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春日和 / 人と庸
今日はずいぶんと暖かい
隣の猫も気持ちよさそうに眠っている
今日はまたいっそう警戒心を解いて
体をのばして眠っている

冬の間は寒かったね
おじいさんが亡くなってからどうやって食べているの

隣のおじいさんが亡くなった後に咲いた梅は
今はほとんど花を落として
日が当たる上の方にわずかに残すのみ
その梅の木のそばで
残された猫はよく丸くなっていた

花が梅から桜にバトンタッチすると
メディアはお花見に行け、行楽に行けとうるさい

でも私は家にいて窓から猫を眺める

そのうちに猫は
私から見えない所で眠るようになった
私の視線がうるさかったんだろうなぁ
隠れているつもりの塀の隙間から
ピクピク動く足が見えているよ

わかったよ
お花見に行くよ
近所にね

No.986 - 2024/04/08(Mon) 00:52:23

Re: 春日和 / 荻座利守
タイトル通りの、とてもほのぼのとした詩ですね。
花見ならぬ「猫見」という視点が独特で、微笑ましいです。
猫にしたらずっと見られているのは迷惑かもしれませんが、人でごった返している花見より、一人でのんびり猫見をしている方がいいなと、そんなふうに感じました。

No.987 - 2024/04/08(Mon) 07:30:10

Re: 春日和 / 人と庸
荻座様
ご感想ありがとうございます。

「猫見」という表現は思いつきませんでした。
目からウロコです。

タイトルも「猫見」がよかったかもしれないですね😊

No.988 - 2024/04/08(Mon) 19:44:12
撮影会 / 上田一眞(じょうでんかずま)
入社して配属された部署は
社内広報の企画作成をしており 
私は編集を担当した

代理店に任せることなく
タブロイド版の新聞を
自前で作っていたので
記事を書くのも
写真を撮るのも自分の仕事だった

写真の経験がまったくなかった私は
腕を磨くため
ホテルの中庭で行われた撮影会に参加した

モデルは四人 フルヌード 
覚悟して撮影に臨んだが
こころが千々に乱れて
絵にならない

ある写真家の個展に行った
作品の中に
あのホテルのモデル撮影会のものがあった
モノクロで深い陰影がついた
女体
見事な作品に仕上がっていた
驚きと同時に
なにも作り出せず
ただ女の裸を見ただけの
自分の助平ごころが恥ずかしかった

後年
新製品上市のプロジェクトに携わったとき
偶然にも
その写真家と仕事をする機会を得た

私は写真家の個展の話しをした
彼は自分の出世作が
ホテルのモデル撮影会のものだと語った
個展で見た女体だった

ただヌードを見ただけの男と
それを写真芸術に昇華させた男の
歴然たる腕の差がそこにあった

私は写真家が羨ましくもあり
妬ましかった
自分もあわよくばプロになれないか
模索した時期があったからだ 

そんな出来ごころを振り切る思いで
写真家と共に
新製品のカタログを作りあげた
それは見事な出来映えだった

プロジェクトを終え
広報を担当した私は
新製品上市に大きく貢献したとのことで
〔社長賞〕を受賞した

金一封が出たので
写真家にふぐを振る舞った
刎頚の交わり持つに至った写真家と
二人で味わう鰭酒は格別な味わいがあった

No.978 - 2024/04/06(Sat) 00:11:10

Re: 撮影会 / 荻座利守
私は写真のことはよくわからないのですが、おそらくただ漫然とシャッターを切っても、伝えたいことを写し取ることはできないのでしょうね。
その辺はどこか詩作に通ずるものがあるような気がします。

No.979 - 2024/04/06(Sat) 18:26:07

Re: 撮影会 / 上田一眞(じょうでんかずま)
荻座利守様

こんばんは。上田です。

そうですね、写真撮影と詩作、共通点があるとしたら、主張すべき対象を絞ってどういうふうにしたら明確化できるか工夫することでしょうか。光を表すには影を語り、対象を明瞭化するためにはデフォルメさえする。そういうところは共通点かもしれませんね。

いつも感想を頂きありがとうございます。

No.980 - 2024/04/06(Sat) 18:41:51

Re: 撮影会 / 齋藤純二
出発点が同じ編集者と写真家、
それぞれの道を歩み、そしてタッグを組み出来たカタログ、
なんかいい話を聞いてほっこりしました。
このような人との出会いっていいですね。
羨ましいです。

