りりあ 君の瞳は瀬戸内の海のように 静かだった きらきらと輝いてもいた 僕はいつも君の瞳に見入って 立ち止まっていた
りりあ 声なんか聞いたことがなかったほど 無口な君だが いつもマンドリンケースを持って 風のように爽やかに 立っていた
りりあ 君が女子大を卒業して 会社に勤め始めたとき 偶然電車で出会ったね 君は優しく僕に
どうしてる?
って聞いた 君が話しかけて来るなんて 驚いた 僕はよほど淋しそうな顔をしてたんだろうね
りりあ 幼なじみだった僕と君 わが家の籐椅子でいつも遊んでた 僕の母が亡くなったとき 黙って涙を流したね 君が流した涙は 忘れない
僕も生まれ故郷を離れ 君も遠い異土に暮らしている きっと 素晴らしい家族に囲まれているだろう 幸せになれ そして いつの日かまた会おう 僕たちの故郷の渚で りりあ
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No.948 - 2024/03/30(Sat) 00:14:47
| ☆ Re: りりあ / 荻座利守 | | | 幼馴染の女性との再会が瑞々しく描かれていますね。そして、その内に仄かな切なさのようなものをも感じさせます。特に、 「君の瞳は瀬戸内の海のように 静かだった」 「いつもマンドリンケースを持って 風のように爽やかに立っていた」 という表現が秀逸だと思います。 作者自身の母親の死の記憶と、「素晴らしい家族に囲まれているだろう」という希望との対比も巧みですね。 とても良い作品だと思います。
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No.949 - 2024/03/30(Sat) 18:38:32 |
| ☆ Re: りりあ / 上田一眞(じょうでんかずま) | | | 荻座利守 様
こんばんは。上田です。
りりあの家は海辺で旅館を経営していました。二週間ほど前、郷里の街を歩きましたところその旅館は無くなり、一般の人家に建ち変わっていました。寂しい限りです。彼女と会うことができるか怪しくなってきました。無常の境地になります。
拙作の表現が秀逸だとのこと。プロの詩人の方に褒めて頂くとは大変光栄なことです。表現力を更に砥いて行きたいと思います。作品をお読み頂きありがとうございました。
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No.950 - 2024/03/30(Sat) 20:24:35 |
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