ハインリッヒの法則というのを勤め人になると真っ先に教わります。 教えない企業があれば、それは安全無視の危険な会社だといって良いでしょう。 300回も危ないことをすれば、29回の事故が起き、1回の重大事故に至るという 統計的にみた確率なので、とにかく危ないことはやめようという教えです。 例えば、飲酒運転をしても全て事故に直結するというわけではないけれど、確率的に 約1割は事故を起こすことになり、300回もやってると事故死や過失致死を起こす。 そういうことなのです。
また、事故の原因の80%は不安全な行動であり、18%は不安全な状態で起きます。 残りの2%が不可抗力。不可抗力には原因不明も含まれます。 すなわち、事故や怪我の殆どが、未然に防げるのであります。 端的にいうと「安全」とは「危ないことはしない」ことなのです。簡単なことです。
お年寄りが「若い者には負けられん!」と無理をして、その結果、ケガをしたり 病気になってしまったりすることを、《年寄りの冷水》などと言います。 《年甲斐もない》とは、年齢にふさわしくもなく愚かであることを言います。 中高年の人が山登りをすること自体が、則ち不安全な行動と言って良いと思います。 そんなことはない、と言い張る方も居るでしょうが、統計とは事実を語るものです。 添付した図でそれは明らかで、中高年の登山ブームという愚行が多くの遭難を招き、 救助ヘリの墜落という大惨事を起こしたのです。
ブームを煽っている某山岳誌の編集長は、「遭難時に救助されて命が助かることは、 悪い事では無い」と言い、「今回のヘリ事故を受け、救助要請をしなければ事故は 起きなかった」との主張が拡大することを懸念しているそうだ。 「一般国民から徴集した血税を使ってまで無謀登山家を救助する必要があるのか、 との主張が当然視されれば山には行かない方がいいという閉塞的な言い分が主流に なりかねない」とも言っている。
そりゃあ、登山ブームが萎んでしまうと山岳誌が売れなくなるので困るのだろうが、 多くの中高年を死の登山へ誘い込み、救助隊員の人命まで奪ってしまったことへの 当事者意識というものが感じられない。反省等かけらもない。 登山の魅力を追求するだけではなく、中高年層への警鐘をもっと訴えるべきだろう。
驚いたのは救助へり墜落事故の翌朝、NHKの放送で中高年NHKアナウンサーが 苦労して、なんと剣岳を登攀した番組を再放送していたことだ。 なんだ、あんな年寄りでも頑張れば、あの剣岳さえも登頂することが出来るのか! そう感じさせる番組であり、ハイビジョンでの素晴らしい景観に、見蕩れてしまう。 私でさえ、これは爽快だろうなあ。素敵だなあと感じてしまったのだ。 こりゃマズイでしょう。時期が悪すぎます。主役が中高年なのが致命的に良くない。 登山は若者の特権にしておいて、中高年には閉塞的が良い。世の為、人の為です。
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No.42 - 2010/07/28(Wed) 11:12:06
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