作品は読者にとてもストーリーと語り部の心情が伝わりますが、
詩作品としては何か物足りなさを感じますかね。
伝わるための話の流れはあるが、
なんだろう、遊びというか、不思議さというか、インパクトというか、
読者の想像を固定しないような工夫があると
なお素晴らしい作品になると思いました。

No.982 - 2024/04/07(Sun) 01:11:58

Re: 撮影会 / 上田一眞(じょうでんかずま)
齋藤純二様

おはようございます。上田です。

ご指摘頂いた点、以前も同じような感想を貰いましたね。これで二回目です。詩人らしい視点から語れれば、表現できればもっとよい作品になるということでした。

今回もそういうものがないから物足りないのでしょうね。ようするに「愚直に過去を語るだけでは詩ではない、散文だよ」というところでしょうか。これは僕の詩的才能が欠落してからです。

僕は今、溢れ出る思いがあってペンを取っています。書きたいという衝動を抑えきれません。

こちらに投稿される人は皆さん豊かな才能をお持ちです。僕にはそれがありませんが、色々な体験をしてきて、それそのものがドラスティックですから詩になる、そんな個性をもった作者がいてもいいのでは、と思っています。

貴重なご意見、感想ありがとうございました。いつも拙作を丁寧にお読み下さり、感謝しております。詩として完成度が低い、駄目だよと思われる場合はまたガンガン指摘して下さい。宜しくお願い致します。

また投稿します。

No.983 - 2024/04/07(Sun) 06:32:23
「それでも生きる」 / 万年 草
それでも生きる
それでも生きて
夢を見る

それでも生きる
それでも生きて
望みを果たす

それでも生きる
それでも生きて
命をつなぐ

生きる
生きる

生きて
生きて
生き抜いて

生きた証を
残すのさ

No.970 - 2024/04/04(Thu) 13:06:35

Re: 「それでも生きる」 / 荻座利守
「それでも生きる」の前に具体的な事柄は何も書かれていません。そのことが読み手の想像をかき立て、また、我が身に当てはめやすくする効果を出しています(ただその分抽象的になりやすいのですが)。
後半の3連からは、「何があっても生きてやる」みたいな強い意志が窺えます。
自らを鼓舞するための詩のようですね。

No.971 - 2024/04/04(Thu) 16:23:04

Re: 「それでも生きる」 / 万年 草
荻座様、
ご感想、ありがとうございます。
震災にあって、つらかった自分を鼓舞するために、
書いた詩でしたが、今回は台湾の方々のためにも
書かせていただきました。
謹んでお見舞い申し上げます。

No.977 - 2024/04/05(Fri) 15:58:07

Re: 「それでも生きる」 / 齋藤純二
とても力の入った作品になってますね。
どんなことがあっても
生きて生きて、というのが伝ってきます。

No.981 - 2024/04/07(Sun) 00:34:27

Re: 「それでも生きる」 / 万年 草
齋藤様、
ご感想ありがとうございます。
最近つらいことがあって、
自分を鼓舞しています。

No.989 - 2024/04/09(Tue) 14:42:32
──るな / 人と庸
期待するな
期待するな

あなたも人
わたしも人

期待するな
期待させるな

想像をふくらませるな


私はまだ一歩も進んでいない
今ここに現れただけ

全世界で一番下っ端の私
学ぶことはあっても
与えるものは何もない


忘れるな
忘れるな

自己肯定感は低く
承認欲求は強い

それを人のせいにするな
親のせいにするな

No.965 - 2024/04/03(Wed) 23:17:15

Re: ──るな / 荻座利守
「──るな」とは禁止形の表現のことだったのですね。
自戒のための詩だと受け取りました。
期待したり想像を膨らませたりすることへの戒めは、禅語の「莫妄想」のようですね。
「自己肯定感は低く
 承認欲求は強い」
というところは、身につまされる思いがします。

