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白い花 / 桃
いつもの
見慣れている
花がない

私が求めている
白い薔薇の花が
売り場に
置いていなかった

どうやら
もう
売れてしまった
らしかった


私は次に
白い百合を求めた
しかし
あいにく
白い百合も
売り切れていた

そこで
店員が
わたしに耳打ちした
「実は本日で閉店なんです」

私は
あっけにとられた

その瞬間
とても悲しい気持ちになった

求めていた花が
ない事に加え
店が閉店する事が
わかり

ショックが大きかった

すると
店員が
「白いお花をお探しでしたら、
かすみそうはいかがでしょう?


そう言って、
持ってきてくれた
かすみそうが

なんとも
健気に見えて
それを買って帰った

No.1588 - 2024/11/02(Sat) 11:07:18

Re: 白い花 / 荻座利守
花屋が閉店するというのは、その街から花を愛でる心が薄れてしまったことを表しているようで、何だか寂しいですね。
最後に残った白いかすみ草が、その寂しさを共感しているかのようで、いいなと思いました。

No.1593 - 2024/11/02(Sat) 13:57:21

荻座利守さま / 桃
花屋が閉店するのは、本当に寂しいですね。
花をめでる心が薄れてしまったという解釈は、切なかったです。

最後に残った白いかすみ草が、その寂しさを共感しているかのようで、いいなと思いました。とおっしゃっていただいて、とても嬉しく思いました!

また、読んでいただいて、御言葉もいただけて、ありがたいです!

これからも、さらに精進していくので、宜しくお願い致します!!

No.1596 - 2024/11/02(Sat) 16:00:03
切腹 / 透明人間

 老中の武家屋敷があった。私はボロを纏って、そこへ
入り込んでいた。自分でも悪臭を放っているのがわかった。
また、自分でもない者が私の腹から空腹の音をあげていた。
 お庭をお借りしたい。 玄関へ出てきた者は顔をそむけていた。
 主人は不在ゆえ、お帰り下さい。 私は、構わず庭へ、黙って座り込むと、前に短刀を置いた。ボロから慣れた手つきで腹を見せ、
短刀を抜いた。家の者は見逃さなかった。短刀が光をはね返さないことを。 存分になさるがよい。 私は、構わずニセの竹光で何度も何度も腹を突く真似をした。しらけた空気が漂っていくのを感じた。切腹して果てたように地面に頬をぶつけた。私の体から、また空腹の声が上がった。庭にいた者は誰も、いなくなっていた。仕方なく、起き上がろうとすると、うしろから前に真剣の短刀を置く者がいた。

No.1586 - 2024/11/02(Sat) 03:48:56

Re: 切腹 / 荻座利守
一見すると、生きてゆくための「ずるさ」の様子をシニカルに描いているように思えますが、その裏に、疎外感に苛まれている人の心理的な葛藤や苦悩、そしてそれに対する周囲の無理解が示されているようにも感じられます。
No.1592 - 2024/11/02(Sat) 13:41:03
風に身をまかせて / 大人未満

 私は空を飛んでいます。
 私は落下していきます。
 幸い、海が見えてきました。
 私は風に流されていきます。
 穴に、はいりこんでしまいました。
 私はさらに落下していくようです。
 私は落下しているのに、上昇しているような気分です。
 穴を抜けて、わたしは、さらに落下していきます。

No.1585 - 2024/11/02(Sat) 00:30:25

Re: 風に身をまかせて / 荻座利守
「私」は空を飛んでいるのでしょうか、落ちているのでしょうか、風に流されているのでしょうか。
「落下しているのに、上昇しているような気分」
というところに、感覚の交錯が感じられていいですね。
現代の社会を生きる内に感じる、自己効力感の欠如が表されているように思いました。

No.1591 - 2024/11/02(Sat) 13:31:26
「男の唄」 / 万年 草
男が日暮れに
呑む酒は
楽しいだけの
酒じゃない

つらい想いを
胸に秘め
ぐっとこらえて
流し込む

苦くて辛い
酒もある


男が酔って
唄うのは
明るいだけの
唄じゃない

悲しい心
歌詞に込め
声を震わせ
泣きながら

語って聞かせる
唄もある


男が女に
惚れるのは
抱きたいだけの
夜じゃない

可愛いあの娘の
微笑みが
心の傷を
包むよに

そっとぬくめて
くれるから

No.1582 - 2024/11/01(Fri) 13:29:27

Re: 「男の唄」 / 荻座利守
男が酒や唄や女を求めるのは、その裏にどうにならない寂しさがあるから。
心の内に秘めた寂しさを、素直に吐き出せない不器用さの哀しさが滲み出ている詩ですね。

