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記事No.77に関するスレッドです

変な会社 / インファント
下の写真、なんだと思いますか? 元勤務先の運動会なんです。
昭和40年代は毎年秋にこういうのをやってました。
運動会なんだから運動が主なはずなんですが、仮装行列賞、応援賞があり、総合点で
優勝チームが決まるルールなんです。
左の孫悟空仮装は分身の術でハリボテの岩山から多数の孫悟空が現われるというわけ。
右のマージャン牌はピエロが体操演技をしているうちに牌が変化するというマジック。
バックの各チームのモニュメントも半端じゃない規模です。

運動会が近づくと各チームはそれぞれビッグ・プロジェクトを作ります。
運動神経の良い者は、競技に向けてトレーニングを始めますし、各個人の持っている
持ち味を総結集するということになります。
応援合戦という時間が設けられていますが、その時間だけじゃなく、丸一日が応援で、
いかに本部席の評価を得るか、出し物には多彩さ、以外さ、華やかさなど知恵を絞り、
目を惹くための工夫をします。

外周道路で自動車事故があり、乗用車の前部座席に乗っていた二人が即死するという
痛ましい事故があり警察が原因を追求したところ、あるチームの女性応援グループが
ラインダンスの練習をしていたことがわかった。総勢200名というラインダンスは
それは見応えがあったのだが、その練習にドライバーは見蕩れてしまったのだろう。
停車していたダンプカーにブレーキなしで激突してしまったらしい。
警察から内々に見えない場所でやってください、とお願いがあったとか。

なにをするにも先立つものはお金である。資金調達は大変。会社からの交付金だけで
ビッグ・プロジェクトは運営出来ない。どうやって集めるのか私はわからなかった。
色々な科目でインチキに資材を買い求めなきゃだめで、それには一年がかりで計画的に
資材を調達し、隠し場所に隠ぺいしておかなきゃならない。
あなたの課でこんなものは不要でしょうなんて野暮なことを資材担当は言わない。
竹材の調達に仕事中に山へ出かけ、切り出したこともあった。(地主了解のもとです)

デコレーションなどを制作する場所も目隠ししていた。秘密基地である。
どのように搬出するのかも計算し尽していたし、風雨への対応もちゃんと考えていた。
作業員の確保も大変だ。いきあたりばったりじゃなく使役要員の工数計算していた。
当然、生産活動も無事遂行しなきゃならないが、ほぼ半数の人数で動かせていたのだ。
夕飯の担当も居て、ほとんどインスタントラーメンだったが蒸気設備でこしらえた。
追い込み時期になると皆、気が立ってくる。休暇なんかとりにくくなる。

ステージ裏にはちゃんと大きな更衣室兼楽屋も設置(勿論男女別)、タイムキーパー
の指示のもと、円滑に進めなきゃならない。当然リハーサルもやった。
前の平場でのんびり見てるのは従業員の家族だけ。
会場が静かになるとチャンスなので、予定外でもすぐ出来る出し物をやったりする。
各チームが競うのだから、人智の限りみたいなアイディアが凄かった。凄過ぎる。

私自身は最初こういうのがイヤでしょうがなかった。
紙粘土で造型したり、ベニヤ板を切ったり、色を塗ったり、上手くないし。
ちゃんとやってないと先輩が怒鳴り散らす。もう軍隊かここは、みたいな酷いこと。
そのうち要領良く出来るようになると、今度はリーダーシップをとりたくなっちゃった。
何年か後には仕事そっちのけで朝から晩までずっとこれに掛かりきり。
結果的に、あの頃は面白かったなあ、という思い出になりました。

競技が主の人は外が暗くなったらお終いなのだが、設営関係はそうはいかなかった。
寮に入っていた人達は休日でも出てきて作っていたらしい。滅私奉公だねこりゃ。
全時間じゃないけど、残業3時間やったら、1.5時間時間外手当がついたりもした。
おいおい、そんなことしちゃっていいのかなあ、と思う、変な会社でした。

No.74 - 2010/08/24(Tue) 09:56:15

変な会社(2) / インファント
会社では毎月のように色々なイベントが開催されていた。
納涼大会(盆踊り)、駅伝大会、ダンスパーティ、お花見、社会見学会(遠足)、
その他ニーズに応じて色んなアイディアで家族と企業、地域との親和を図ってた。
会社の中をミニ蒸気機関車(みんなが客車に乗れる)を走らせたり、移動動物園を
招いたり、売れていない頃の小林幸子さんとかコロッケさんとかお笑い芸人などが
やってきた。そのどれもが事業場の敷地内で出来たところが素敵だったのだ。

お金を出してイベント屋さんにやって頂くという面は極めて少なくて歌手や楽団が
来るにしても前座は自分達がやったのだ。どこかのホールを借りる催しじゃない。
コスト面ではムダだと思うが、そういう問題じゃない。面白さ楽しさが違うんだ。

当時の社長がまた面白い人で、突然のように僻地のこの工場へ訪れる。
リンカーンがやって来たら、それは社長なのだ。
なにか変わったことはないか。何でも教えなさいという感じだったようだ。
ある日、私が職場を留守にしていた時、社長の大名行列がやって来たらしかった。
私の開発した某システムを見学してたんだという。課長が大慌てで対応したらしい。
なんかとても嬉しかったなあ。昇給とかそういうご褒美よりずっと嬉しかった。

ちっぽけな会社なんだろう、と思うのは早合点。
2007年度(それしかネット記事がないので)の納税額は日本のベスト3です。
そんな超優良企業だと知ってる人が極めて少ないのが面白い。
蛇の道はヘビで、株式投資なんかやってる人は常識のように知ってるみたいだ。
地域の住民もあまり事業規模などご存知ない。実に不思議な会社だなあと思う。

No.77 - 2010/08/25(Wed) 09:18:40