No.968 - 2024/04/04(Thu) 07:06:31

Re: ──るな / 人と庸
荻座様

読んで下さってありがとうございます。

そうか、これも「執着」なんですね。

あまり言葉を選ばずに作ってしまいました。
もう少し考えろと、今の私は言っております。

No.976 - 2024/04/04(Thu) 20:26:05
今日は / あこ

今日は  いい子なの

明日からは 知らないよ


でも今日は いい子 なの
だから  書きます


あなたを  とっても
やさしく やさしく  好き

No.957 - 2024/04/03(Wed) 14:45:35

Re: 今日は / 齋藤純二
自身の気持ちが落ち着いていて
人にも優しくできる感じが伝わってきますね。
明日は 知らないよ、ということで
もしかしたらいい子でいなくちゃ、という
プレッシャーがあるのかな、とも思いながら
拝読いたしました。

No.964 - 2024/04/03(Wed) 20:00:54

Re: 齋藤純二様 / あこ
評をありがとうございます
確かにプレッシャーはあるかもしれません
それを跳ね返すほどいい子で居てみたいですね

No.973 - 2024/04/04(Thu) 17:47:07
思うに / あこ


思うに 人間というのは
良い人と悪い人
その2つしかないのか

もっといろんな形容のできる
語彙が あればね

その 言葉にできないいろんな形容の人で
混沌とした 胸の内
そりゃあもう 誰にも見せられない

だから 人間なんだよ と
せめて 慰めてみたりして


ああ

人間
やめたいなあ

No.956 - 2024/04/03(Wed) 14:43:28

Re: 思うに / 荻座利守
良い人、悪い人。そんなふうに人間は二分されることがよくありますけれど、実際はそんな単純なものではありませんね。
でも心の内を言葉で表すのはとても難しいから、そんなふうに二分されてしまうのでしょうか。
末尾の
「人間
やめたいなあ」
というところに、どこか生きにくさを感じている様子が窺えます。

No.962 - 2024/04/03(Wed) 19:49:04

Re: 思うに / 齋藤純二
ちょっと前ですが、萩本欽一さんの番組で
良い子、悪い子、普通の子っていうコントがありました。
「普通の人」「凡人」という中間的な人もいるかな。
何をもって普通というのか、この普通っていうのもなんだか、
もやもやっと混沌としてしまいそうです。
そこを語った作品なのかな、と思いながら拝読いたしました。
それとも自分の中にいろんな人がいるということなのかな。
三連の解釈が難しく、読者としては迷子になってしまいました。

No.963 - 2024/04/03(Wed) 19:55:19

Re: 荻座利守様 / あこ
評をありがとうございます
色々あって
生きにくさを感じています
何も考えないで居たいですね

No.974 - 2024/04/04(Thu) 17:52:16

Re: 齋藤純二様 / あこ
評をありがとうございます
読者様を迷子にさせてはいけませんね
もう一度よく考えてみます

No.975 - 2024/04/04(Thu) 17:55:19
「桜」 / 万年 草
桜がね
春が来たこと
知らせるために
枝いっぱいに
咲いているんだよ

長い長い冬がね
ようやく終わったよって
春のやわらかな
陽射しを受けてね
明るく笑って
いるんだよ


桜が咲いたらさ
もう何も
恐くはないよね

だって
里はすっかり
春だもの
草木が芽吹く
春だもの

桜に逢いに
出かけよう
桜が待ってる
あの里山へ

春が微笑む
あの里山へ



桜はね
春の喜び
聴かせるために
風に遊んで
舞ってゆくんだよ

甘い甘い香りで
やっと春が来たよって
僕らを誘って
空を流れてね
楽しく歌って
いるんだよ


桜が散ったらさ
もう寒い
風は吹かないよ

だって
街もすっかり
春だもの
陽射しがきらめく
春だもの

桜を追いかけ
出かけよう
桜が舞い散る
あの街角へ

春が手招く
あの街角へ


桜が
桜が
咲き誇る

春の喜び
唄うよに


桜が
桜が
風に舞う

春のきらめき
飾るよに

No.955 - 2024/04/03(Wed) 14:27:28

Re: 「桜」 / 齋藤純二
まさに、桜くる春って感じですね、今。
拝読していまして
私も週末、春を追いかけたくなりました🌸

No.960 - 2024/04/03(Wed) 19:34:09

Re: 「桜」 / 荻座利守
桜の花は春の訪れを告げる希望の象徴。そのことがテンポよく表現されていると感じました。
冒頭の、
「枝いっぱいに
咲いているんだよ」
というところが、桜の花の健気さを表しているようでいいですね。

