使わせて頂いたわけですが、 なんか、結果オーライみたいな感じで、これは掘り出し物じゃなかろうか。 レコードやCDの録音では個々の楽器のソロの部分はスポット的なマイクを使うのだ と言われているが、生演奏はそういうテクニックは使えない。 なのにフルートなどの木管楽器のソロが豊かな音量と艶やかな音色で聞こえるのだ。 まるで魔法のようであった。わあ、信じられないという感じ。
ウィリアムテル序曲の冒頭のチェロなんかも想定外に朗々と鳴り響いて、ええっ、と 驚くイメージだったし、あれ、ここ、チェロ5重奏だったのかと新発見。 案外、ここって聞かせ処なのかもとか思ってしまった。 それでいてフォルテシモでも全ての楽器が聞こえながらオーケストラが炸裂するのだ。 これは見事としか言い様がない。物凄い。 休憩時間に家内が凄い音でびっくりしたと言っていた。 そりゃもう、大太鼓とティンパニーが相乗する重低音は凄まじかった。 ドカンじゃなく、ズズズンという地響きに感じられる。魂消るとはこういう音だろう。 いやはや、ロック音楽なんか全く目じゃない。感覚的なダイナミックさは圧倒的。
アンコール曲は、カヴァレリア/ルスチカーナ間奏曲という余りお馴染みじゃない曲。 震災の被災者への追悼の意味があるような美しくも物悲しい旋律でした。
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No.223 - 2011/04/30(Sat) 12:36:47
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