深い土の眠りから 空を包むように 細い指先が這い上がる 静寂の闇の中で 忘れたはずの記憶が目覚める
それは もう会えない人の面影 遠い日の約束が 胸の奥で 密やかにひらく
儚くも美しい命が 時の隙間に咲き誇り あの夏の幻影が 刹那の風に揺らめいている
手のひらに零れ落ちた ひとしずくの花びら それは海の女神の涙なのか 大地に染み込み 真紅の結晶となる
彼の岸辺に燃えたつ華が 今も私を呼んでいる
※補足 リコリス=彼岸花。 語源はギリシア神話の海の精霊、または女神「リュコリアス」に由来しています。
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No.2607 - 2025/09/22(Mon) 18:05:48
| ☆ Re: リコリス / 荻座利守 | | | 彼岸花について、私は「彼岸」という名から仏教的なイメージばかり持っていましたので、この「リコリス」からの、ギリシャ神話のイメージは私にとって盲点で、新鮮でした。 葉を出す前に花茎だけを伸ばして花を咲かせる、彼岸花の特徴から紡ぎ出されたイメージが、見事に女神「リュコリアス」に繋げられていますね。 最終連の「彼の岸辺に燃えたつ華」という表現によって、この花の表す「彼岸」に、仏教とはまた異なったイメージが付与されていて、美しいと感じました。
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No.2609 - 2025/09/23(Tue) 08:57:30 |
| ☆ Re: リコリス / ゆづは | | | こんにちは。お忙しい中、拙い詩をお読みくださり、うれしいお言葉をありがとうございます。 花には、複数の呼び名があり面白いですね。 そういえば……失礼ですが、ひょっとして、荻座利守さんのお名前は「オギザリス」さんとお読みするのでしょうか?(違っていたらごめんなさい)お花に由来しているのかな、なんて勝手に思ったりしています。
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No.2610 - 2025/09/23(Tue) 14:57:31 |
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