No.961 - 2024/04/03(Wed) 19:40:18

Re: 「桜」 / 万年 草
齋藤様、
ご感想ありがとうございます。
そうですね、ようやく桜も咲きました!
春ですね。

荻座様、
ご感想ありがとうございます。
桜の気持ちが伝わって、何よりです。

No.969 - 2024/04/04(Thu) 13:04:36
悪染めの生地 / 久保田
悪人の掲げる正義は悪
心は悪染めの生地
どう縫い合わせても悪

悪が悪と共にする
悪と悪が重なり合う
神様は見ていた

悪の群れから
また躰を残し
地獄へと旅立つ

悪の歩みは止まらない
またひとつまたひとつ
躰を残していった

No.954 - 2024/04/03(Wed) 11:51:48

Re: 悪染めの生地 / 齋藤純二
悪人を掲げる正義は悪、というのが
なかなかのインパクトがありましたね。
毎日のように新聞やSNSなどで悪人について掲げられていますが、
変な煽り方とかしているとそれも悪っぽいなあ、と感じますね。
悪人の残す躰、それが反面教師になればいいのですが……
なんて思いながら拝読させてもらいました。

善人にもちょっとした悪があるだろうし、
悪人にもちょっとした善があるだろうし、
でも久保田さんのいう悪人は、根っからの100%悪人なんだろう。

No.959 - 2024/04/03(Wed) 19:31:03

Re: 悪染めの生地 / 久保田
齋藤様、感想をありがとうございます。人間は善も悪も両方の要素があります。けれども、悪に染まってしまった人間は悪の要素が濃厚になっています。詐欺メールが毎日届きますが、ああいうことができる人はやはり悪人なのだと思います。詐欺の電話が鳴り響くとウンザリしたりもします。心が悪に侵食され、悪が通常になってしまった人の感覚は最早異常であり、凡人からは理解不能の領域にあると思われます。
No.967 - 2024/04/04(Thu) 03:56:00

Re: 悪染めの生地 / 久保田
注釈:類友の法則により悪に染まってしまった者が凝縮される場もあります。因果応報の法則により一斉に地獄に向けて動き出した様子を詩にしています。
No.972 - 2024/04/04(Thu) 16:38:40
永遠の地獄 / 久保田
永遠の地獄が予定されている者たちの行列
神様からの加護がまた少し消失した
悪人たちがその罪業に見合った歩幅で歩いていく

行列から少しずつ悪の霊魂が脱落し地獄に堕ちる
悪の霊魂が抜けた屍から腐臭が漂う
行列は社会に悪を撒き散らしながら歩んでいく

No.953 - 2024/04/03(Wed) 09:49:01

Re: 永遠の地獄 / 荻座利守
「永遠の地獄が予定されている者たちの行列」というところは、カルヴァンの予定説を連想させますね。
「悪人たちがその罪業に見合った歩幅で歩いていく」という表現が独特で面白いと感じました。

No.958 - 2024/04/03(Wed) 16:41:43

Re: 永遠の地獄 / 久保田
荻座様、感想をありがとうございます。形而上学的予定説は真実であると思っています。考えつつ感覚的に書いたところを的確に指摘してあり、読み手としても素晴らしいと感じました。似合わない事柄の掛け合わせによる笑いに結びつけたいのですが、力不足を痛感しています。
No.966 - 2024/04/04(Thu) 03:47:34
たゆた•う / 人と庸
昼食後のまどろみからさめて
一篇の詩を読んだ
立ち上がって
帽子を着けて
さあ行こう
波の間(ま)に揺れる人を助けに

あのひとは
何度でも戻ってくるから
いいかげん
怒ってもいいよって
ぎりぎりの
縁に立ってもいいよって

ああでもまた
流された
今度は戻ってこないかもしれない
戻ってくるつもりもない

昔 引き戻された時に日常の夢をみた
今はこの日常が波の間に揺れている

No.951 - 2024/03/31(Sun) 17:41:04

Re: たゆた•う / 齋藤純二
メッセージが分かりそうで分からない、
作品自体が揺蕩うって感じがいいですね。

今は日常が味気ない平凡な日々に揺れている、
そんなひとを語り部が助けに行くという
たぶん労わりの心もある作品だろうと思いました。

No.952 - 2024/03/31(Sun) 19:07:55
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