空の遠い午後 心地のよい季節が 足早に歩いている
芥子色のロングニットの羽織りを引っかけて そぞろ歩きで追いかける
道の片隅に 可愛らしいまま その身を落として アスファルトの上で ぽつぽつと咲く 橙色の小花 あと何日 香りを届けてくれるだろう
遠のいていく足音を感じながら それでもゆっくりと歩く
あの少し遠くに見えている曲がり角で もう次の季節が待っているかもしれない
踵を返して 来た道の金木犀の芳醇な香りをたどる
帰り道で ココアの缶を買おう 来たるあなたが ふいにやって来てもいいように
うちに帰ったら 林檎の甘煮をつくろう 両の手のひらで包み込める秋の つややかな皮をくるくると剥いて 芯をとって銀杏切りにする お砂糖をまぶしつけて 林檎のもつ水分だけでくつくつ煮ると 台所が甘酸っぱい香りで満たされる
うんと寒くなって あなたが訪ねて来たら 火傷するほどの熱々のココアをいれよう 純ココアとお砂糖をお湯で練って 牛乳で少しずつのばして火にかける ふつふつというまで丁寧にまぜ続けて マグカップにたっぷりそそぐと 両の手のひらで包み込める「幸せ」だ
この手間が愛おしい季節が もう すぐそこに
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No.2719 - 2025/10/25(Sat) 21:53:22
| ☆ Re: ふわり / 齋藤純二  | | | Emaさんは本家のMY DEARでも活躍されていますね。 とても力量のある方なので、 こちらの初心者向け掲示板からの卒業も間近でしょう。 佳作以上の評価を得るまでは、こちらの掲示板もご利用ください。
ストーリー、流れは金木犀の香りともに あなたのためにココア、林檎の甘煮をという与える幸せと 温まる、美味しい、ありがとうと返ってくる幸せも想像できますね。
この手間が愛しい季節が
シメのところでめちゃ読者をほっこり気分にさせてくれます。 それにしても林檎の甘煮、美味しそうですね。 きっとあなたは不意にやって来ることでしょう、 匂い(金木犀、ココア、甘煮)に誘われて。
連わけは上手にされています。 それぞれの一行の長さは作品を遠目で見て、 文字列がどのような絵になっているかで読みやすさが変わってきます。 上手な方は作品の文字列群の絵がきれいだったりします。 どこでつけてどこで改行か、この作業も楽しいと思いますよ。
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No.2725 - 2025/10/25(Sat) 23:26:58 |
| ☆ 齋藤純二 様 / Ema | | | おはようございます。 「ふわり」をお読みくださり、お言葉とご感想、ご教授をくださりありがとうございます。 文字列群の絵、MY DEARの新作紹介を拝見してきれいだなぁと思います。 書きたい表現や齟齬なく伝えられる言葉を無理やりいれてしまう傾向にあるので、表現を吟味したり、引き算をしたり、絵を意識してやってみようと思います。改行や空白は音読して違和感のないところまではもっていくのですが、もっといろいろな試行錯誤をしようと思いました。 余談ですが、この時期、紅玉という品種の林檎が出回ると、思わず手を伸ばしてしまいます。製菓に向いている果肉の固い酸味のある林檎です。私はシナモンが好きなので入れますが、林檎の重量の10%のお砂糖だけでできちゃいます。
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No.2726 - 2025/10/26(Sun) 08:59:25 |
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