No.1583 - 2024/11/01(Fri) 19:11:03

Re: 「男の唄」 / 万年 草
荻座様、
ご感想ありがとうございます。
男の悲哀を表現してみました。

No.1587 - 2024/11/02(Sat) 09:40:27
釣り / 中学1年生

 猫が釣りをしていました。
 てぐすが、ひかれていきます。
 竿が、いっきに背を伸ばしました。
 魚が猫の頬をひっぱたいています。
 

No.1580 - 2024/10/31(Thu) 15:27:55

Re: 釣り / 山本葉月(紫陽花)
こんばんは。生きているとどうしても食べないと生きていけませんね。猫も必死。魚だって簡単に食べられたくない。みんな必死に生きてます。竿がいっきに背を伸ばす。ここにもひとつの緊張感。背筋が伸びるような詩になりました。
No.1581 - 2024/10/31(Thu) 23:12:16

Re: 釣り / 齋藤純二
ただじゃ喰われねえぞ、と
魚の突撃だったのかもしれませんね。

No.1584 - 2024/11/01(Fri) 19:44:32
積もる思い / 大人未満

 あの人からメールの感想への返事が来たことがありません。
 何を考えているのでしょう。
 何枚も何枚も破かれた便箋があります。
 詩を書くことでしか、返事ができないのです。
 手がないのです、ものが言えないのです。
 

No.1577 - 2024/10/30(Wed) 22:43:29

Re: 積もる思い / 齋藤純二
詩で返事ができるというのが
かちょいいですね!

No.1578 - 2024/10/31(Thu) 01:13:02

Re: 積もる思い / 荻座利守
詩を書くことでしか返事ができない、という感覚はなんとなくわかるような気がします。
詩を書くよりも、普通の文章を書くことのほうがずっと難しいということでしょうか。
それでは感想に書かれている言葉の一つを取り上げて、それをタイトルにした詩を書いてみてはどうでしょう。
例えば「かちょいい」とか。

No.1579 - 2024/10/31(Thu) 07:35:14
遊園地2 / 石ころ

 「怖くなかった。」
 「ママといっしょだモン。」
 「さみしくない。」 
 「パパには、いつでも会えるでしょう。」
 私は黙っていた。
 「おばあちゃんのところにいってくるね。」
 娘は駆け出していった。
 私は夫のほうを見たが、目はあわせたくなかった。
 義父がこちらのほうを見ていた。
 あわてて顔をそらした。
 胸に、にじみくるものがあった。

No.1573 - 2024/10/29(Tue) 14:58:26

Re: 遊園地2 / 齋藤純二
登場人物みんなの切なさが
とても伝わってくる作品ですね。

No.1575 - 2024/10/29(Tue) 21:15:44

Re: 遊園地2 / 荻座利守
遊園地1と遊園地2との二篇で一組の作品と受け取りました。
一つの同じ出来事を、相反する二つの視点から描いた詩であるところが面白いと思いました。
そうすることにより、いつの時代にも人間の社会がはらむ、普遍的などうにもならない悲しみを、うまく浮かび上がらせていると感じました。

No.1576 - 2024/10/30(Wed) 06:57:40
遊園地1 / 石ころ

 観覧車が、まわりはじめた。
 ジェットコースターが妻子を乗せて波を描いていた。
 「お前も乗ったらどうなんだ。」
 「俺はいいよ。」
 私は手持ち無沙汰に目をそらした。」
 「どうにもならないの。」
 「ああ。」
 母はあきれたように私をみていた。
 父の持ってた風船が手を離れて空へのぼっていった。
 花火の音が聞こえた。
 耳の遠いはずの母が耳を押さえている。
 

No.1572 - 2024/10/29(Tue) 14:39:48
手をつないで / 小指

 もう、泣かないで。
 涙は私で充分だモン。
 ほら、あなたに似た人形が笑ってるよ。
 そんなに悲しい顔をしないで。
 いっしょに歩いてあげる。

No.1571 - 2024/10/29(Tue) 08:42:19

Re: 手をつないで / 荻座利守
優しさのにじみ出ている詩ですね。
「あなたに似た人形」とは、もう一人の「あなた」のことでしょうか。
本人の気づかない、強さや前向きさが隠れていると、伝えようとしているようにも受け取れます。
「いっしょに歩いてあげる。」という同伴者を求めている人は、少なくなのかもしれません。
短いながらもほのかな温もりを感じさせる詩だと思います。

No.1574 - 2024/10/29(Tue) 19:06:57
秋の川の流れ / 大人未満

 私の遺体に筵が被されています。
 私は舟に乗せられたのでした。
 石が転がるように舟は進みはじめました。
 岸の紅葉が珍しいものを見るように視線を動かしています。
 川の傾斜は、きつく舟はどんどん小さくなっていきました。
 ボールが蹴られていくように舟はもてあそばれています。
 ああ、一点となりました。
 私が消えたあと、
 川はおだやかでした。

No.1569 - 2024/10/29(Tue) 00:59:33

Re: 秋の川の流れ / 齋藤純二
こちらの作品とは景色が違いますが、
自分の遺体が夢に出てきたことがありまして、
なんだか縁起でもないと思い、
どんな心理なのか調べたことがありました。
どうやら「生まれ変わりたい」という気持ちがあるらしく、
どちらかというと前向きな心持ちに傾いているようです。
そして、川はおだやかにと作品にありますように
生まれ変わることができたのだろう、
なんて思いながら拝読いたしました。

No.1570 - 2024/10/29(Tue) 02:00:57
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