真っ赤な知恵の実 数えては幾つ?
拒む素肌は肌を拒む 痛む傷跡は生を刻む
血濡れの花は華やぎ 毒蛇は黒い牙を深く 突き刺す
薄汚れた着物はギラギラ吐瀉物の暁 爛れた腕振り回し独り 漆黒の壁を幾度叩く 穢れを抉り咽び泣く
はじまりは春 はらりはらりと寂しげに散る 死桜にはなれない? 果実は熟れて 血の味がする
忘れられないでしょう ワスレラレナイデセウ
名付けては殺したの 名付けては殺した わたしとワタシのこと 吊るして殺したの 影だけ残して順番に
形を失った我が子を 名付けては殺したの
忘れられないでしょう ワスレラレナイデセウ
ああ 棘の生えた 薔薇になりたい 星の涙を砂に埋めて また夜が来る 黄金色の花街は 行き交う人と人と人
今日も今日とて 石榴色の満月 数えては幾つ?
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No.1613 - 2024/11/03(Sun) 23:23:41
| ☆ Re: 不可視の姫君 / 荻座利守 | | | 内面的な苦悩を描いた詩のようですね。 冒頭の「真っ赤な知恵の実」というところは、人間の原罪を連想させます。 そして中盤の「名付けては殺した」というのは、アイデンティティの形成がうまくいかない煩悶を表しているのでしょうか。 また、「棘の生えた薔薇になりたい」とは、美しくとも人を遠ざけるものに憧れているのでしょうか。 タイトルの「不可視の姫君」を含めて、様々な解釈ができる、幅のある作品のように感じました。
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No.1616 - 2024/11/04(Mon) 09:35:26 |
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